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平凡(角田光代)

平凡(角田光代)

もうひとつ、月が笑う、こともなし、いつかの一歩、平凡、どこかべつのところで…
短編の作品それぞれ共通して、今の自分とは違う別の人生を考えている

「あの時ああしていれば、いなければ」

もうひとつの人生に憧れる場合もあれば、今を肯定するためにもうひとつの人生をあまり良く思い描かなかったり

生きていると大小様々な選択をひたすらすることになる
選択肢があるということは、良い結果だろうが悪い結果だろうが「選ばなかったもうひとつ」が生まれる

そして何か明るくないことがあったりすると、選ばなかったもうひとつがやたら輝いて見えたりして

ただ、選ばなかったことにより体験できなかった、知ることのできなかったもうひとつは、選んだら案外そうでもなかったりするもので

手に入らないからひどく価値のあるものに見えるだけ。
両方を体験してみたら、今の方が良かったなんてことはたくさんある

でも、戻ってもう一回選択をやり直せることなんてそうないから
選んだものが最上だと、最良だと思って生きていくことのほうが大切だと思う

今までもうひとつの人生について考えたことはないし、これからも考えることはないと思う

(ただ、「今の言葉で大丈夫だっただろうか」という不安はあるけれど)

選択を繰り返しながら、今を大切にしながら生きていく

>もうひとつ
正俊の言葉を借りれば、私は今持っているものだけで満足しているつもりだが、もしかして私にも、こずえの言うようなもうひのつの人生に対する憧憬や期待があぬのだろうか。
選ばなかった私がいて、選ばなかった日々があり、選んでしまった私は、手に入らないそのもうひとつを心のどこかで切望きているのだろうか。あるいは切望する日がいつかくるのだろうか。

私たちにあるのは、今、とそれ以外だけだ。


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