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《建築のデザイン》 2022年9月末で終わる新宿の小田急百貨店は“坂倉準三”のモダニズム建築

『建築のデザイン』マガジン

デザインがメインのnoteですが、建築系は、こちらのマガジンにまとめていきます。


ル・コルビュジエに師事した“坂倉準三”ってだれ?

ル・コルビュジエのまえにまずは坂倉準三氏について触れていきましょう。

左が坂倉準三氏、右はル・コルビュジエ氏。

坂倉 準三(さかくら じゅんぞう)氏

1901年(明治34年)に岐阜県羽島郡(現・羽島市)で生まれました。実家は醸造元であり、裕福な家庭でした。
1923年(22歳)に東京帝国大学文学部入学し、美術史を専攻します。
1927年(26歳)に大学を卒業し、兵役に就いてから1929年(28歳)にフランスに渡ります。フランスでル・コルビュジエ氏に建築の基本を身につけるように言われ、パリ工業大学で学びます。
1931年(30歳)、日本の建築家、前川國男の紹介でル・コルビュジエの建築設計事務所に入ります。
1936年(35歳)に帰国、文化学院の創立者である西村伊作の次女のユリと結婚。再びフランスに戻り、パリ万国博覧会の日本館を設計します。パリ万博日本館の日本の伝統的ななまこ壁をモチーフにした近代的なデザインは、世界でも高い評価を受けました。

パリ万国博覧会の日本館(1937年)
画像引用:モダン周遊

1940年(39歳)、坂倉準三建築研究所を作り本格的な設計活動に入ります。
1964年(63歳)に日本建築家協会会長になります。
1969年(68歳)病気で逝去。

ル・コルビュジエってだれ?

ル・コルビュジエ。
本名はシャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ(Charles-Édouard Jeanneret-Gris)。

ル・コルビュジエ(Le Corbusier、1887年10月6日 - 1965年8月27日)は、スイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家です。モダニズム建築において重要な存在であり、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、ヴァルター・グロピウスとあわせて「近代建築の四大巨匠」とみなされています。彼がデザインした、LC2という椅子が有名です。(なにかと目にすることがあるはずです。たとえばアニメ『スパイファミリー』にも出てきます。)

LC2
source: Cassina-inc.
ル・コルビュジエ設計のサヴォア邸はモダニズム建築として有名です
http://www.flickr.com/photos/omaromar/9858756/, 日本著作権法46条/米国フェアユース, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=2795315による

坂倉準三のおもな作品

パリ万博日本館(1937年/36歳)
画像引用:建築通信社
神奈川県立近代美術館(1951年/50歳)
Wiiii - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8227276による
東京日仏学院(1951年/50歳)(東京・神楽坂)
Wiiii - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9447041による
岡本太郎邸(現在は、岡本太郎記念館)(1953年/52歳)(東京・青山)
Harani0403 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18572172による
新宿駅西口広場(1966年/65歳)


小田急百貨店新宿店本館

小田急百貨店新宿店本館
画像引用:美術手帖

坂倉準三氏が設計した建造物のうちのひとつが、小田急百貨店新宿店本館を含む新宿駅西口です。小田急百貨店新宿店本館は、2022年9月末で営業を終了し、再開発に伴って解体されます。開業は、1967年。西口からは、ぱっとみひと続きに見えるのですが、小田急百貨店新宿店本館は、北側(左半分)の地下鉄ビルは、坂倉建築ではありません。氏が設計したのは、南側(右半分)の小田急百貨店で、これと右側の地下鉄ビルが連続するようにファサードを統一するように地下鉄ビル側へ要望し、結果、西口広場に面する長さ約300メートルのファサードが実現しています。アルミパネルのカーテンウォールによる外観が特徴的で、よくみるととてもモダニズム建築的なんです。

再開発後の新宿駅西口

新宿駅西口地区開発計画により、小田急百貨店新宿店本館の跡地には、高層部にオフィス機能、中低層部に商業機能を備える地上48階、高さ約260メートルの超高層ビルが計画されています。この超高層ビルは2029年度に完成する予定です。

計画建物イメージパース
出典:小田急百貨店プレスリリース(美術手帖経由)

まとめ

建造物には寿命があるため、新陳代謝は不可避です。体験できるうちに設計家たちの思想や時代の潮流を楽しむのもよいのではないでしょうか。

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参照



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