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ホフマン

「KOOLがいい、メンソールが」P.T.アンダーソン監督作『ザ・マスター』のフィリップ・シーモア・ホフマンが放った台詞。

鑑賞後帰路に就く足でお店に入った。店内に並ぶのはパイプ等の喫煙器具、手巻き用にパウチされた煙草葉ばかり。店員の男性を見やると、それはレジスターの後ろにあった。

「クール一つください」
「何ミリですか」
「メンソールです」
「……」
「(指さす)あれください」

440円だった。おいしくなかった。それからホフマンの映画を見漁った。翌年、フィリップ・シーモア・ホフマンの訃報を耳にした。泣いた。一年ぶりの煙草に火をつけた。やっぱりおいしくなかった。『誰よりも狙われた男』を映画館で観た。また泣いた。以降、ホフマンの映画を観るのをやめた。

KOOLは"Keep Only One Love"の頭文字からきているらしい。

KOOLは全然おいしくはなかった。

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