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とんでもない時代がやってきてしまった

とんでもない時代がやってきてしまった。これから私たちの社会は、経験したことのないようなカオスに突入するかもしれません。

これから私たちを襲うカオスは、「アメリカが創り出した世界秩序の崩壊」と、「AIの進歩」の2つの巨大な地殻変動によって引き起こされると考えます。

私たちは戦争や革命、職の喪失、既存のヒエラルキーの崩壊に直面する可能性があると考えていますが、それは荒唐無稽な妄想と思われるかもしれません。もしそんな世界が来るとするならば、どうやって生き抜いていけばよいのでしょうか?

アメリカが創り出した世界秩序の崩壊

1989年の冷戦終結後、アメリカが事実上世界の半分を支配することによって世界のグローバル化が進みました。アメリカの覇権によってもたらされた平和をパクスアメリカーナといいます。

グローバル化により、国境を超え、政治的・イデオロギー的、社会的な差異を超えて、生産要素と資源の最適化が実現されました。先進国内にあった生産の拠点は、より人件費の安い東南アジアや中国に移転し、安定して船が通行し貿易ができるようになったことにより、世界の貧富の格差を縮小し物価を低下させるメリットをもたらした一方で、先進国の中間層の貧困化というデメリットをもたらしました。

しかしながら、2010年代以降はグローバル化に逆転現象が起き始めています。アメリカのトランプ大統領の誕生やウクライナ戦争は、その象徴的な出来事としてあげられます。

2020年のパンデミックは、労働力不足、物資不足、公的な財政支出の増加から、世界的なインフレを引き起こしました。さらに、クライナ戦争がロシアからのエネルギーや穀物、肥料の供給を制限し、インフレを加速させました。社会と世界の分断が進むことによって、資源配分のコストが上昇しています。

社会保障の深刻化と金融システムの崩壊

インフレ対策として、日本を除く各国の中央銀行が利上げを進め、30年間続いた低金利時代に終止符が打たれました。しかし、このことによって大きな2つの問題に直面しています。

1つは、社会保障費の問題です。先進国では少子高齢化が進んでおり、社会保障費の増加は避けられません。低金利時代であれば国債を発行し社会保障費をまかなうことができましたが、金利が上がると国債発行による資金調達が難しくなってしまいます。日本では、少子高齢化が進む中、2020年時点で65歳以上の高齢者1人を20歳から64歳までの生産年齢3.6人で負担しなければならない状況にあります。2050年には高齢者一人当たり1.3人の生産人口で支えることになると予想されています。金利の上昇はこの問題をさらに深刻化させるかもしれません。

2つ目の問題は、現在の金融システムの崩壊が起こりうることです。シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に続く、銀行のデフォルトや株価の下落が、金融システムの崩壊を予見させる不吉な兆候となっています。

SVBは、アメリカのスタートアップに最大のシェアを持つ22兆円規模の銀行です。スタートアップに投資された巨額の資金がSVBの口座で管理されていました。SVBは、顧客から預かった資金を米国債などで運用し、利益を得ていましたが、パンデミックによるスタートアップの市場環境の悪化による現金引き出しの増加と、急激な米国債の金利上昇による債権価格の下落が原因で、取り付け騒ぎを引き起こし、わずか2日で破綻しました。

その後、シグネチャー銀行が破綻し、更にクレディスイス銀行の株価が急落しました。米国FDIC(連邦預金保険公社)は銀行の破綻が金融システムに与える影響を深刻に考慮し、例外的にSVBとシグネチャー銀行の顧客の預金を全額保護の対象とすることで、信用問題の抑え込みに躍起になっています。
果たして、今回の破綻騒ぎは、一部の銀行の例外的状況に過ぎないのでしょうか?それとも、これから起こる巨大な債務危機の序章なのでしょうか?

もし、これに続いて他の銀行も次々と破綻を起こした場合、アメリカに打つ手はなくなります。今回の預金保護には、税金を財源とせず、国債を発行して資金調達を行います。アメリカは、国家が借金できる上限を連邦債務上限として定めていますが、すでに上限額をたびたび引き上げてきました。しかし、さらに次の巨大な銀行破綻が起きた場合、預金保護に必要な資金が連邦債務上限を大幅に超えて調達できず、保護できなくなるかもしれません。これはアメリカのデフォルトと金融システムの崩壊につながる可能性があります。

アメリカの覇権国家の衰退と地政学リスクの高まり

世界的投資家であるレイダリオは、世界を支配する覇権国家のライフサイクルを過去の歴史と債務の状況を照らし合わせながら分析しました。その結果、覇権国家はおよそ2~300年周期で誕生と衰退を繰り返すことがわかりました。

現在、アメリカは革命と戦争の時期に入ったとされています。過去には、オランダやイギリスなどの国々が覇権を握った時代もありましたが、覇権国家が入れ替わるタイミングで混乱や戦争が発生することがあります。

次の覇権国家の有力候補は中国であるとされていますが、果たしてどうなるかはわかりません。中国以外にも、インドや南米など、新たな大きな力を持つ国々が育ってきています。

いずれにせよ、国家の役割は国民の生存を守ることです。そのことが果たせなくなった国家に対しては信頼がありません。その時、社会はどうなるのでしょうか?

AIの進歩と人間の存在意義

世界の巨大な地殻変動のもう一つの重要な要因は、AIの発達です。

昨年12月には、チャットで対話するAIであるChat GPT-3が公開されました。それからわずか3ヶ月で新しいバージョンであるChat GPT-4が公開され、驚くほどの進化を遂げています。今回のアップデートでは、より滑らかで自然な言語を生成できるようになっただけでなく、画像の内容を説明したり、ジョークがなぜ面白いかを解説できるようにもなりました。米国の医師資格試験問題を解かせたところ、合格ラインに達したという報告もあります。

私もさっそくChat GPT Plusに課金し(月額2400円)、コーディングをお願いしたり、仕事のアイデア出しを依頼したりしました。その精度は直感的に、私たちの脅威になることが理解できるものでした。おそらくホワイトカラーの多くの仕事はAIによって代替されていくことになるでしょう。特に書類の作成や整理、会計といった事務的な仕事は、AIによって代替される可能性が非常に高いです。最近、役所に手続きに行ったのですが、1枚の書類の審査と処理に1時間も待たされました。きっとAIであれば、20秒で処理が終わったでしょう。役所が早く丸ごとAIになってしまえば良いのに、とすら思いました。

人間の能力に匹敵する情報処理能力を持ったAIは、人間の実存を脅かします。何年もかけて積み上げてきたスキルや知識は、AIの前に崩れ去ってしまいます。もはや知性があることが強みにならなくなってしまいます。
もし8割の人々の仕事がAIによって代替された時、資本主義も機能しなくなるでしょう。人は生産者として通貨を稼ぎ、消費者として通貨を使います。しかし、AIによって生産活動が自動化されることによって、多くの人々が失業し仕事によって通貨を得られなくなれば、消費をすることもできなくなってしまいます。

このような状況で、ユニバーサル・ベーシック・インカムという社会保障制度が注目されています。ユニバーサル・ベーシック・インカムは、定期的な現金支給により、生活の最低限度を保証するものです。

ユニバーサル・ベーシック・インカムの時代がやってくるのでしょうか?それとも、人々は新しい仕事を見つけることができるのでしょうか?
本来、人間は仕事をするべきなのか、という議論はあるでしょう。よりあるべき人間の姿に戻っていくのかもしれません。いずれにせよ、今までの常識が通用しないような、大きな変化が起きることは確実です。

2つのカオスに備える

パクスアメリカーナの終焉とそれに伴う金融システムの崩壊は、既存の富裕層のヒエラルキーを一気に崩壊させます。AIによってヒトの知性が競争力にならない時代がやってきて、さらに物価上昇と社会保障の崩壊、主権国家の戦争と革命と崩壊が一気に押し寄せてきます。巨大な大波に裸で飲まれるような状態です。あまりに巨大なカオスが目の前に顔を覗かせているなかで、どのように生き抜いていくかが問われます。

スキルアップやお金稼ぎを頑張ることにも、意味はなくなっていくでしょう。本当の意味で自分軸で何がやりたいのか、を問い直さなければいけない時代になったのです。

この変化する世界の唯一の競争力がある要素をあげるとすれば、地球上の有限な資源をどれだけ確保できるかだと考えます。農地や水や金などの希少資源を持っているかどうかが、格差を決定するでしょう。生産手段としての資源を確保し、AIにその資源を活用して生産させ、国家に頼らずに仲間と協力して生きることが、残されたオルタナティブなのでしょうか。

これが全部妄想で、心配が杞憂に終わるなら最高なのですが。とんでもない時代がやってきてしまいました。

(※このブログ記事はNotion AIとのコラボレーションで執筆しました。)

「巨大なカオスも、ニヒリズムも、愛があれば克服できる!」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスが教えてくれたこと。めっちゃ面白いから観てね。

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