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日本のタコスはどこまで本場メキシコを再現できているか?


一時帰国中、友人と会い、ランチをすることになった。

「せっかく日本にいるんだし、あなたの食べたいものを食べよう。」と友人は言った。


食べたいもの…


日本に来て、
刺身、寿司、蕎麦、白米、和菓子…
食べたいものはいろいろ食べてきた。

何が食べたいのかな…そう考えた時、ふと日本のメキシカンって、メキシコ本場の再現はどれほどできているんだろう?と気になった。

「メキシカン!メキシカンが食べたいです!」

え?日本にいるのにいいの?と友人は不思議そうであったが、メキシカンを食べにいくことになった。

一時帰国で日本にいるのに、メキシカンを食べに行く

東京駅近くのメキシカンのお店に入店。ここからは、個人的な考察とともに。

*以下、日本のメキシコ料理を日本メキシカン、本場メキシコのメキシコ料理を本場メキシカンと記述することとする。

本場との違いを振り返る

今回はメキシコ料理であるタコスについて、メキシコ在住の私が感じたことや
その違いを、1)店の雰囲気、2)提供方法、3)食べ方、4)味、の4つの項目から考察する。

店の雰囲気

オラ!
グラシアース!
と店員さんの掛け声もメキシコ風になっている。たぶんメキシコ人だろうスタッフさんも働いていた。

メキシコと同じアップテンポなBGM。
タラベラ焼き風の食器。
銅の筒に入ったカトラリー類のぶち込み感。

メキシコらしいといえば、そうである。再現できているような気がするが、日本の店内は小綺麗であるため、どうしてもメキシコ感が欠ける。笑

提供方法

料理の提供方法について。

日本メキシカンではワンプレートで複数種類のタコスが乗せられていた。
バラエティに富んだ具材で楽しめるため、1人ワンプレートでよい。(この提供方法については、ランチだったためという可能性もある。)

少しずつ種類を食べられるように、会計時に楽になるように、という日本の心遣いだろうか。

対して本場メキシカンは、タコスはみんなでシェアする。または、1種類を1人で一皿食べる。
一皿に1つ、4種類のタコスを食べられるお店なんて多くはない印象である。

食べ方

提供方法が1人一皿なのか、シェアするのかとも関連するのであるが、食べ方においても違いが見られる。

日本メキシカンでは、一つ一つのメニューの推しポイントやこだわりを伝え、提供されたまま食べておいしいようにできている。
タコスセット(4種のタコス)は、一つ一つどんな中身なのか具材が絵と文字で明記され、丁寧である。例えば、エビフリートに〜〜ソースがけ、と具材やソースが特徴づけられている。
日本はあくまでワンプレートとして出来上がっているものを食す。

対して本場メキシカンでは、ベースのタコスは作るから、あとは各自でどうぞスタンスである。
タコスに乗せる具を決め、それだけ。
ソースで自分で辛さを調節したり、トッピングを足したり、自分好みにしてねスタイルで食べる。

日本メキシカンは、辛さに欠けるが、旨みがすごい。日本ならではの添加物の旨みなのか?とも思うが、満足感のある味である。

特に、スープはココナツオイルを入れていたようで、ほんのり香るココナツとパクチーが美味しかった。
しかし、これはメキシコのスープなんだろうかという疑問が残る。

お好みでお使い下さいと小皿に入ったタコスのソースは、グリーンチレとライムとゆず胡椒を混ぜたものと言っていた。
おお、ここでジャパニーズメキシカンさを強調してきた。急にここは日本ですから本場の再現は無理ですよ、と開き直られた気分になる。だがうまい。


最も異なるのは、トルティーヤであった。

トルティーヤ入れを開けてみると、なんと生地が白いのだ。そして、香りがない。

これは、完全にフラワートルティーヤ。小麦粉100%である。

そして食べてみても、やはりそうだった。小麦の香りだ。とうもろこしは一切感じられない。これはこれで美味しいのだが、若干ショックであった。

トスターダも付いていたので食べたが、ほんのちょっとだけコーン感があるくらいで、なにか物足りなかった。

番外編

ドリンクについて。

ハマイカ(ハイビスカス)ジュースも、ピニャコラーダやモヒートもあった。ビールに関しては瓶で出てくるようであった。

ミチェラダ(ビール withトマトジュース)は、日本じゃ売れないんだろうなと改めて感じる。笑


まとめ

日本で食べたメキシカンと本場メキシコのメキシカンを比較すると、その雰囲気については日本でも再現できていると考えられる。
しかしながら、使用している原材料が異なることから、見た目は大体同じでも味まで再現することは難しいようである。特に、トルティーヤにとうもろこしが一切使用されていなかったことや、彩り豊かな盛り付けなど、日本では日本人にウケる味やメニューに需要があると考えられる。

日本メキシカンは日本ならではの丁寧さと食を楽しませる姿勢を大切にしたジャパニーズメキシカンという新たなジャンルを作り出していると考えられる。

しかし、日本人で日本メキシカンを食べて、「私メキシカン好き!」と思ってほしくはない。

もちろんこのお店を批判するわけではなく、ジャパニーズメキシカンとして、このお店は美味しかったし、雰囲気もとても良かった。
しかし、あくまでメキシコなのであって本場の料理と比較すると、インパクトにかけているようである。

だから、みなさんに伝えたいのは、

本場のメキシカンを食べて欲しい!

ということである。

とうもろこしのあの独特な香り、臭み。
ソースの異常なヒリヒリ感。
気取らない盛り付け。

行ってみなければわからない、このメキシコの美味さ。

ぜひ、本場で味わって欲しい。

コラム

今回、日本で食べたメキシカンは1店舗のみで、全ての日本でのメキシコ料理が当てはまるとは言い難い。そのため、私は日本でのメキシコ料理店に訪れる必要がある。

しかし、メキシカンの完全再現にどこまで需要があるのか。そもそも利益を得られるものでなければならない。それを考慮すると、日本でのメキシコ料理の再現は難しいのかもしれない。

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