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034.読書日記/マンガ「陰陽師」とその周辺

図書館で予約している「きのう何食べた」がなかなか回ってこないので、マンガコーナーにいつもある「陰陽師」(作:岡野玲子さん、原作:夢枕獏さん/白泉社)を読んでいます。ずいぶん前に野村萬斎さんが主演の映画を見ました(TVで)。
平安時代を舞台にチョット怖い異界要素の事件を安倍晴明が解決する、平安貴族オカルトミステリー、みたいな感じで面白く読めます。作画の完成度も高くて、美男美女がたくさん出てくる少女漫画の楽しさも味わえます。
そして何気に、ハマって見ているNHK大河ドラマ「光る君へ」と時代が一緒なので、併せて楽しいです。

美しい表紙(本はとてもくたびれている)。

もうすぐ映画「陰陽師0」が封切られるそうですが、最近はCGの完成度が非常に高いので、ファンタジー世界の再現もがっかりせずに見られてすごいですよね。予告でほぼ満足してしまった。

安倍晴明というと、私なんかは「保名」という歌舞伎の舞踊が思い浮かびます。尾上菊五郎さんや市川團十郎(当時は海老蔵)さんのご出演で何度か拝見しました。安倍保名(晴明の父)と葛の葉(実は白狐で晴明の母)の物語の中の一幕なんですよね。

「陰陽師の原像」も読んでみました。著者は1927年生まれで、本の冒頭に、「戦前世代は『陰陽師』について知識も関心もなく、それは明治維新の近代革命時に陰陽道を布教することも陰陽師を名乗ることも法律で禁止されたから」だと書かれている。それがここまで周知され人気が続いているのは、夢枕獏さんがきっかけなんですよね。すごいな。

「陰陽師の原像」(沖浦和光さん著/岩波書店)

「光る君へ」の第12回でで庚申待(こうしんまち)についての描写があって、60日に一度、徹夜で飲んだり遊んだり楽しそう!と思って見ていたら、そう思うのは私だけではないようで、この本の中に「平安期から貴族の間で行われていたが、近世には庶民にも広まった」とあった。2ヶ月に一度くらいなら徹夜で遊ぶの、ちょうど良いタイミングですよね。
ほか、安倍晴明やライバルの蘆屋道満(あしやどうまん)、陰陽道の祖と言われる吉備真備についてなど面白く読んだ。陰陽師は式神なんて使わないのと、カレンダーを作るのが重要な役目とか、なるほど!と思うことも。民間陰陽師や柳田國男の「特殊民」の項を読むと、横溝正史の映画に出てくる「祟りじゃ〜」と叫ぶお婆さんのことが思い出された。

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