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第九と日本人と"Eagle Fly Free"

日本の年末の風物詩といえばアメ横の買い物客、今年の漢字、東西本願寺の煤払い、干支の置物の制作風景、そしてベートーヴェンの「第九」。

「第九」の正式名称は「交響曲第9番 ニ短調 作品125」で、4つの楽章からなる交響曲ですが、多くの日本人が「第九」と聞いてまず思い浮かべるのは最も盛り上げる第四楽章のあの合唱パートでしょう。

ちなみに第九が日本で初演されたのは1918年なんだそうですが、その後なぜ第九が年末の風物詩となったかは諸説あるようです。

それと同時に、なぜ日本人はこんなに「第九」の第四楽章が好きなんでしょう?

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ソーラン節や河内音頭などに代表される日本民謡には、一拍目にアクセントのあるいわゆる表拍の曲が多いと言われています。
(全ての民謡を調べた訳ではないので確証はありませんが)

「第九」の第四楽章はソーラン節と同じ表拍であり、またドイツ語ながら一拍一音のわかりやすいメロディです。

ドイツといえば Helloween(ドイツを代表するHEAVY METALバンド)の人気曲"Eagle Fly Free"のボーカルメロディも第九の符割りに似てますね。

推測の域を出ませんが、「第九」の第四楽章、中でもあの有名な合唱パートが日本人にとって覚えやすく歌いやすいメロディだということが「第九」が日本に好まれた理由の一つではないでしょうか。

一方、よく言われていることですが日本人はゴスペルミュージックやロックなど黒人音楽をルーツとするジャンルに多い裏拍(アップビート)を掴むのが比較的苦手とされています。

裏拍のわかりやすい例としては、映画「This Is It」の中でマイケルが"The Way You Make Me Feel"のノリを説明してるシーン。

キーボーディストの弾く「ッチャッチャッチャッチャ」のフレーズが裏拍にあたります。

マイケル・ジャンクソンの "Beat It"、"Thriller"、"Smooth Criminal"、"Bad" といった大ヒットナンバーはいずれも裏拍の使い方が絶妙なんですよね〜。

話はちょっと横道に逸れますが、フィギュアスケートの羽生選手が2016-2017シーズンでPrince & The Revolutionの"Let's Go Crazy"を使用していました。

この動画はフランス杯の時のものですが、日本人だけでなくヨーロッパの人にとっても裏拍は難しいようで、観客の手拍子が表拍の人と裏拍の人、さらにどちらでもない人が混在してリズムがバラバラになってしまっています😅

なまじドラマーとしてこの手拍子のリズムのズレがすごく気になって仕方なかった記憶がありますね。

※裏拍が苦手なことがダメという訳ではありません。

話を戻して「第九」にまつわる雑学をいくつか紹介して終わりにしましょう。

  • CDの録音時間が74分42秒なのは「第九」を全て収録できるようにするため

  • ベートーヴェンによって付けられた第九の真の名称は「シラー作、頌歌『歓喜に寄す』を終末合唱にした、大管弦楽、四声の独唱、四声の合唱のために作曲され、プロイセン王フリードリッヒ・ヴィルヘルム三世陛下に最も深甚な畏敬をもって、ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンによって奉呈された交響曲、作品一二五」である


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