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パセラの「歌わないプラン」から考えるニーズの変化

最近、妻が子供(0歳児)を連れてよくパセラで「ママ会」を開いてて、話を聞いてみたら色々と面白かったので。今回は大人気の歌わないプランがあるカラオケパセラのマーケティングトレースをしてみました。

カラオケ市場

そもそもカラオケ市場がどういう状況か簡単に調べる。

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データ

・市場規模に関しては横ばい(1,800億前後)
・施設数に関しても横ばい(10,000施設前後)
・出生数の低下に伴い、若年層の数が低下し、35歳以上が増加

都内の繁華街なら少し歩くと、カラオケを見つけることが出来ますし、特に変化が激しい業界ではない為。飽和状態。なにか特別なニーズがない限りは立地・価格が来店の判断軸になっていそうです。

パセラってどんなところ?

カラオケパセラの事業を筆頭に、アミューズメント、ホテル、ブライダルなど多彩な事業展開を図っている株式会社ニュートンが経営しています。事業紹介ページを見ましたが、かなり幅広く展開されていました。

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パセラに関していえば、ハニートーストで有名なカラオケ店って事ぐらいしか知らなかったのですが、色々調べて見ると。従来のカラオケとは利用方法が異なっているケースが多くて。妻もそうでしたが、カラオケだけど本当にまったく歌わないそうです。記事によると6割の方が歌わないプランを利用されているらしい。

環境とニーズの変化(女子会からママ会へ)

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妻の場合、子育て前からちょくちょく「女子会」でパセラを利用していたそうですが、その時と今とでは違うニーズで利用していそうです。女性の場合、ライフステージの変化よって環境がガラリと変わりますが。パセラはその変化したニーズに対して、シフトしながら対応出来る経営資源が整ってるのかなと思います。従来のカラオケが有している防音以外にも客の品質、料理の品質、部屋の品質を向上させ、且つ子育てをするママ達の為に子供への配慮(ベビカーカー置き場、子供向けの遊具、子供がケガをしない部屋作り)を充実させる事で若年層の女性に幅広く利用され。体験の質の向上につながったのだと思います。恐らく、その背景にあるパセラが掲げる複合ストーリー戦略をご紹介します。

パセラが掲げる複合ストーリー戦略
(1)カラオケ(パセラ)で知り合って
(2)レストラン(ザ・レギャン・トーキョー)でデートして
(3)結婚式場(バトゥール)で結婚して
(4)フォトスタジオ(スタジオパセラ)でお子様の七五三の記念写真を
(5)リゾートホテル(アンダリゾート)へ家族旅行して
(6)コンベンションセンター(クラブレイク一碧)で会社の研修を行い
(7)パーティー会場(グレースバリ)で忘年会を開き
やがてお子さんが成長されて
(1)カラオケ(パセラ)で知り合って———に戻る。

カラオケ(パセラ)で知り合って———に戻る。…笑
このように様々な事業を通して、幅広い世代に対してバリューを提供していく経営がパセラにも活きていそうです。

競合比較

話をカラオケ事業に戻します。正直、競合は他のカラオケ店なのか。と考えると「ママ会」の視点で見たらまったく違うだろうな感じます。

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従来のカラオケ店が目指した方向性の1つは「低価格」それらを実現する為にはヒト、モノの品質も適当な状態に下げる必要があります。数年前には「ヒトカラ」も話題になったので、それらも踏まえた経営判断だったのかなと思います。ただその結果、レッドオーション化した市場で価格で戦う事になり。新たなニーズに対応しきれなかったカラオケ店も多かったかなと思いました。対して、パセラは価格は下げずに幅広い世代に対して「高品質な体験」を追求。結果それらの経営資源(ヒト・モノ)がユーザーのニーズにマッチ出来たのだと思います。「ママ会」を目的とした利用であれば、パセラの競合は下記条件クリア出来るファミレス等の業態が近そうです。

ニーズ
・子供が泣いても大丈夫
・離乳食、授乳など子供のためのスペース
・ベビーカー乗り入れが可能

ただカラオケで備わっている防音、個室、長時間滞在出来るなどに加えて且つ、食事の美味しさ、子供向け設備等も含めると、やはりパセラはのニーズをしっかり捉えています。「ママ会」に限ってですが、STPに落とすとこんな感じです。

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事の起こりはどちらだったのか

① 子育てママ達がパセラを集まれる場所として利用するようになった
② 企業側が子育てママに対するPR活動をした

こういった「ママ会」が盛んにパセラで行われるようになったキッカケはどうだったのかな?というのが少し気になりました。なんとなくですが、ライフステージとニーズの変化がパセラの経営資源がマッチして自然発生的にそうなったような気がします(真相は分からないけど)よくサービス開発の際にマーケットイン、プロダクトアウトの話がありますが。マーケットインではコモディティ化する前に抜け出す為のなにかが必要だし、プロダクトアウトでは、ある程度の博打要素が必要になりますが。こういった自然発生的に起きるのは一つの理想の形なのかなと思います。

同じ内容でも体験に変化を起こした事例
防犯カメラ  ⇒  ベビーモニター
メール ⇒ LINE
缶コーヒー ⇒ ペットボトルコーヒー

UXの考え方ですが、同じ内容でも工夫する事により。体験に変化を起こせます。パセラの場合、従来保有していた経営資源であるカラオケにプラスの機能を持つことにより、世代毎のニーズに適応し、体験を変えていきました。

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まとめ

子供が産まれてからというもの、外食のしづらさ、移動の大変さ、外でのおむつ交換。まだ慣れていないせいか、外出先で困ることが多々あり。育児の大変さを痛感しています…。自分自身、外出先で求めるニーズは変わってきました。

平日はあまり子育ての手伝いが出来ず、本当に大変な日々を送っていると思うので、妻が少しでも羽を伸ばせるパセラ最高です。

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