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鹿田、虫を食む。

刺し身とビールで梅雨の夜を楽しむ僕である。ついでに明日は真夏日らしいのでそれすらつまんで食む。ぷくぷくと膨れる腹部が満ちた頃、また天を仰いでは月に叫んだ。「夏だーー!

とま、それはここ最近毎日のルーチンでもあるが。月は聞き飽きて雲に隠れてしまった。
鹿田です、よろしくね。

タチアオイも一度見たら途端にあちこちで目につくようになった。さくさくとその槍と化した頭部で曇天の空を裂いては、早く夏を呼び込んでおくれ。夏が来た暁には儚く枯れてしまうタチアオイだが、僕にとっては勇者でしか無い。夏を連れてくる勇者だ。色とりどりに咲き乱れるが厚かましくなく、僕は初めてその存在に気がついたとき、こんなのが雑草やっていていいのか!?と驚いたくらいだ。咲き誇ったすべての花がラッパになって、プープーと夏の訪れを祝ってくれる。(※雑草に少し失礼だったので謝る、すまん雑草、というかそうなるともう雑草という言葉自体がなにか偏見を含んでいるよう感じるが、かといって他に適当な名称も思いつかないのでやはり雑草と呼ぶしか無い。すまん、雑草)

虫も撮りたくて仕方ない。次は今週の日曜日が休日になるので週間天気であたってみるが曇りマークとあやしい。また気まぐれに、変わってくれやしないかな天気。玄関にならいくらでも蛾が集っては舞って夏の訪れを歓喜してるが、見慣れた奴しかいないので物足りない。おうおう、今日も楽しそうだな、まやかしの太陽に惑わされて踊ってるなんてお気楽なもんだと白けた目を一瞥くれては家に入ってしまう。ああ雑虫なんかじゃなくて、心躍るような素敵な虫に出会いたいぞ鹿田は!(※以下同文)

タコが手強くて噛み切れない。奥の手、手を使い勢いよく引っ張ったら反動でタコを握った手が顔にぶつかった。いたいのなんの、酔いも散ってしまったので飲み直すしかないじゃないか。もう一本もってこよ。うむ、いつも雑文に違いはないが今日はそれに増して淡々とした雑文になりそうな予感がしてならない。まあいい、もともと鹿田の記事に学びなど一欠片も存在などしていないのだから!

カプス、乾杯!
まあこのままだらだらと書きたいだけかいて締めるかと思っていたが、ひとつばかりネタを思い出したのでかいてみよう。
最近休みとあらば虫撮りにでかけてることは何度か話に出したが、ここのところの曇天と、休日の少なさにストレスの溜まった鹿田は何をどう思考を発展させたのか、アマゾンで「食べられる昆虫シリーズ ミックスバグ15g」を購入した。

虫撮りに行けないフラストレーションの発散の方向としては少々応用がかかっている。しかし、まあ、もとより己にも計り知れない、夏に侵された我が脳みその出した答えなので、僕が気づかないだけで深層心理のお導きなのだろう。しかしそうなると深層心理は撮れないなら食えにゴーサインを出したということになるが…深く考えまい。

因みに内容は

  • コオロギ

  • コオロギ幼虫

  • ヤシオサゾウムシ幼虫

  • カイコ

  • バッタ

いずれもノンフライ製法でボイル後乾燥させたものとのこと。

そして手元に届いたところ多少冷静になった鹿田は、(これをひとりぽりぽり食ってもな…)と自らを俯瞰した。ちなみに味は若干の塩っ気に後味として少々の苦味。食感はサクサクとしていてASMRに適していると思うが、果たして乾燥昆虫を咀嚼する音のASMRの需要があるのかは定かでない。

「うん、職場に持っていこう💡」

そうして鹿田は週末に控える事務処理集中日に持ってく算段をつけた。

まあ、その後大したオチはないのでなんなら皆さんの想像に任せた方が面白くなるはずと信じて、結果はここでは語るまい。因みに所長には徹底的に拒否られた。

兎に角それらは現在、僕のデスクの上に置いてあり、僕がお八つに食べている。タンパク質豊富であるしダイエット中の鹿田には最適であるが、ひとりしょりしょり食べているとまあだんだんと”美味しさ”も、不思議と感じてくるもので、(これにマヨネーズ、お好みで唐辛子をかけたなら最適なビールのつまみになるではないか!)と、昆虫食の新たな境地に向かおうとしている。

がしかし一抹の不安があり、そちらがいつの間にか逆転して主流となり、虫撮りに行くたびに(この虫はどんな味なのだろう涎たらたら)と、パブロフの犬如く、虫を見る度涎が垂れるようになることだけは避けたい。二兎を追う者は一兎をも得ずということわざがあるのなら、僕は多少後ろ髪ひかれつつも、昆虫食とは今生の別れを心に決めなくてはなるまい。


そのうち帰宅しては玄関灯にたかる虫たちを、にやにやした顔でよだれを垂らしながら「虫~むしぃ」と、カメレオンのように舌ではむはむ食べるようになっても困るしな。



てなことで、また。





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