見出し画像

完熟山椒でラー油を作る試み

皆さんこんにちは。
野食材を色々食べる試みの藤助です

暖かいんだか寒いんだかわからん気候が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

私は「せや!寒い時はカプサイシンで身体ぽかぽか作戦や!」とハラペーニョの甘酢漬けを寒い日にむしゃむしゃやってたら胃とお尻を破壊した挙げ句、日に日に外気温が上がってきて暑くて痛くて辛いセルフ地獄を味わっていました。

人類は愚か。


さて、今日も今日とて早朝徘徊おじさんとしての責務を果たすべく近所をウロウロしていると、薄暗い木陰にチラリと赤いものが見えた


わしゃ見逃さんぞ


少し大きくなってはいるが、皆さんもこの葉っぱの形に見覚えがあるだろう

油を吸った茄子、ふっくらと甘じょっぱいタレがしみた鰻、真っ赤なピリ辛ソースにからまった豆腐…


そうだね、山椒だね(パッション屋良感)


葉っぱを指で擦り匂いを嗅ぐと、青く爽やかで、どこか柑橘を思わせる香りがする。

実は山椒ってみかんの仲間だったりするので、当然といえば当然だが、ちょっと意外でもある

初夏の青山椒はとっくに赤く熟し、はぜて黒い種が顔を出しているものもチラホラ。

ちょいと失敬して、房ごとぷちりぷちりと外して適量いただいていこう



持ち帰り、洗って広げる


料理に使う時、挽いて粉にしてあると勝手が良い。
調理中でも食卓の上でも、パパっと振りかけられるのは魅力的だ

しかし、特別な機械が無いので粉状にするまで手間がかかるうえ、細かくなればなるほど香りがとびやすく、長期保存に向かなくなってしまう。
苦労してすり鉢でゴリゴリやった山椒がすぐ使い物にならなくなるのは悲しすぎる

それではどうするか。
今回は自家製ラー油に挑戦してみよう

流れとしてはざっくりと、

①乾燥
②下処理
③調理

の3ステップである。

善は急げ、さっそく乾燥させて行こう

なにも大仰な事はなく、洗ったらそのままテーブルに置いておけばよろしい。

そうしていると、早朝に摘んできた物が夕方には赤い皮が割れて、中の種がどんどん表に出てきた

ガラナの実みたいでちょっと怖いね


7日目にはこのとおり、すっかり乾燥して茶色になっている

こうなると、指で擦ってもあまり香らない


一応、市販の山椒の画像と見比べても遜色無いのだが、あまりの香りの無さに心配になってきた。

試しに一粒むぐむぐと口の中で噛んでみると、全くの無味から若干の山椒の特徴的な香り、そして突然の激強シビレが舌先を襲い、ぶぇえという情けない声とともに盛大に吐き出してしまった。おのれ。

尊い犠牲の元、これで問題ないことがわかったので②の下処理に移ろう


1個ずつ種をちぎる


ツヤツヤのBB弾みたいで
内なる男子小学生心が疼く


枝からもはずして下処理完了


この量だからそんなに苦では無いが、スパイス屋さん等で袋いっぱいに詰めて売っている山椒はどうやってるのだろうか。
まさか一つ一つ手作業でやっている訳ではあるまいが…

山椒工場に思いを馳せつつ、次はお待ちかねの調理パートである。


【野生山椒のラー油】


・完熟乾燥山椒 1g
・ネギの葉(適当な長さに切る)35g
・生姜(5mm幅でスライス)15g
・鷹の爪(半分に割り、種も使う) 3.5g
・サラダ油   170g

・一味唐辛子  30g
・水  10g

※一味唐辛子は辛味付け、その他は香り付けで使う。
食べてみて足りなければ次回から一味唐辛子を5g位ずつ足してみて、好みの辛さを見つけよう

左上から
サラダ油、水、ネギの葉と生姜、
一味唐辛子、山椒、鷹の爪


まずは小鍋に☆印の材料を全部入れ、強火にかける


あっと言う間にふつふつ沸いてくる


沸いたら弱火に落とし、10分間じっくり素材の水分を抜きながら油に香りを移す

その間に、一味唐辛子と水を混ぜておく


しっかり水分を行き渡らせる


お団子が作れる位の水分量


ここで水を馴染ませておかないとグツグツに熱した油をここに投入する時、めちゃくちゃに焦げながら激辛催涙ガスとなって狭い室内に瞬く間に飛散、オンボロ換気扇の必死の抵抗も虚しくあわや大惨事…となりかねないので、割と大切な作業だったりする

したり顔で語りつつ唐辛子を触った手でうっかり目尻を触ってドタバタと悶絶していたら、香味油から豚の角煮を思わせる香りが漂ってきた


たぶんネギと生姜のせい。実にお腹が空く匂い



そのまま食べるには充分だが、まだまだ水分が残っている。もう少しの辛抱だ

しばらくしてタイマーがなったので鍋を覗いてみると、山椒、鷹の爪、ネギと生姜がカリカリと香ばしく揚がっていた


水分が抜けて油に香りが移っていて、
早くも美味そうすぎる


残念ながら今回は油が主役なので、一旦皿に退避していてもらおう。


鷹の爪もネギもサックサクで、
塩をかけるだけで堪らんおつまみになっていた


そして更に強火にかけ、残った水分を飛ばす


量が少なくてすぐ冷めるので、もう少し温度が
高くても良かったかも知れない


ダマにならない様に少量を馴染ませて…


残りを一気に投入!


火傷しないように手早く混ぜる!


ジュボボボボーーッ!!!!
という轟音と煙が立ち昇り、
ジュワジュワジュワジュワ!!!
とマグマの如く勢いで唐辛子が沸騰する。

ひえぇ…火神様のお怒りじゃあ…


少しずつおさまってきた。


冷めてから容れ物へ。
口が広い瓶だとプラスチック臭もしなくてより良し


さてさて、これでめでたく自家製山椒ラー油の完成だ

味が落ち着くまで2日ほど寝かせて、その間何を作るか考えておこうではないか



追記

今回はサラダ油を使ったが、できれば酸化しにくい菜種油がベスト。

逆に、オリーブオイルやごま油など個性が強いものは、唐辛子や山椒の香りの邪魔になってしまうので避けたほうが良いだろう。

そしてそれ以上に重要なのが水分量で、ネギや生姜のカケラや水気が残っていると保管中にカビが生える原因になってしまう。
一味唐辛子と合わせる前にちゃんと取り除いて、しっかりと温度を上げよう

後は、200度近い油を扱うので本当に気をつけて作業をして欲しい。


…皆の白魚の様な指が火傷しちゃったら大変だから…サ…(人差し指で鼻の下こすり)





それでは皆さま、良い野食材ライフを!
(実食回もお楽しみに)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?