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ウズベキスタンのスザニ刺繍体験

はじめまして!「しまとねりこ」と申します。

普段は民族刺繍の技法を学び、実践してYouTubeに動画を挙げたりしています。(YouTubeで「しまとねりこ 民族刺繍」と検索お願いします…)
たまに国外を出て、本場の刺繍を見に行くことがあります。
今回は、ウズベキスタンでスザニ刺繍を体験したことについて紹介していきます。


1,サマルカンドへ

中部国際空港から韓国の仁川空港を経由し、ウズベキスタンのタシケント空港まで飛行機で移動。タシケントからは新幹線でサマルカンドへ。
3月に行ったのですが、気温は20度をやすやすと超え、半そででも過ごせそうな気候でした。

サマルカンドでは、様々な時代の建造物を見ることができます。
例えば、最近建てられたであろうビルや旧ソ連時代の建設物、イスラム教のモズクなどなど…

日本でいうと奈良県のようなところでした。

サマルカンドの街中

2,いざ、スザニ刺繍体験

ウズベキスタン旅行会社の刺繍体験ツアーに申し込みました。
サマルカンドのレギスタン広場近辺にあるハンドクラフトセンターで開催されました。
生徒は私一人だったので、付きっ切りで教えてもらうことができました(笑)

ウズベキスタン人の夫婦が先生でした。奥さんが刺繡を実際にやって見せてくれて、旦那さんが英語に翻訳して教えてくれるという形式です。

私の英語力が貧弱すぎて、うまく聞き取れたきがしない…。
けれど断片的には聞き取れたので、7割くらいは理解できた気がしないでもない!
それでは、使用するものと技法について解説していきます!!

布の種類は絹・木綿・麻などがあり、刺繍糸は絹糸です。針は普通の刺繍針。
刺繍枠は使用せず、裁ちばさみも使わないで、爪で糸をちぎっていました。ワイルドですね。

モチーフは主に花・草・鳥・果物などの自然のものが刺繍になっていました。今回教えてもらったのは「ザクロ」と「花」のモチーフ。

ザクロは全てチェーンステッチを使用して刺しました。
できるだけ縫い目のチェーンを小さくすることが、完成後の美しさにつながるようです。

ザクロの刺繍


花はボスマステッチという縫い方でした。
聞いたことのないステッチですが、ハンガリーにも同じ縫い方があった気がする…。

花の刺繍

他にも猫をモチーフとしたスザニや、作成に1か月かかる巨大な壁掛もありました。

3,スザニの歴史

スペインからチムール(ウズベキスタン周辺)に大使として派遣されたクラビホという方が記した旅行記が現存する最初の記録です。
現物については18世紀のものが最古です。やはり、どこの地域でも刺繍の保存は難しいのだとわかりますね。


ペラペラな日本語でスザニについて解説してくれた土産物店の店主によると、下の写真の柄について、「赤は火を意味し、周りは水を表す。これはゾロアスター教の影響を受けた柄です。」と言っていました。
本当かどうかはわかりませんが、本当ならば、かなり昔からスザニがあったのではないかと考察できます。
ウズベキスタンがゾロアスター教を信仰していた時期は、トルコ化するよりも前なので大体6世紀後半くらいでしょうか…?
これは真偽を確かめる必要がありますね、もっと勉強しようと思います(笑)

ゾロアスター教がモチーフ(?)のスザニ


13世紀にチンギスハン率いる元に征服され、一旦文化が途切れます。
その後14世紀にアミール・ティムールがウズベキスタンを支配します。アミール・ティムールはウズベキスタンに様々な文化を持ってきたため、現在でもウズベキスタンの人々に尊敬されています。
「チンギスハンは全てを持ち去り、アミール・ティムールは全てを持ってきた」と言われているそうです。

19世紀にソ連の支配下に置かれると、高級な布や糸は全てソ連の中心に持っていかれます。当時のウズベキスタンでは、あまり状態のよくない布や化学繊維の安価な糸でスザニの歴史を途絶えさせないように技術を伝承しました。

そして1991年、ウズベキスタンが独立を果たします。
現在では、手刺繍よりも機械刺繍の方が安いことから、お土産屋に並ぶほとんどのものが機械刺繍だそうです。
しかし、機械刺繍は目が粗く、比べてみても手刺繍の方が繊細でとても美しいので、一目瞭然です。

「仕事はスピードではなく、その質で良しあしが決まる」
という刺繍体験の先生の言葉がとても身に沁みました。

4,おわりに

色とりどりで美しいスザニ刺繍を先祖代々受け継ぎ、時代の煽りを受けてもなお、また次の世代へと託していく。人類の営みの美しさが垣間見えますね。

刺繍の美しさはもちろんのこと、モスクなどの建造物もとても見ごたえがあります。食べ物も美味しいですし、観光客に気さくに話しかけてくれる現地民もいて、ウズベキスタンが大好きになりました!

実際にスザニ刺繍を再現した動画を上げていますので、よければそちらも見ていってください!!

         「ウズベキスタンに、行くべきスタン」

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