見出し画像

#27 そのアイシングって正しいですか?②

前回、RICE処置の考え方が変わってきているという話をしました。

では、何が問題なのでしょうか。

コーチングクリニックの記事から見ていきたいと思います。


Rest(安静)


受傷後、何日も安静にしていると以下のような問題点が考えられます。

■血流量低下
■筋力低下
■感覚刺激低下
      など


ケガをしている部位に栄養や酸素を運ぶのは『血液』になります。

しかし、安静にしていることで血流も届きません。また、動かさないことで筋力も低下しますし、動かすことで得られていた感覚情報もほとんど入らなくなります。

これらにより、いざスポーツ復帰を果たそうとしてもリハビリ時間が延長してしまいます。

Ice(冷却)

アイシングにより血管を収縮させ、患部に流れる血流量を減少させます。

そうなると、上記にもあるように創傷治癒が遅延する方向に働きます。

確かに、受傷直後の腫れを抑えるにはアイシングは効果的です。私自身、現在でもスポーツ現場において効果的だと感じています。

しかし、闇雲に何日もアイシングを続ける必要性については考えなくてはいけません。


Compression (圧迫)

患部の圧迫は、腫れを軽減させる目的があるとされています。

しかし、圧迫のみの効果を研究自体はほとんどないそうです。

ですので、現時点では、圧迫を続ける理由も辞める理由もないのが現状とされているようです。



Elevation(挙上)

ケガをした患部を心臓より高い位置に挙げ、腫れを抑える目的に行われます。

こちらも圧迫同様、スポーツ復帰にどのように働くか、ほとんど研究がなされていません

ですので、実施する根拠も辞める根拠も乏しいのが実情のようです。



識者の見解


テキサス大学の田中弘文教授は以下のように述べています。

RICE処置はむしろ怪我の治癒を遅らせ、スポーツ選手の回復を遅らせることが指摘されている。厳密にいえば、その処置方法を改めるべきであり、少なくともRestとIceは何日も行うものではない。
コーチングクリニック 2017年8月号



ひと昔であれば、ケガ後の処置=RICE処置でした。

しかし、さまざまな研究がなされ、過去の常識が非常識になっている部分もあります。

新たな知見を吸収し、スポーツ現場レベルに落とし込んでいく必要がありそうです。

やっぱり、奥が深いですね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?