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地方で仕事をしていることの意味、意義を改めて考えさせられる1冊 2017年11月2日

 10月30日の月曜日に
 「魔法をかける編集」の著者
 藤本智士さんの出版記念イベントへ行ってきました。

 会場には60人以上の人が集まり
 大柄でマッシュルームカットの藤本さんの関西弁の話に聞き入り
 時に笑い、最後は全員で記念撮影。

 行くまで相当迷ったけど
 やはり、行ってよかったと思えるイベントでした。

 藤本さんは
 「ニッポンの嵐」や
 「るろうにほん 熊本へ」を手掛けた
 編集者。

 十分メジャーな編集者でありながら
 藤本さんは、今年7月に刊行された
 「魔法をかける編集」を自ら買い取り、
 出版記念イベントツアーと称して
 全国各地を回っています。

 ▼出版記念イベントツアー日程一覧 はこちら

 藤本さんの編集手法の一つが
 「台割を作らいない」
 と聞き(本にも書いてあります)
 とても驚くと同時に、
 「あ~、分かる」と思いました。

 というのも、目下
 ある書籍の仕事の真っ只中で
 「もぉ、台割なんていらん」
 と痛切に思っていたからです。

 台割とは、ページごとの内容をまとめて一覧にしたもの。
 細かい目次みたいなもので、本をつくるときの設計図に当たります。

 設計図がなければ家は建ちませんが
 本や雑誌に関して言えば
 それを邪魔に思うことも少なからずあり、

 今のわたしがまさにそんなことを思いながら
 キリキリと仕事をしている最中だったので
 藤本さんの「台割を作らいない」発言に
 ほんの少しほっとし、救われた気がしました。


 台割を作らず本や雑誌をつくるなんて
 編集の基本から外れています。

 それでも魅力的な出版物ができあがるのは
 明確なビジョンがあるから。

 ビジョンとは
 「こうありたい」と思い描き、目指す姿
 とわたしは捉えています。

 雑誌も本も
 それを出すことによって
 何をしたいのか、何を伝えていきたいのか

 がはっきりとしていて、ゆるぎないものであれば
 作り込んだ台割に頼らずとも
 もっと自由に、フレキシブルに、
 臨場感のある雑誌や本が作れることを
 藤本さんはトークや著書で教えてくれます。

 なんだか、いつのまにか
 業界内のルールに縛られ、
 フレッシュな視点や挑戦心を失っていたなぁ
 と思い返すことしきり……。


 東京で活躍している同業者や
 東京で経験を積んきた同業者に比べ

 自分が広島から一度も出たことがないライターであることは
 弱みではあっても強みにはならないと
 ずっと思っていました。

 でも、藤本さんの本を読んで
 「なんだ。これって強みだったのか」
 と51歳にして、気づきました。やっと……

 このメールマガジンだって
 「自分のメディアを持ちたい」と思って始めて12年。

 ちっともマネタイズできてないことに
 焦りと諦めをずっと感じていましたが
 自分のメディアであることに変わりなく
 もっと自信を持とうと思いました。

 「魔法をかける編集」には

 編集力というのは、すべての人がすでに備えている能力であり、
 意識することで鍛えられる

 とあります。

 言い換えれば
 しっかりとしたビジョンがあれば
 誰でも編集者になれる。

 そして編集力とは
 手段であって目的ではない。

 では、編集力とは?

 文章を扱わない編集者の事例が
 本書に紹介されています。

 地方で仕事をしていることの意味、意義を
 改めて考えさせられる1冊でした。

 目の前の霧がさ~っとなくなり
 晴れやかな気分で、挑戦心がわいてきます。

藤本智士 著「魔法をかける編集」

VOL.2970 2017年11月2日配信 メールマガジン あとがきより)


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