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Netflix「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」

 アカデミー賞 主演女優賞と助演女優賞、双方にノミネートされている「ナイアド」を見ました。

 30歳で引退した女子スイマーが、現役時代に果たせなかった夢を60歳を超えてから実現させたという、本人の自伝を基にした映画。その夢というのが、キューバからフロリダまで160キロもの外洋を、50時間以上かけて泳ぐというもの。これ、実話なのか…。

 30年来の親友であるボニー(ジョディ・フォスター)にコーチを頼み、2人で前人未踏の無謀な夢に挑戦します。

 外洋ですからもちろんサメやクラゲなどに襲われる危険もあるし、海が荒れれば潮に流されてゴールできません。塩水で瞼も唇もパンパンに腫れ、幻覚を見ながら2日半泳ぎ続けて、ゴールを目指す。ちょっと信じられないスポーツです。そりゃ前人未踏だわ。

 スイマーは並走する船に触れてはいけない、サポーターはスイマーの体に触れてはいけない。そういうルールなので、90分に一度の食料補給の時も、船の上からスイマーの口へ直接食糧を放り込みます。水分補給は、長いストローを船から伸ばして飲みます。

 海を泳ぐというのは、プールで泳ぐのとは全然違います。一定のスピード以上で泳がないと、潮に流されてコースを外れてしまう、後退してしまう。

 サメ避けの電気信号でシールドを張り、夜はクラゲ対策のマスクをかぶり、ただただ単調なクロールを2日半続ける。それって、どういう気持ちだろうか? 2日半寝ずに起きているというだけで拷問なのに。

 こういう、ちょっと理解に苦しむスポーツ、何のためにやるのか分からないような挑戦に、強く心を惹かれます。

 何日もかけて山を走るとか、とんでもない高さの波に乗るとか、雪山を登るとか。単独無寄港無補給で世界一周するヨットレース、ヴァンデ・グローブもそう。自分には全く理解できないからこそ、そこに全力を注ぐ人の心の中を覗いてみたいと思います。

 映画のタイトルにもなっているダイアナの姓"ナイアド"とは、ギリシャ語で水の妖精を意味するそう。ダイアナは、前人未踏の偉業を成し遂げるのは自分の運命だと信じて突き進みます。

 61歳の挑戦では潮の流れで断念、62歳ではハコクラゲに刺されて命の危険にさらされ中止、直後に航海士の反対を押し切って再度決行するも悪天候により中止。彼女の頑固さと自己中さに嫌気がさし、一度はチームも解散しますが、64歳5回目の最後の挑戦でチームが再集結。結果、177キロもの距離を52時間かけて泳ぎきり、見事目標達成します。

 その執念が、ただただすごい。

 エンドクレジットで実際のダイアナと親友ボニーの映像が流れますが、アネット・ベニングもジョディ・フォスターも本人たちそっくりでびっくりしました。2人とも、元スポーツ選手だと思わせる説得力のある体作り&役作りがすごかったです。

 いや〜面白かった!




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