高校の地域連携におけるコーディネーターの機能
2023年度から、いくつかの高校にて「総合的な探究の時間」のコーディネーターの役割を拝命しています。
先日は、別件で複数の高校の管理職の先生に向けて、地域連携をテーマに県外の高校の事例をいくつか話題させてもらいました。
ということで、地域連携におけるコーディネーターについて、現在の知見を整理していきたいと思います。
主な出典として、文部科学省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」PDCAサイクル構築のための調査研究「高校と地域をつなぐ人材の在り方に関する研究会」報告書(2019年度)を用います。
何のための地域連携か
地域連携において、生徒(学校)と地域の両方のベネフィットを考えることが重要です。学校と地域がお互いにビジョンを共有し、同じ到達地点を目指す必要があります。
まず、生徒のベネフィットは「生きる力」に紐づく以下3つの資質能力の育成にあります。
実際の社会や生活の中で生きて働く「知識及び技能」
未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」
学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間力等」
地域のベネフィットとされる変化は、自治力の向上や地域の持続可能性に寄与するものです。大きくまとめると意志ある人の還流だとされていて、生産人口の増加や地域を維持発展に向けた挑戦ができる人材の獲得がこれに当たります。
また大正大学・浦崎先生の記事によると、下記のとおり諸教科とのオーバーラップについても述べられており、地域連携は総合的な探究の時間だけにとどまらないのです。
例えば、地域連携を通じたマイプロジェクトが、学びのモチベーションをつくる機能を果たし、その原動力が教科学習への取り組みに好影響を与えることです。学校の活動全体を範疇として、こうした流れを生み出せる体制をつくっていくことが、地域連携の今後求められることかと思います。
コーディネーターの機能
コーディネート機能を整理すると、以下3つの機能とされています。
高校から地域に働きかける:社会に開かれた教育課程の実現を目指す
地域住民との関係を築きながら地域と高校をつなぐ:高校を核とした地方創生を目指す
協働体制:上記2点を達成するための協働を実現する
また、コーディネーターのポジションは(現在のところ)以下3つに分類されます。
マネージャー:課題を設定し解決の枠組みを整え、全体を統括する
プレーヤー:設定された課題に対して、計画を立案・実行・改善する
サポーター:現場に寄り添いながら、計画の実現を支援する
この3つの役割をコーディネーターも含めた学校内外の人材で上手く分業することができれば、ToDoも上手く回っていく気がします。
必要なコーディネート機能とそれを担う人材の整理として、資料中にあった表をスプレッドシートに転記して使っているので、僕のマスターデータを下記に参照します。(必要あればご活用ください)
コンソーシアムの設立
コーディネート機能を整備していくにあたって、次はコンソーシアムを設立していきます。
どのような組織・機関と連携していく必要があるのかについては、活動の拡張によって連携機関も増えていくと思いますので、まずは今あるプロジェクトをベースに小さく始めるのが良いのではないかと個人的には思います。
高まる必要性
こうした地域連携をはじめとする学校教育の改革の進度は、学校個別レベルのボトム的要因もさることながら、都道府県レベルの教育行政の覚悟とも(当然ながら)関連します。
とりわけ重要と考えられているのが、県と市区町村との連携・協働体制の構築です。
地方創生という文脈から考えれば、まちの発展について一番に考えているのは市区町村の自治体であり、市区町村が高校教育にコミットする覚悟も求められます。一つの先行事例として北海道大空高校があります。
コーディネーターは、関係するステークホルダーが多様であることから、考えるべき観点が多いので、可視化しないと整理しきれない部分があるように思います。
一方で、まだ体系化されていない部分も多いので、手探り状態でやっていくなかで、暗黙知となっていることも少なくない。僕は僕の整理として、引き続きこうしてnoteにまとめていこうと思います。
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