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【ゲスト紹介#6】「自然を愛して止まない!140品種の野菜を育てる脱サラ無農薬農家」|車 庄三(43歳)/ヤヤキタ農園園主

<何に命を燃やしているか>
「野菜という”生き物”を育てる」

野菜を育てるって、とてもクリエイティブな仕事なんだよね。種を蒔く瞬間から手のくわえ方1つで全く違う。それが農業の醍醐味だと思っている。そして自然が相手の仕事でもあるから、同じ条件は決してない。だからこそ新しい発見は何かあるし、それが楽しいからもっと学びたいと思うよね。

だから、農業って「生産ではなくて、栽培」だと思っている。

ー何が違うんですか?
「生産」って規格物を大量生産する、工業的な側面が強いと思うんだよね。
そのような農業のやり方あるし、否定はしないけど、自然に反する気がしていて。

そして、農家には大きく2つのタイプがいると思っている。栽培が好きな人と収穫が好きな人。子供の頃から計算機やウォークマンを分解してりして、「モノづくり」は好きだったから、自分は栽培が好きなんだよね。取って売らないと話にならないから収穫もするけど、本当はしたくないんだよねー(笑)

また、「九仞の功を一簣に虧く」(きゅうじんのこうをいっきにかく)という言葉があるんだけど、これは事が今にも成就するという時に、手を抜いたために失敗をするっていう意味で、まさに農業に当てはまると思っている。

ーちなみに、無農薬にこだわっている理由をお聞きしても良いですか?
現体験だね。
29歳でコンサル会社に転職して、楽しかったんだけど、生活がハードでね。
それこそ、始発で出社して終電で帰るみたいな生活をしていたら体調を崩したんだよ。
元々就農を決意した理由でもあるんだけど、その後、健康的な食生活に見直したことで体調が良くなることを本当に実感したんだよね

だから、「無農薬野菜を一般の物にして、広めたい」と思っている。

<今、一番脳が痺れていること >
「モノを売るには、まず、自分を売れ」

うちはネットでの個人販売が主だから、お客様とのやり取りには時間をかけているよね。
そのお客様に応じて、メールの文面とかも変えてるしね。
それに、野菜といってもお互いにそんな差はないと思っている。教科書通りにやれば、ある程度の品質も保てるし、無農薬野菜なんて作っている人はたくさんいるし、探せば色々な所で買える
なので、自分のことを発信することには時間も手間もかけるよね。

ーちなみにメール以外にどんな取り組みをされていますか?
毎月Youtubeに動画あげて野菜を紹介しているよ!
そのおかげで、会ったことないお客様でも、動画を通して俺の顔を知ってるんだよ。
だから、面白いのが、初対面のお客様がめっちゃ馴れ馴れしかったりするんだよね(笑)

そして、やっぱりそういったお客様に「おいしい」と言ってもらえると嬉しいよね。

「地域の連帯感を築く」

あと、ナカマルシェというのも2014年から月1回やってるんだよね。
ちなみに冬は寒いから3月〜11月限定だけどね(笑)

このナカマルシェは「手作り、地場モノ、体に優しい」をコンセプトに自分が始めたんだけど、今では出店団体も13くらいあって、毎回たくさんにお客さんにきてくれるのは嬉しいね。それに、お客さんが知り合いを連れて、また翌月も来てくれたりもするね。

ここ(栃木県那珂川町)は、やっぱり人が減ってるし、小学校も今では1つになった。
耕作放棄地も増えてきて、今では10人の地主さんから17の畑を借りている。

そんな中、自分が考える地域の活性はコミュニケーションの増幅。

微力かもしれないが、ナカマルシェを通して、そのような場を作っていきたいよね。

<シゴトカイギ・参加者に期待すること>
後継者探しかな!(笑)

また、自分の話を聞いて少しでも何かのヒントになれば良いと思っているね。

あと、このようなイベントに栃木でも何度か出たことあるんだけど、毎回自分自身も勉強になるんだよね。話すことを準備する際に、色々と考えていることも整理するし。
だから今の考えを言語化することができる場としても期待しているかな。

<なぜ引き受けてくださったのか>
「一期一会を大切にしたい」
インタビューの最中、第10回シゴトカイギの翌日に、車さんが主催されているマルシェがあることを知りました。そんな忙しい中、なぜ引き受けてくださったのですか?と尋ねると、「松田くんが呼んでくれたからだよ!」と笑顔で答えられました。以前お話しさせていただいた際、私が農業関係の仕事に従事していることや、私が農業に携る思いなどを覚えていてくださり、今回快くゲスト参加を承諾いただきました。そんな車さんの姿から、人との縁・つながりを大切にしていることが強く感じ取れました。

<この人をゲストに推した私の想い>
とあるイベントで偶然お会いした車さん。
僕が話してきた中でも特にご自身の地域・コミュニティを大事にしている農家で、そのイベントで話した15分程度で、彼の語る農業に対して共感をし、彼の今までの人生をもっと知りたいと思っていました。
そんな中、第10回シゴトカイギのゲストを依頼した所、快諾して頂きました。

今回のインタビューも車さんのご自宅で実施し、翌朝は農作業を手伝わせて頂きました。
出荷作業では、1つ1つの箱に野菜を詰める度に、どういうお客さんなのかというお話をお聞きできました。人と人との繋がりを本当に大事にされているのだと感じました。

また、会話の中で出てきた印象的な言葉でインタビューに入りきらなかったのが、2つありました。

「どこの会社に入るのだけではなくて、そこで何をするかが重要」
「ちょっとずつ日々頑張ってれば良いんだ。ちゃんとやっていれば辿り着ける」

そこには、紆余曲折ある人生を歩まれて来たからこそのずっしりとした言葉があり、
当日も車さんからは改めて自分の人生のあり方を見つめ直すようなお話を聞けると思います。

最後に、車さんは、17の農地を10人の方から借りており、全国にのべ900人のお客様がいます。そこからは、地域の人から頼りにされ、全国にファンがいる車さんの素敵な人間性が垣間見えるのではないでしょうか。

インタビュアー・記事:松田悠介

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