呼吸と動作

 動作を行う時の始めに息を吸いながら始め、吐き終わると共に動作が終わるのが理想です。したがって、運動の速度は呼吸に合わせます。無理をせずに自分が深く呼吸できていると思う範囲でゆっくりと行って下さい。また動作を行っている最中は力んだりせずに、ムダな力を抜いてリラックスする必要があります。
 呼吸は鼻から吸って、鼻から吐きます。口から吐いてはいけません。理由は幾つかあります。気を体内に溜めるには鼻呼吸が適している。口呼吸することで口が乾き、津液が出ない。舌が上顎についていないことで、頭頂部と喉の間の気が繋がらない。などがあります。

 一方で、口から吐く時は急激に気を吐き出したい時に適しています。空手などの武道で、鼻で吸って口で吐くのは急激な呼気で打撃に気を乗せる為です。また、濁った気を吐き出したい時にも役立ちます。疲れた時やイライラしている時、人から愚痴を聞いて自分も嫌な気分になった時にお腹がパンパンになるまで鼻から吸って、ゆっくりと細長く口から吐いてみて下さい。2~3回で気が晴れるはずです。これは濁気が出ていくことで気が適切な状態に近づいたためです。熟練者は採気をしながら足裏から地面に濁気を出しますが、慣れるまでや急激に行いたい時は口を使うと効果的です。

 また、仙道や神仙道とは関係ありませんが、急激に脈拍を下げる時にも使います。口から思いっきり吐きながら、お腹に力を入れて腹圧を掛ける方法です。そうしてしっかり吐くと、綺麗な気がお腹に入ってくるので、早い脈拍を抑えることが出来ます。古い鍛錬法で気功法や中国武術で伝わっているところもありますが、空手に「息吹」という似た呼吸を整える方法があるところを鑑みると、古い流派では一般的だったのかもしれません。

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