シダ

自作の朗読台本を記録用に記しています。

シダ

自作の朗読台本を記録用に記しています。

最近の記事

神在月

『今日はあれかい?』 「そうなんです。 やはり、少し緊張しますね。」 『大丈夫じゃよ。思うままに。』 「あの猫ちゃんはどうなったんですか?」 『あぁ、次も猫だね。 では頼みましたよ。』 光の中へ向かう背中を見送った。 私はふかふかのソファーに腰掛け広く見渡す。 一息つき、第三の目を開く。 「よく図書館にいるあの子、高校生になったのね。…水泳。」 「駅のホームで泣いてる男の子は…書道。」 「コンビニの店長、 時計ばかり見てソワソワしてるわね。 あと1時間で産まれる

    • Zip&Candy〜ロボットたちのクリスマス〜 にしのあきひろ

      にしのあきひろさんの絵本を朗読しました。 【無料公開】 Zip&Candy〜ロボットたちのクリスマス〜

      • 静穏

        しばらく閉ざしていたカーテン。 その隙間から外を覗いた。 信号機の灯りと忘れたころに通る車。 かなり冷え込んでいるのに薄着で歩いているお姉さんは、こんな時間に帰ることを想定していなかったのだろうか。 視線をこちらに戻し闇に溶け込む。 耳鳴りのような音が支配する空間を邪魔しないように左手をそっと唇に当て、人差し指、中指、薬指とゆったり這わせる。 繰り返し優しくじっくり。 初めて知る柔らかさでもないのに心拍数が上がる。 軽く息を吐けばその生温かさが手のひらに広がり隙

        • 迷子

          こちらの作品は実験的な作り方をしたものです。 わたしがメインで物語を書いていったのですが、途中展開をどうしようかなと悩んだ時に思いついた方にご連絡をして、少しだけ続きを紡いでいただく…という感じで進めました。 協力してくださったら方の名前入り台本を残します。 ----------------------------- 冬はすぐそこだというのに少し暑さを感じる午後、僕は少し困っていた。 休日を利用して知らない駅で降り、適当に気の向くまま散策をするのが好きなのだが完全に

        神在月

          朝起きて洗濯物を干しゴミを捨て家に戻って、 洗い物は…あとでいいか。 必要最低限のことは終わった。 少し暑さを感じるがエアコンはつけない。 私にはもったいない気がして。 冷たい水が入ったコップをテーブルにそっと置き、大きめのソファーに沈み込んだ。 無意識に動く指でSNSを流し見る。 あぁ、もう動けない。 やる気がでない。 からだが重い。 やるべきことはすぐに手をつけて時間にゆとりを持って終わらせる方だ。 なのに最近の私はといえば、ギリギリまで何もできないし…

          カニガルー

          あるところにカニがいました。 しかしカニは自分のことをカンガルーだと思い込んでいました。 「かたい。かたすぎる。 かたいし赤過ぎる。 袋を落としてしまった。ここに袋がない。 脚力は?脚力はどこで落とした。 しっぽもないじゃないか。」 それがカニの口癖でした。 不憫に思ったカエルは何かカニのためにできることはないかと遠くから眺めていました。 眺めているだけでした。 『あのままではカニが可哀想だ。 なにか手助けが出来ないだろうか。』 巻貝がそう言いました。 言った

          カニガルー

          「こんにちはニンゲン」

          【この企画・作品について】

4人の作者さんと一緒にリレー形式で
《1つの作品》を作りました。
作者の方たちは誰と一緒に作っているのか内緒にしたまま物語を紡いでいただきました。 任務として ①指定ワードを入れる ②指定登場人物を入れる ③タイトルを誰かが決める というのがありました。 こちらには作者さんの名前入り台本を置かせていただきます。 --------------- 【ぐぅ】 揺れる電車。 揺れるつり革。 揺れる私。 何の変哲もない日々に嫌気がさし 突発的に

          「こんにちはニンゲン」

          もりお Morio

          【この企画・作品について】

3人の作者さんと一緒にリレー形式で
《1つの作品》を作りました。
作者の方たちは誰と一緒に作っているのか内緒にしたまま物語を紡いでいただきました。 任務として ①指定ワードを入れる ②指定登場人物を入れる ③タイトルを誰かが決める というのがありました。 こちらには作者さんの名前入り台本を置かせていただきます。 --------------- 【コナオ】 僕が『ゴメス』という存在を知ったのは、今朝の報道から。 体長約10メートル体重約

          もりお Morio

          俺の人生〜負けるもんか〜

          【この企画・作品について】

4人の作者さんと一緒にリレー形式で
《1つの作品》を作りました。
作者の方たちは誰と一緒に作っているのか内緒にしたまま物語を紡いでいただきました。 任務として ①指定ワードを入れる ②指定登場人物を入れる ③タイトルを誰かが決める というのがありました。 こちらには作者さんの名前入り台本を置かせていただきます。 --------------- 【翠】 ザザーン ザザーン(波の音) 「......っつ。なんで俺なんだ?なんで俺がっっっ!

          俺の人生〜負けるもんか〜

          決意のペン

          【この企画・作品について】

5人の作者さんと一緒にリレー形式で
《1つの作品》を作りました。
作者の方たちは誰と一緒に作っているのか内緒にしたまま物語を紡いでいただきました。 任務として ①写真をイメージして物語を作る ②誰かがタイトルを決める ③指定ワード[違うと思う]を誰かが入れる というものがありました。 こちらには作者さんの名前入り台本を置かせていただきます。 -------------------- 《セリフ説明》 ア:アオイ(ボク/僕) フ:フジオカ未来

          決意のペン

          ラストメッセージ

          【この企画・作品について】

4人の作者さんと一緒にリレー形式で
《1つの作品》を作りました。
作者の方たちは誰と一緒に作っているのか内緒にしたまま物語を紡いでいただきました。 任務として ①写真をイメージして物語を作る ②誰かがタイトルを決める ③指定ワード[違うと思う]を誰かが入れる というものがありました。 こちらには作者さんの名前入り台本を置かせていただきます。 -------------------- 【①アラオー】 このスタンドFMを始めて、約1年。色々

          ラストメッセージ

          諦め

          ある人が「諦めた」と言った。 その言葉をそこでつかうのかと思った。 そのテイストに合わせて わたしが諦めたことはなんだろうと考えたとき いろんなシーンやいろんな感情が蘇ってきた。 たくさんの諦めが溢れた。 それらに諦めという名前をわたしは付けていなかったが、それを諦めと表現した人がいる。 気分がゆるやかに落ちてゆき 心が冷えた気がした。 ただこの気持ちは伝えない方がよい。 ここにもまた諦め。 人と接する気持ちになれなくて でも誰かと関わりたいような…。 まだ

          推しが尊い

          Yeah!めーっちゃホリディ♪ ウキウキな夏希望♪ yeah!ズバッとサマータイム♪ ノリノリで恋したい♪ 「はーん、マジあやや様最高。 なぜ私はあやや様が活動しているその時に! あやや様に出会っていないのか。 失態。マジ失態。 …ん?失態の使い方あってる?」 メイクポーチの中からアイシャドウを取り出し、指で控えめに色を重ねていく。 「ん〜♪んん〜♪i@yume../〜♪」 あ"ぁぁー! 衝撃的でしかなかった。 あやや様の歌の力を借りてもハイになれないなんて。 一旦

          推しが尊い

          ワイン

          ●◯●Twitterで紡ぐ物語●◯● この作品は恋愛物語を朗読したくなったわたしが、Twitterで「物語をコメントに書き始めるので誰かコメントで続いてほしいです」とお願いしてできた作品です。 恋愛物語を朗読したいとは言ったけど全く違う方向に進んでもOK、そして何度コメントしていただいてもOKとお伝えしていました。 どう展開していくのか、終わることができるのか、ドキドキワクワクしながら楽しみました。 コメントしていただいた文章をそのまま載せます。 ご協力してくださった皆さま

          ワイン

          やったことない作品の作り方と収録の仕方をしたので、お耳心地悪かったらすみませんゴメン          〜〜〜〜 -1- すーっ。ふーっ。 散らかった部屋、ビール、缶詰、そしてタバコ。 明日になればまたスーツを着て適当にやり過ごす。 嫁さんをもらったやら、父親になったやら、周りからのまぶしい類の話はもう落ち着いた。 「はぁ。便所すらめんどくせぇな。」 カタンッ。 ポストに何か入ったようだ。  いつもなら放置して溢れ返ってからまとめて捨てているが、今日は妙に

          記憶

          おっ。いい感じのつゆだくだ。 つゆだくチェックが終わったところで 牛丼へ傾いていた意識を耳に戻す。 イヤホンからはお笑い芸人の軽快なトークが聴こえてくる。 「反抗期なんてあったんだっけ?」 『いやあったよ、だって当時なんて暴れイルカって言われてたからね。』 今回のテーマはアホな事したなぁって話。 クスクスと笑いながらお昼休憩を過ごす。 『まぁ言える範囲だったらこんなもんかなぁ』 「俺言えないのだとたくさんある!」 『俺もまだある』 2人はお酒を飲みながらここでは言