ヒトの共感のレンジは変幻自在なので時世を敏感に織り込まなければ炎上の火種になってしまう。

『「リスペクトとフェアネスは企業のコミュニケーションにおいても最重要」と語る。情報を発信する上では、受け取る側にさまざまな立場があることを理解して、表現などに配慮する姿勢が必要だというのだ。~「今の時代、生活者に共感を得られるか、多様な価値観に対応しているのかを意識しなければいけない」と語る。この企業の対応は法律的には間違っていないのかもしれない。しかし、「正しいけれど弱者を切り捨てる」企業が愛されることはないだろう。メディアといえば4マス(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)しかなかった時代であれば、これらで報道されない限り、私たちは新たな価値観に接する機会がなかった。しかし、SNS時代は生活者の反感がダイレクトに可視化される。評判コントロールの難しさは過去とは比較にならない。~不快感・違和感を持った理由として最も多かったのが、「ジェンダーの固定観念の助長」だ。女性の体の一部をズームして性的対象として描いていたり、「男性は仕事、女性は家事」という紋切り型の役割分担を前提として描いていたりする広告に疑問を抱く人が増えている。画一化された価値観を押し付けるようなコミュニケーションに無自覚であることは、生活者の離反を招くことにつながる。~一方で、現実と懸け離れた美しい理想像を生活者に押し付けることもまた、共感獲得とは程遠いふるまいになりかねない。例えば子育てや家事を夫婦で分担すべきという認識は広がりつつあるが、総務省の社会生活基本調査によると、家事育児の約8割は女性が担っている。そうした中で現実離れした理想の家庭、理想の夫婦を描いても、全く刺さらない表現になりかねない。そうした観点からも、企業は自らが発信した情報に対する生活者の受け止め方をよく考える必要がある。茅野氏はPRの視点から「ファクトベースのコミュニケーション」の重要性を強調する。データを参照したり実際に取材したりすることで、伝えるべき当事者にとってのリアリティーが明確になる。このリアリティーを共有した上で「誰に何を伝えたいのか、どう思ってもらいたいのか、クライアントと共に明確にする」ことが大事だというのだ。最後に遠藤氏は、企業として決めておくべきこととして「どういう見られたいのかのライン、そして企業としてモラルのボーダーラインをどこにするかを設定すること」を挙げた。』

「広」く「告」げるのだから異論反論があって当然だ。以前は消費者の焦燥や不安や羨望という欲が主体だったが多様性を認めてしまった今日では共感を主体とするのが基本だ。ただしヒトの共感のレンジは変幻自在なので時世を敏感に織り込まなければ炎上の火種になってしまう。

☆多様性を認めてしまった責任を負わされる時期に来ているんだ!(あれも!これも!良しとしてしまった結果、あれも!これも!対応せざるを得なくなって、挙句の果てに【八方ふさがり】になり、誰も【落としどころ】を見つけられなくなってしまったのだ!)

2020年03月05日 12時00分 公開
メディアとPRのプロが語る:
なぜ広告は炎上するのか ダイバーシティ(多様性)とSNSの時代の企業コミュニケーション (1/2)
多様性とSNSの時代、企業が情報発信において留意すべきことは何か。メディアとPR(パブリックリレーションズ)のエキスパートが語り合った。
[高橋ちさ,ITmedia マーケティング]
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/2003/05/news070.html

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