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部屋に籠ってひたすら田植えをした話2023

 今年もまた、東京は新宿・住友ビル三角広場にて開催される、鉄道模型コンテストに出品します。
 当大会では、高校生の鉄道模型コンテスト部門、T-TRAK部門、それからミニジオラマサーカス部門があります。
 今回、自分はT-TRAK部門と、ミニジオラマサーカス部門に出品しています!

 なお、ミニジオラマは、こちらの記事にて解説していますので、よかったら見てみてください。


作品の概要

作品全体図

 今から4年ほど前に、日帰りで関東近郊を一人旅しました。
 そのときに目にした、田植えを済ませたばかりの初夏の田んぼが青空を映して、キラキラ輝いていたのが美しく印象的だったのです。
 その時の感動をもとに作ったのが前作なのですが、その作品は当時の自分の表現力が未熟だったため(水田の表現は単にフイルムを貼っただけ)、自分としても納得のいく出来ではありませんでした…。

 それからずっと、なんとかしなければいけないと思っていましたが、こういうご時世でなかなか遠出も難しい今、時間に余裕ができ、以前作った水田の風景にリベンジしたくなりました。こうして、私の作品作りは始まったのです。

 ここでの一番の肝は水田の表現です。季節は初夏の田植えを行った直後の水田地帯としているため、数多くの稲を植えられていなければならないのですが、これが実はむずかしい。

 ジオラマの世界では、きれいに水(レジン)を張って整然とした稲を植えた作品は私の知る限り、あまり出て来ないように思えます。

 なぜなら失敗しやすいからでしょう。

 そこで今回はその一点にこだわって、一本一本「田植え」をして作り込んでいくことにしました。

「田植え」の表現

 今回、私が特にこだわったのが、本作品のメインとなる水田の表現です。

 家族の協力を得て莫大な量の稲を作ります。

 稲を表現するために、細いファイバー系の模型素材を使用します。この素材はとても細く、コシのない素材だったので加工するのが大変でしたが、数本ずつ束ねて根元を接着します。

 乾燥後、一本一本カッターマットから削り取り、根元部分と先端部分をそれぞれ整えるためにカットしました。だいたい3センチくらいになります。これを約700本作りました。

 稲作りと並行して、今度は土台に孔を開けていきます。
 竹串を使って、やや大きめの孔を開けていきます。この際、水田の稲が植っている向きなどもなるべく再現するようにしました。
 全て開け終わったら、今度は先ほど作ってきた稲を一本一本植えていきます。接着剤をつけてピンセットで押し込んでいきます。
 この辺、ほぼ植毛に近いですね。

 全て植え終わったら、水田に水を張りましょう。ということで、ユザワヤで購入した手芸用の2液レジンを流し込みます。
 漏れないようにアルミテープで周りを塞ぎ、攪拌したレジンをスポイトで隙間から慎重に垂らしていきます。結構大変でした。

 余談ながら、塞いだアルミテープ、実は100均の簡素な製品を使ってしまったため、乾燥させた際にほぼ漏れてしまう! というアクシデントがありました。「あちゃ〜」と思いましたが、その後近所の大型スーパーでDIYコーナーにあるアルミテープを購入してやり直したところ、今度はちゃんと漏れずに固まってくれました。

 レジンが固まり、これまたユザワヤで購入した手芸用バサミで、根元を数ミリ残してカットしていきます。どんどん完成に近づいてきました。

 最後は、周りの地面を緑化したり、ビニールハウスを仕込んで完成となります。

そして今年度、手直ししたところ

 2022年夏のT-TRAK部門に引き続き、今年度もこの作品を出品・展示しています。
 出品にあたり、いくつかの小改造を施しております。

  • 背景版を写真をベースにレタッチしたものから、完全オリジナルでつくったものに変更

  • 水田の一部の稲を切除し、その上に田植え機を配置

  • 作品正面右奥のこんもりした草むらの入り口に鳥居を設置

背景版

 背景版は、従来は写真でしたが、今回はスチレンボードをT-TRAKの大きさにカットして、それに空色のスプレー塗料を吹き付けたものを作りました。
 あと、遠近感を出すため、遠くに山がうっすら見えるという設定で、青緑色の情景パウダーを塗しました。

田植え機の配置

 今までの作品の中に白いトラックが一台走っているものの、人気が全然なく、寂しい感じでした。
 そこで、田植えをまさに今行っている最中という雰囲気を出そうと思い、田植え機を操作している人を配置することにしました。
 ちなみに田植え機のフィギュアは津川洋行製のもので、わりと実感みがあるかなと思います。

 水田には稲がビッチリ植っていて、そのままだと、水田の中に配置できません。
 そこで、一部の稲を切除することに。

 一本ずつ手芸用バサミで根本から切っていきます。
 トータルで20本くらい切りました。

 しかし、切除した稲の表面はレジンが協力に固まっていたので、そのままだと凸凹があります。
 そこで、100均の液体UVレジンを少量流し込みます。

 乾燥後、田植え機を接着します。
 この際、前後のバランスを考えて、奥の白いトラックも少々右側へスライドさせています。

鳥居

 そもそもの予定では、作品の正面右奥のこんもりした雑木林は、お社にするつもりでした。
 ただ、昨年作った時点では、すでに時間が押してしまっていたので、細かな造形は諦めてしまいました。
 今回は、雑木林の入り口のところに、ちょうどいいサイズの既製品の鳥居を取り付けました。
 さすがに、社の本尊まで表現はできなかったのですが、なんとなく雰囲気だけでも伝わるのではないでしょうか。

まとめ

 前回、九州と新宿で開催される鉄道模型コンテストに出品しました。
 その中で全く見ず知らずの人から「水田の表現が素晴らしい」とか、「よく頑張って作りましたね」などなど言われてとても嬉しかったです。
 もちろん、私よりもキャリアの長い方々も大勢いらして、色々ご指摘も受けました。それでも以前作った作品よりも、特に水田の表現が自分としてはしっかりしたものができたのかな、と思います。

 そして、今年はその完全版をお見せできる形です。

 お近くまでおいでの際は、ぜひコンテストにも足を運んで私の作品を探していただけるとうれしいです。

 最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!

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