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大西康之著「起業の天才」レビュー

江副浩正、リクルート事件といっても、当時学生だった私には正直ピンときませんでした。が、あのアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスがその「部下」だったということ、そして「起業の天才」というタイトルに直感が働き、購入しました。

直感は正解。これは面白い。

グーグルの検索を先取りしていたこと、独自のクラウド・コンピューティングを構築していたこと、読売新聞との全面戦争などなど、面白い点は多々ありますが、個人的にもっとも感じたのは「惜しい」ということ。

江副さんは複雑な生い立ちだったことが強く影響したのでしょう、「法を犯しさせしなければ、何をやってもいい」と倫理観が欠如した部分があり、それが未公開株の譲渡などグレーゾーンの行為に走らせた。

江副さんが逮捕されなければ、リクルートはグーグルのような存在になっていたかもしれません。これが、非常に惜しい。

ちなみに、江副さんの逮捕は検察でなく、マスコミがリードしました。当時の法律では、未公開株の譲渡はシロであり、検察は立件できないと見ていた。ところが、マスコミが「濡れ手に粟なんて、おかしいでしょ!」と国民感情を煽り、それを背景に徹底的に調べてすっぱ抜いた。

これ、マスコミによるリクルートへの嫉妬でしょう。

マスコミから見れば、リクルートは何をやっているかよくわからない会社であり、新聞社等から不動産関係の広告費をかっさらっており、とにかく腹立たしい存在だった。売上においても、電通を抜き、朝日新聞を抜くのも時間の問題という状況でした。

リクルート事件をスクープした朝日新聞は、本来であれば新聞協会報道賞を受賞してしかるべき超大型案件ですが、別件で自作自演の捏造報道を行っていたこともあってか、受賞を逃しています。

以前、私は新聞社で働いていたのでよくわかりますが、基本的にマスコミは特ダネを取ってナンボ、という体質なんですよね。

こんな言い方をしては批判を浴びるかもしれませんが、マスコミによる嫉妬心や小さな正義心のため、世界で戦える前途有望な企業をつぶしてしまったのではないか、と感じられるのです。

もちろん、リクルートは江副さんが去った後も現在に至るまで素晴らしい成長を続けていますが、江副さんが逮捕されていなければ、GAFAのような存在になりえたのではないかと、惜しくてしかたないのです。

興味を持たれた方は、ぜひ。

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