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「森に棲む服/ひびのこづえ展」2021年9月20日の日記

・5時ごろに寝て11時過ぎに起きた。めちゃくちゃだ。

・午後に横浜へでかけた。
・今日の深夜3時くらいに友達からLINEがあり、横浜駅からすぐ近くの百貨店そごうで開催されている「ひびのこづえ展」の招待券を持ってるがいらないか。と聞かれた。
・わたしは行くと返事して、横浜へ向かう途中の駅で下車して友達から招待券を受け取り、再び電車に乗って横浜へ向かった。


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・こちらが、そごうの6階にあるそごうミュージアムで開催中のひびのこづえ展入口です。
・館内は一部の展示を除いて自由に写真撮影ができた。

・ひびのこづえさんは、静岡県出身で東京藝大のデザイン科を卒業されたコスチューム・アーティスト。
・NHKの「にほんごであそぼ」をはじめ、様々な番組や舞台等で衣装や美術を製作されている。
・今回の「ひびのこづえ展」では、こづえさんの制作する独特な世界観をもつ衣装や作品が展示されている。


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・通路左側には、高橋一生が主演を務めた舞台「フェイクスピア」の衣装が。右側には、こづえさんの衣装を着たモデルの写真の上から植物を刺繍した作品が展示されている。

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・試着の森。
・本来はひびのこづえさんの作品を試着できる展示になる予定だったそうなのだけど、この感染症下ということで試着はできず、作品が展示されているだけだった。
・ここに展示されている作品は、内部にヘリウムガスを仕込んでいるので、まるで雲を着ているかのように軽いことが特徴なのだそうだ。これは是非とも着てみたかった…。またいつか、次の展覧会の時には着られることを祈ってここのエリアを鑑賞した。

・これはわたしの主観だけれど、こづえさんの作品には、自然や生命への尊敬と畏怖が多く込められているように感じる。
・科学技術が発展して、何百mの高層タワーが何百本建とうとも、最終的には、自然の草木がそれらを覆い、朽ち、土の中に埋もれてゆく。

・絵画にせよ、音楽にせよ、舞踏にせよ、およそ人間の表現という行動の全ては、わたしたちを生み、同時に、覆い朽ち果てさせる力を持った自然の舞台の上で繰り広げられている、自然から見守られている、というような雰囲気や思想を感じる。(実際、先程のモデルの上に植物を刺繍した作品のキャプションにはこれに近いような文章が書かれていた)

・今回の展示の構成は、テーマごとに「〇〇の森」という題で区切られている。
・この会場では様々な表現と、表現のための道具が展示されているけれど、有機物が編み込まれて作られた衣装も、これらを着て表現するわたしたち人間という有機物も、みな、いつかは森の中に沈む。

・たとえわたしが100歳まで長生きして死んだとしても、自分の死後から地球が消滅するまでにはまだ何十億年(地球は50億年後に太陽に飲み込まれて消滅すると予測されているらしい)もの静かな時が流れる。
・とするならば、わたしが意識をもって存在する、残りわずか80年弱の時間は、その後続く50億年もの静寂とイコールが取れるくらいに動的に生きなくては、という気がなんとなくしてくる。
・ひびのこづえさんのコスチュームからは、自然の静的なパワーと、自然と比べればあまりに短命な人間の動的なパワーの両方を感じる。


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・まるで遊園地のような賑わいを見せているのは、舞台「不思議の国のアリス」で使われた美術たち。
・ここまで、会場の床はグレーやグリーンだったけれど、レッドに染められたこの場所は、ここが現(うつつ)の世界ではないことを示しているかのようにわたしには見える。



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・最後の森では、コスチュームからバッグに生まれ変わった作品が展示“販売”されていた。


・舞台で使ったコスチュームの大半は破棄されてしまうことが多いそうだ。それをリユースして生まれ変わったのがこれらのバッグ。どれも世界に一つだけの逸品で、来場者はポリ手袋をして、手に取りつつ作品を楽しんでいた。
・ちょうどひとつのバッグが買われていくところを目にした。
・あのバッグはもしかしたら、今度は舞台ではなく客席で、後輩コスチュームたちを観ることになるかもしれない。


・今日初めて知ったのだけど、ひびのこづえさんの旦那さんは、アーティストの日比野克彦先生とのことだった。
・わたしは東京都美術館のアートコミュニケータの活動の中で、日比野克彦先生の講義を受講するなど、お世話になっている。

・まさか、ここがつながるなんて。
・動的に生きるべきとは思ったが、狭い世間で悪さはできない。


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