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心揺さぶられたことを仕事にすれば、人生は輝く/花まる学習会代表 高濱正伸さん

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論
 第7回目の授業は、高濱正伸さんの講義でした。


高濱正伸さんについて

花まる学習会代表。1959年熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学に入学。1990年同大学院修士課程修了後、1993年に「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を重視した、小学校低学年向けの学習教室「花まる学習会」を設立。


誰がなんと言おうと「自分はこれが好き」というものを見つける

私たちは、就職ランキングや偏差値、点数、年収などによりランキング付けされることを数多く経験してきました。こういった外部の尺度に振り回されても、結局「自分の幸せ」を得ることはできません。では、どうしたら自分の幸せを見つけられるのかというと、高濱先生曰く「自分はこれが好き」というものや「心から感動すること」を見つけるのが一番だということ。高濱先生自身、20代の頃は働かずに、ずっと自分が感動することを追い求めていたとのことでした。例えば、音楽を聴いたり、映画鑑賞したり、落語や博打にはまったり。さまざまなことを体験し、本気で心揺さぶられることを探されてきました。


自分が心揺さぶられたことを仕事にする

そして、「心揺さぶられることが見つかったら、それこそを仕事にするべきだ」と高濱先生はおっしゃります。そもそもワークライフバランスという言葉自体がおかしく、ワークは嫌なものではないし、バランスを取るものでもない。好きでたまらないものをワークにすると、「人として輝けるんだ」とおっしゃられた言葉が印象的でした。先生自身、「教育」に心揺さぶられると気がつかれて以来、今も授業をすることがずっと楽しくてたまらないんだ、とのことでした。

また、自分が「これをやりたいんだ!」と決めたことに対しては、外野から何を言われても、その評価基準に引っ張られずに進んでほしいとのこと。実際に先生も、「幼児教育をやる」と言ったときは、予備校時代の友人たちから「単価が安いから儲からない」「やめておけ」と散々言われたとのことです。でも、売上などはただの結果だから、自分の楽しさには関係ないんだ、と先生は一蹴されます。
これを聞いた時、先生はなんて軸がぶれない人なんだろう…!とても素敵だな、と思いました。一方で、そんなに簡単に自分の想いを貫けるのか?と思ってしまう自分もいました。


では、どのようにして先生は自分の想いを貫ける人になったのでしょうか?

一つ目のポイントは「日記」。高濱先生は幼い頃からずっと日記を書き、第三者の目を気にしない言葉を出し続けてきました。これにより、揺るがない自分の軸ができたとのことです。

二つ目のポイントは「たくさんのことを体験」してみること。
20代をかけて、ああでもない、こうでもないと経験されてきたからこそ、自分の心揺さぶられることが見つけられたのこと。ハウツー本を読んで焦ってばっかりいるのではなく、色々なことを自分で体験し、知っていけばいいんだ!とおっしゃっていました。

三つ目は、「思考する習慣を作る」こと。
先生は、24歳の1年間を哲学に費されています。「この1年間は哲学をやる」と決めたので、午前中は、一つのテーマについて一人で考え抜き、午後は友人と議論をする、そんな毎日をすごされたとのこと。例えばテーマは、「生きる意味」「子どもは必要なのか?」「人殺しはいけないことなのか?」など──。思わず、えっ古代ギリシャなの…?!と思うような学生時代ですよね。でもそのときに考え抜いた時間こそが財産であり、今も自分の礎になっているとのことでした。



この話を聞いた時に、「人間とは大きな壺である」という話を思い出しました。初めに自分の核となるような大きな岩を入れて、後は少しずつ石を足す。最後に砂を詰め込んでいく。岩は後から入れることはできないので、早いうちに入れておくんだ、というお話です。
高濱先生が哲学して得られたのが、この岩であり、自分の軸となる価値観なんだと思いました。そして、高濱先生のはなまる学習会では、価値観を明らかにするためにまず土台となる「自分の頭で考える(思考力)」を子どもたちが身に付けることに重きを置いているのだと理解しました。

大人になり、仕事が忙しくなると、なかなか自分と向き合い、「内省」する機会が取れなくなります。しかし、他者評価ではなく、自分の価値観を貫いて生きるためには、定期的に自分と向き合う機会を作る必要があるんだな、と改めて思いました。

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