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ビフィズス菌は整腸、免疫力と脂肪抑制に効果あり:ビオフェルミンの解説(2)


腹にまつわる慣用句が多いのはなぜ

腸の働きを調べるとよく目にするのが「腸は第二の脳」という言い回しです。

私たちの身体は脳の指令を受けて機能しますが、「腸だけ」は独自の判断で機能することがあります。その最たる例が食中毒による下痢であり、小腸の免疫器官で大腸菌などの病原菌を見つけると、腸は脳からの指令を待たずにすぐ排出するように働きます。

だから下痢だからとすぐに下痢止めを服用すれば、病原菌が身体に留まる危険があり注意が必要です。


腸は第二の脳である。いつからそういわれたのかはわかりませんが私の知る限り、腸内細菌の有用な研究報告は2000年以降だと理解しています。研究が進むにつれて脳と腸に相関があることがわかり、これを「脳腸相関」として記事でも多く扱うようになりました。

しかし、私たちは脳腸相関など専門的なことは何も知らない子どものころから「腹にまつわる慣用句」を使っていました。

・腹が立つ、腸(はらわた)が煮えくり返る
・腹を固める、腹を括る
・腹を探る、腹黒い
・腹を抱えて、腹がよじれる、など


こうしてみると腹にまつわる慣用句は、感情や判断の比喩として使われているものが多いように思います。

当然ながらこれらの慣用句は私たちが生まれる前から、医療が発達した現代よりずっと前から言い伝えられているもので、私たちは知識でなく直感で「腸は第二の脳」であることを知っています。

腸が第二の脳であるならば私たちはもう少し腸に気をつけて、腸の健康を維持しなければなりません。

お腹の調子を整えるとはどういうことか

「お腹の調子が悪い」といえば、私たちはそれを「便」の代替語として使います。

ストレートに下痢や便秘、おならといえば決してきれいでないものを連想させるので、場の空気が悪くなります。

お腹の調子が悪くなる原因は様々ですが、多くの場合は「腸内環境の乱れ」によるものです。

私たちのお腹には1000種類、100兆個を超える腸内細菌がいて、健康的なお腹の腸内細菌の割合はそれぞれ善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割に保たれています。

腸内細菌はそれぞれがグループ毎に点在して腸内環境を形作っていますが、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて悪玉菌が多くなると、健康的な腸内環境のバランスが乱れて身体に症状が現れます。それが下痢や便秘、おならなどの便通異常です。

他にも消化不良による食欲不振や疲労感、うつや不眠などの精神的なものまで身体の不調の多くは腸内環境の乱れが原因とされています。では、なぜバランスの取れていた腸内環境が乱れるのか。


腸内環境が乱れる原因と改善策

腸内環境の乱れは自律神経の乱れとも関係のある、次の3つが原因と考えられています。

・ストレス
・睡眠不足
・運動不足


腸の動きは自律神経がコントロールしていて、自律神経が乱れると腸の動きが異常になって便秘や下痢が起こるようになります。そしてこれらの便通異常がストレスになり、自律神経は乱れたまま身体の不調が続きます。

脳腸相関にはすでに触れましたが、脳がストレスを感じると腸に影響を与えて便通異常が起こり、お腹の調子が悪くなるとそれがストレスになり脳に影響を与えて精神症状が現れる。このように脳と腸はどちらかが不調になると、もう片方も不調になり、早目の対策が必要になります。


悪玉菌と便秘の関係

悪玉菌が増える原因の一つである便秘は、便がしばらく腸に留まることで悪玉菌が増え、腐敗が続くとガスや有害物質が発生します。悪玉菌が増えると腸管バリアを突破して有害物質が血液に入り全身へ流れてさらなる身体の不調をもたらします。悪玉菌が増えて腸内環境が乱れるのは便秘によって悪玉菌が排出されないことの他にもあります。

腸内細菌の7割を占める日和見菌が、優勢になった悪玉菌に味方をするからです


現在の腸内環境の状態は体温計で体温を測るように手軽には調べられず、有料のサービスを申し込み一定の時間を必要とします。

ただし、そこまでしなくてもお腹の不調で最初に現れるのは便通異常です。便秘や下痢が続くようなら、腸内環境の乱れを疑う必要があります。ではどうすれば悪玉菌が増えた腸内環境の乱れを元に戻せるのか。方法は2つあります。

腸内環境を整える方法

1.自律神経を整える
自律神経を整えるには時間を意識した「習慣化」が必要です。

・早起き早寝
・朝日を浴びる
・適度な運動


1-1.早起き早寝
早く起きれば早く寝ることができます。

そしてこの睡眠時間中に自律神経が働いて腸が活発に動き、便の水分を吸収しながら翌朝に出す便を作ります。また、成長ホルモンによって腸管の新陳代謝が行われ、古くなった粘膜がはがれて新しい粘膜が作られます。


1-2.朝日を浴びる
朝日を浴びることで脳が覚醒して自律神経が切り替わります。同時に脳内でセロトニンが分泌されて精神面から日中の活動を支えます。

このセロトニンは夕方以降にメラトニンに変わり、脳の覚醒を睡眠に切り替えて眠気を誘発します。

早起きをして朝日を浴びる目的は、日中に脳を覚醒して活動的にするセロトニンを分泌することと、夜に眠気を誘発するメラトニンを分泌するためです。朝日を浴びて分泌されたセロトニンからメラトニンが生成されます。


1-3.適度な運動
適度な運動は代謝(エネルギー消費)を活発にして血行を促進します。血行が促進されると血液が身体全体をめぐるようになり、冷えやむくみを解消します。

また血液は酸素や栄養を運び各組織を活性化して、二酸化炭素や老廃物を回収して疲労感を改善します。血行促進により各組織が活性化することでストレスも軽減され、自律神経が整いやすくなります。


2.整腸剤
整腸剤に配合されている乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接、継続的に摂取することで悪玉菌の増殖を抑制します。それぞれの菌の違いについて詳しく解説していきます。


乳酸菌の働き

乳酸菌は小腸で、主に次の2つの働きをします。

1.悪玉菌の増殖を抑制する
乳酸菌は腸管内を弱酸性にして、悪玉菌の増殖を抑制します。

悪玉菌が増えると腸管内はアルカリ性に傾きますが、これを乳酸菌が糖を発酵して作る乳酸によって弱酸性にしていきます。悪玉菌は弱酸性になると活動が弱まり、増殖が抑制されます。

悪玉菌が減り、善玉菌が増えると小腸の活動は活発になり、小腸の機能の一つである「消化吸収」が正常に働くようになると多くの栄養を肝臓へ送ることができるようになり、身体は健康の状態を取り戻します。

2.免疫細胞を活性化する
人体最大の免疫器官は腸にあり、免疫細胞の7割が腸に集まっています。

私たちの口や鼻から入ったウイルスなどの病原菌は胃に到達すると胃酸でほとんど死滅しますが、それでも死滅しなかった病原菌が小腸に到達すると「パイエル板」という腸壁のくぼみに取り込まれます。

パイエル板には多くの免疫細胞が集まっていて、取り込まれた異物が病原菌かそうでないかを判断して、病原菌であれば抗体を作って身体の外へ排出します。

また乳酸菌がパイエル板に取り込まれると、有害ではないと判断した免疫細胞は乳酸菌をエサにすることで、免疫細胞は活性化されて免疫力が向上します。

乳酸菌は整腸剤だけでなく、ヨーグルトや乳酸菌飲料など薬局へ行かなくてもスーパーでも手に入ります。

商品ごとに入っている乳酸菌が違うので、どの乳酸菌が自分の腸内環境に合っているかを食べ比べているうちにお腹の調子が回復するかもしれません。

ビフィズス菌の働き

ビフィズス菌は大腸で、主に次の3つの働きをします。


1.強い殺菌作用で悪玉菌や病原菌の増殖を抑制する
乳酸菌とビフィズス菌はともに乳酸を作りますが、違いもあります。


1-1.定着する場所が違う
乳酸菌は小腸と大腸の両方に定着できますが、ビフィズス菌は酸素を嫌うために酸素の少ない大腸に定着します。大腸でのそれぞれの割合は99.1対0.01でビフィズス菌が圧倒しています。

また、ヨーグルトのほとんどに乳酸菌は入っているのに、ビフィズス菌が入っている商品が少ないのは、ビフィズスの酸素に触れると死滅してしまうこの特性のためです。


1-2.ビフィズス菌は乳酸と酢酸を作る
乳酸菌は糖を発酵して乳酸を作りますが、ビフィズス菌は食物繊維を発酵して乳酸と酢酸(短鎖脂肪酸)を作ります。

酢酸とは簡単にいえば調味料の「お酢」です。お酢は口から摂取しても大腸に届く前に吸収されてしまいますが、酢酸は大腸で産生されるので酢酸の強い殺菌作用はそのまま悪玉菌や病原菌の増殖を抑制します。

整腸剤が「腸内環境を整えること」のみを目的とするならば、小腸では乳酸菌による乳酸が、大腸ではビフィズス菌が産生する酢酸がこの強い殺菌作用で悪玉菌の増殖を抑制するので理に適っています。


2.腸管上皮細胞ののエネルギー源

酢酸が上皮細胞のエネルギー源として使われることで次の効果が期待できます。


2-1.腸管バリアの回復
腸は人体最大の免疫器官であり小腸ではパイエル板が、大腸では粘液層と粘膜層が担っています。

酢酸が上皮細胞のエネルギー源となることで腸管バリアは強化され、悪玉菌や病原菌の血管への侵入を防ぎます。


2-2.水やミネラルを吸収する
酢酸が上皮細胞のエネルギー源となることで粘膜から粘液が分泌される一方で、腸管内にある水やミネラルを吸収します。

余分な水分は他の組織へ送られると同時に、便の水分も吸収されるので便は固まり、下痢は改善に向かいます。

また、それ以外のエネルギーは粘膜に吸収された後に肝臓や筋肉のエネルギー源として使われます


3.大腸のぜん動運動のエネルギー源

身体を動かすにはエネルギーが必要ですが、酢酸が大腸のエネルギー源としてぜん動運動に貢献します。ぜん動運動が正常に機能すれば便秘は改善に向かいます。

4.脂肪の蓄積を抑制して太りにくい体質になる
脂肪の役割はエネルギーの蓄えであり、エネルギーが不足したとき脂肪に蓄えられたエネルギーが消費されます。

ところが高カロリー食や運動不足でエネルギーが消費されないと、脂肪は使われないままどんどん大きくなっていきます。

酢酸はこの脂肪の蓄積を抑制すると、2013年に京都大学を中心とした研究チームが発表しました。

レポートを簡潔にまとめると、腸管粘膜に吸収された酢酸が血液によって全身に運ばれると、脂肪細胞にあるセンサー(GPR43)が酢酸を感知してエネルギーの過剰な蓄積を抑制する作用がみられた、と報告しています。

ただし、これは動物実験での研究なので人の身体にどれくらい影響があるかは未知数ですが、整腸剤を毎日継続的に服用すること自体が「健康」に意識が向いているので、やせるかどうかはともかく、太りにくい体質にはなると思います。


新ビオフェルミンS錠の成分他詳細情報


新ビオフェルミンS錠 350錠2365円(参考価格)
成分
9錠(成人の1日服用量)中、

・コンク・ビフィズス菌末18mg:大腸に定着して乳酸と酢酸を産生して整腸効果を高めます。
・コンク・フェーカリス菌末18mg:小腸に定着して善玉菌を増やします。
・コンク・アシドフィルス菌末18mg:小腸に定着して乳酸を多く産生して有害菌を抑えます。

用法用量
次の量を食後に、1日3回服用してください。

・15歳以上1回3錠
・5歳以上14歳以下1回2錠

効能
整腸(便通を整える)軟便、便秘、腹部膨満感

その他不明な点は医師や薬剤師にご相談ください。


整腸剤の整腸作用を上げる方法

1.野菜や果物をバランスよく食べる
整腸作用を上げる方法はすでに触れましたが、ビフィズス菌は食物繊維やオリゴ糖をエサにして酢酸(短鎖脂肪酸)を産生します。

食物繊維といえば野菜を連想しますが、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類あります。キャベツを例にするとキャベツ100gで食物繊維は1.8gですが、そのうち不溶性は1.4gです。

ビフィズス菌のエサになるのは食物繊維ですが、なかでも水溶性がエサになります


多くの野菜では不溶性のほうが多く含まれているので、1つの食材に限定せず無理のない範囲で、バランスよく野菜や果物を食べましょう。

いつもの食事に1品サラダや果物を追加するだけで、食事の意識が変わります。


2.整腸剤は毎日摂取する
整腸剤は医薬部外品です。薬ではないので効果が出るまで時間はかかりますが、一方で副作用は少ないので用法用量を守っていれば安心して服用できます。

整腸剤は摂取して2日以内に排出されます


多く飲んでも結局排出されてしまうので効果は変わりませんが、毎日継続して飲み続ければ体調は変わってくるかもしれません。

そ毎日飲み続ける、ということは毎日「健康」へ意識が向いているということでもあり、少なくとも整腸剤を飲んでいる間は体調が改善しやすくなります。

整腸剤を飲み始めてから1ヵ月後、お腹の調子が改善していることに期待しましょう。

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