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夫婦を知る旅:Day4

ちょっと神戸に長居し過ぎてしまった。

市内から灯りの少ない山の中へ、電車で30分ほど移動した。

最終日のお宿は、有馬温泉。
旅行の計画を立てる時から、「温泉」を第一希望として旅行会社に伝えていた。旅行中、毎日2万歩以上歩いた体は、普段の運動不足も祟って疲労困憊。温泉がよく効くに違いない。

翌朝撮影した駅の看板。
字体がかわいい。

宿までは徒歩10分。
疲れているとはいえ、それくらい歩けるだろうとタクシーは呼ばなかったが、宿までの道は川沿いの急斜面だった。温泉街、舐めてた…
ほとんどの宿泊客は、もうご飯前のお風呂を堪能した頃だろう。私たちは暗がりの斜面、重いキャリーをひき、宿を目指した。

ついた頃には、息も絶え絶え。
慌てて息と顔を整えチェックイン。「新婚旅行と聞きましたので」と、部屋は本来のプランよりランクアップされ、お揃いの酒器までいただいた。ありがたいおもてなしに心がぽっと温まった。

荷物を置いたら、いざ夕食会場へ。
しかし、これが大変な迷路だった。ホテルは本館と別館に分かれており、希望の階へ行くには使えるエレベーターが絶妙に異なる。受付で説明されたが、地図も部屋に忘れてしまい見事に迷子に。再度受付に訪ね、ようやく夕食会場に辿り着いた。

夕食はちょっと贅沢な和食のコース。
メインの和牛と野菜の蒸し物は、あまりの美味しさに二人とも思わず目を見開く。旨味を噛み締めるたび、笑顔が止まらない。あぁ〜しあわせ。
※食欲に負けて写真なし。

お腹が温まったら、今度は外から。
浴衣で向かったお風呂場は、時間も遅いためか人はまばら。
人目を気にしなくていいのは気が楽だ。あぁ〜極楽、極楽。

露天風呂もさぞよかろう。
体に湯気を纏い、冷えた石の上をそろりそろり。
湯船に入ればそれはもう。あぁ〜たまらん、たまらん。

火照った体を夜風で冷ましつつ。
この日は早めに眠りについた。

***

Day4

ついに最終日。
昨夜の温泉と美味しい食事でだいぶパワーチャージされた。

発車待ちの運転席。
トンネルの先へ想いを馳せる。

新幹線までの約半日、この日も神戸市内を観光。

最初に訪れたのは旧居留地。
旅行記を書くにあたって調べてみたが、この旧居留地に住んでいた外国人たちが山手に住居を構えるようになったのが、前日訪れた北野異人館らしい。

丸い看板とぽつんと灯り。

現在この旧居留地には、ブティックや百貨店が立ち並ぶ。
まるで、街自体が美術館のようだ。

神戸市立博物館。
展示を見る時間がなかったのはとても惜しい。

おしゃれな街並みを姿勢を伸ばして、颯爽と歩いてみる。
ブランド品なんてひとつもない。旅行のための動きやすい格好と、使い古したリュックは、だいぶ場違いに見えたかもしれない。

でも、これが私らしい格好だから。
どんなに格好つけたって、着飾ったって、自分の好きな格好でなければ似合わない。私は私の格好で街を歩く。それでいいの、ふふふ。

そんな華やかな気持ちで歩いていたら、可愛らしい洋菓子屋さんに出会った。

どうやら兵庫にしか店舗がないお店らしい。
定番のお土産もいいけれど、街を歩き、そこで出会ったものにはきっと縁がある。自宅用と、それぞれの実家へお土産にお菓子を購入。

帰ってから紅茶と一緒にいただいたが、香りも味も食感も、全てが美味しくて。このお店の前を通ることができてよかった、と心の底から思った。

***

何事も備えや準備は大事だ。
でも、私は旅の事前準備しすぎない。ネットに転がる誰かのおすすめで「何がどういいのか」「どれがどう美味しいのか」知りすぎてしまうのが嫌だから。

本来それを知りたくてリサーチするけれど、初めての街に行くならば、まずは自分の五感で試したい。できるだけその場で「いい」「美味しそう」と思った感覚を大事にしたい。目的優先ではなく、感覚優先で。

あとで実は有名店だと知ることもある。
まだほとんどの人が知らない場所だったこともある。
たまにはあまり良くないことも。

どちらにせよ、「あ!」と見つけた時の感覚が、図鑑のように自分の中にストックされていくのが楽しい。そういった経験を重ねた人生にしたい。

今回はそうした経験を旦那さんと一緒に共有する旅だった。
「あ!」の感覚を楽しんでくれる彼と一緒に旅するのは、嬉しくて、楽しい。

***

あっという間に半日は過ぎた。

最後のご馳走は神戸牛、旦那さんのご希望だ。
目の前で焼かれるお肉とニンニクの香りが香ばしい。

たくさんわがまま聞いてくれてありがとうね。
また一緒に出かけましょう。

私たちは肉を頬張り、笑いあった。

【おわり】

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