FACT FULLNESS(ハンス・ロンダリング他 訳:上杉周作、関美和)【読書ノート】
古本屋で、あまりに何回もみかけるので、買ってしまいました。。
それと、一時期ものすごく流行っていたので、読んでみたいと思いました。
要旨
世界の見方・認識・解釈について、事実からかけ離れて誤っている人が多すぎる。2017年・14か国対象1万2000人に行った調査では、平均正解数は12問中2問で、チンパンジー以下の成績だった。全問正解者は0人で、最高得点は12問中11問正解という記録で、たった一人だった。
なぜ事実と乖離してしまっているのか?
原因は二つ。
【1】数十年の間、情報のアップデートができていないから。
【2】脳の性質によるもの。思い込み。
脳の性質①:ドラマチックな見方をすること
脳の性質②:瞬時に情報を判断すること
なぜこういう脳の性質が出来上がったかというと、それは脳の進化の過程によるものである。
本章ではさらに、10個の思い込みのパターンについて解説される。
以下は私の感想です。
原因【1】「情報のアップデートがされていない」について。じゃあ、どんな情報だったらアップデートされるのか?
じゃあ逆に言うと、どんな情報だったらアップデートされるのでしょうか?
私たちが何か知ろうとする強い動機は、大まかに分けると2つあるかと思います。
1つ目は、興味があるから。
例えばサザンオールスターズが好きな人は、サザンの楽曲に詳しくなるし、最新リリース曲も知ることになります。
2つめは、必要性、実用性があるからです。
つまり、「自分に関係があるから」だと思います。
例えば、天気予報を見るのは傘を持っていくべきかどうか判断することに役立ちます。
こういう条件に引っかからない限り、その情報を知ろうとはしないと思います。つまりアップデートされないと思います。
なにせ私達は忙しいですし、体力にも限りがあるので・・・。
摂取する情報、知識の分野に関して優先順位をつけると、アップデートされづらい分野が生じることは無理もないかと思います。
じゃあ世界を正しく認識する為にはどうしたら良いのでしょうか・・・。
「興味もないし、知る実用性、即効性がない情報・知識」を、
「定期的に」、「意図的に」、「体系的に」
アップデートしないといけないのかもしれません。身も蓋も無いですが・・・。
原因【2】「ドラマチックな見方をしてしまう」について
「ストーリーで理解しやすい」というのはまさしく人間的、人間中心的な発想だと思いました。
例えば、おばけ。
原因不明の現象を説明するのには、霊がいて、悪さをしている、というストーリーだと人間は理解しやすいですよね。(「悪」というのも人間的なフレームですね。)
なぜ悪さをするの?といえば、霊は未練を残していて、成仏できていないのだ・・・のような。
そう説明されれば、人間は、感情として理解できますもんね。
例えば、神様。
なぜ不幸な出来事が起きるのかについて、
神様が怒っているのだ!というふうに、感情の動きとして理解するとしっくりきますよね。
例えば、雨。
「雨が降る」というだけの事象も、私達はドラマチックに解釈していませんか?
「雨が降ってきた・・・これは私達の行く手を阻んているに違いない。」
「雨が止んだ・・・これは吉兆だ。」
「雨男」、「雨女」とかもそうじゃないでしょうか?そんなの科学的に論理的にはあり得ないのに。
他にも、具体的なケースを思い浮かべると、枚挙にいとまがありません。
このテーマは大変興味深く、考え出すとキリが収拾がつかなくなりそうなのでこの辺にしておきます・・。
こういうドラマチックに、ストーリーを描いて理解しようとする、という性質があることは、客観的に指摘されないとなかなか気づけないものだと思います。
ドラマチックに理解しすぎていないか、は何か情報を分析する時に、たまに思い起こしたい姿勢かなと思います。
おわりに
「脳の進化と、現代社会にギャップが生じてきている」
というのはとても面白いアプローチだと思いました。
このギャップによって生じる誤解について本編では、
「ネガティブ本能」(ネガティブなことには反応しやすい性質)
「恐怖本能」(危険でないことを恐怖に感じてしまう性質)
「単純化本能」(単純な理解に終始してしまう性質)
「直線本能」(変化は直線グラフ的に起こるはずだと思い込む性質)
などなど、色んなパターンが紹介されており興味深いです。
また、進化論に興味を持ったので、ダーウィンの「種の起源」など読んでみたいなと思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?