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#97 岩手県住田町での越境学習。他日常で感じた「つながり」と「もやもや」

竹内義晴です。この番組は組織作りやコミュニケーション、キャリアデザインなどの人材育成、複業やテレワーク、多拠点ワークといった「これからの働き方」についてゆるゆるとお話をしていく番組です。この番組が面白かった、あるいは参考になったらフォロー、コメントなどいただけると嬉しいです。

岩手県気仙郡住田町に来ています

今日はですね、岩手県気仙郡住田町に来ています。来ている理由はですね、日本能率協会マネジメントセンターという会社さんのですね、ラーニングワーケーションという取り組みの運営ですね。スタッフ側で参加しています。

ラーニングワーケーションとは?

ラーニングワーケーションというのは何かというと、その言葉をそのまま使えば、「学ぶワーケーション」です。その地域に足を運んで運ぶことによって、普段、日常の中ではなかなか気づけない、気づかない固定観念であるとか、価値観とか、暗黙の前提とか、いわゆる「当たり前」ってやつですね。

それを「他の日常」に行ってみることで、そこに住む人たちとか、そこに生活の営みみたいなものに触れることによって、当然そこにあるのは日常とは異なる環境だから、普段気づかないことに気づいたり、自分の当たり前が当たり前じゃないということを知ったり、そういった多様な価値観に気づく……そういう学びです。この学びを「越境学習」と呼んでいます。

越境学習とは?

ボクらは普段、何かしら閉じた世界にいることが多いですよね。住んでいる地域、働いている会社など、ある限られた世界の中でボクらは生活しています。

その、限られた世界から一歩足を踏み出すことで学びを得る……ということで、境を越える、だから越境学習と呼んでいます。

越境学習で身につくスキルっていうのは何かって言ったら、1つ目は「問いを立てる力」ですね。問いを「立てる」んでしょうけど、「立つ」と言ってもいいかもしれません。現状に対して「何でこうなるんだろう?」「こうなっているんだろう?」という問いを立てる力であるとか。

2つ目は「観察力」。いままでのやり方ではない環境に触れることによって、興味がわくから観察力が身につきます。

3つ目は「ネットワーク」。今回はいろんな会社さんから参加されています。いろんな会社の方々と会話をしたりすること自体が越境だと思いますけど、そういった多様な背景を持つ人たちと幅広く連携することでできる「ネットワーク」とか。

4つ目は「関連付ける力」。普段の日常と他日常の中で、他日常の価値観とか生活に触れることで、「だったら、自分のあり方はどうなんだろう?」とか、「自分のやり方はどうなんだろう?」という、「関連づける力」も身につきます。

5つ目は「実験力」。このプログラムは3泊4日なので、どこまで実践するかというのは、また帰ってからの話になると思います。ですが、日常と他日常を行ったり来たりしながら越境学習することによって、もやもやしたり、気づいたり、感じたりしたことを実践することによって、新たに得た学びを実践し、もやもやを解決していきながら、自分の力にしていくっていう実験力、そういった学びが得られるプログラムです。

昨日のテーマは「つながる」

昨日はですね、「つながる」っていうテーマで1日過ごしました。

住田町っていうところをご存知ない方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、住田町がどういう街かというと、2011年3月11日に震災があったじゃないですか。その時に、岩手県の海沿いの街が大きな被害にあいました。

住田町はちょっと山合いにある街で、海合いの街が被災したとき時、具体的には大船渡とか陸前高田が被災した時、たくさん訪れるボランティアの方々が滞在し、そこから被災地に向けて支援に行く拠点となった、後方支援をした町なんですよね。

その時、この地域の中で何が起こったのか? ボランティアの方々とどんな関わりがあったのか? そういったことって、メディアなどでは、あんまり表に出てこないと思います。表にはあまり出てこない、ボクらが知らない街で、いったい何があったのか……当時の状況を、大股地区公民館の主事、紺野和美さんから伺いました。

大股地区公民館は、東日本大震災のとき、大船渡や陸前高田の被災地に向かうボランティアのみなさんの拠点となった施設
当時の模様を公民館主事 紺野さんからお話を伺う
500人ほどの小さな集落に2万人ものボランティが訪れた

あと、住田町にはですね。以前、仮設住宅があったんですけど、過去を継承しながら、新たな学びと仕事をする施設「イコウェルすみた」が新たにできました。木で作られた、とても素敵な場所でした。

住田町では、東日本大震災のとき、すぐに町の判断で仮設住宅を建設し、沿岸部の被災者を受け入れた。役割を終えた仮説住宅の跡地利用として、仮設住宅の木材を再利用して、震災の記憶や記録を継承するとともに、テレワークをはじめとした新たな働き方の拠点として「イコウェルすみた」はオープンした

そこで、地域の方々と、普段どんな生活をしているのか? どんなことを考えて仕事をしているのか? そんな話を5名の方々から伺いながら、自分の日常との違いを感じる……といった対話を行いました。

地域5名のみなさんを囲み、普段の生活や働き方、大切にしていることなどを伺った。参加者はからは質問が多く出された

仕事のやりがいと存在意義

住田町に住んでいらっしゃる地域の方々や、参加されているみなさんからの質問を聞いていて、もやもやしたことがありました。

ボクらが普段、仕事の中で行っている営みって言ったら、数字みたいなものや、ゴールとかビジョン、目標といったものの中で行っています。それを達成したら、うまくいっている/できなかったらうまくいっていないみたいな。あるいは、数値で測れるもので、儲かる/儲からないみたいな話をするケースが多いです。

そういったことももちろん大切なんでしょうけど、地域の生活、あるいは、ボランティアもそうなのかもしれませんが、儲かる儲からないというよりは、「誰かの役に立ちたい」みたいな動機で関わろうとする。そして、「ありがとう」という言葉に嬉しさや損賠意義を感じる。あるいは、「誰かの役に立っている」感覚が得られる。

こういったことから、「やりがい」とか「存在意義」を感じると改めて思うとき、数値では測れない「何か」に、ボクらはやりがいとか自分自身を感じたりする。

そう思うと、ビジネスの世界のKPIとか、ゴールとか、そういったものももちろん重要なんでしょうけど、組織のあり方や仕事のやりがいみたいなことを考えたときに、数字とは別の何かが、本当はあるんじゃないかな? みたいなことを感じましたよね。

夜は、今日1日で気づいたことや感じたことを共有したり、それぞれの会社や仕事について語り合った

越境学習で大切なポイント

それ以外にも、現地でいろんな学びがあったんですけど、越境学習の特徴は「これを得たからこうなれる」とか、「これを学べれば100点」みたいな感じではなく、むしろ、「なんでこうなっているんだろう?」ともやもやしたり、日常と比較して「日常って、これでいいのだろうか?」という問いみたいなものがすごく大事です。

このもやもやは、もうしばらくこのままにしながら、2日目を楽しみたいと思います。

今日の越境学習

住田町は林業の街ですが、今日は林業の現状みたいな話とか、林業に関わっている方からお話を伺ったりとか、明日の、地元の高校生の前でのキャリア学習を行うので、その準備などを行う予定です。

というわけで今日の話は以上で終わります。バイバイ。

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