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第二章 食べて生きるための進化とは?-002

2.五感の神経ネットワークと直立二足歩行

樹上での移動には、木々を飛び移るために
正確な距離を測る必要があります。

このため一部の霊長類は、顔の前面に目を移動させました。
(五感は移動をするのです。哺乳類であるクジラは海に戻り、
鼻を頭のてっぺんに移動させました)

樹上での移動はエネルギー消費が大きく、
しかも落下するという危険を伴うため、
樹上と地上とを往復する動物が現れました。

ちなみに、ゴリラはオスが集団内を束ねている時には、
メスは一緒に地上で寝ます。
しかし、オスが不在の場合には決して地上には寝ないそうです。

やがて、私たちの祖先である人類は、なぜか森林を後にしたのです。*1


一説には森林内での選択圧に負けたからではないか?と言われています。

しかし実際のところ、なぜわざわざ危険なサバンナでの生活を選んだのか?は、いまだに明らかとなってはいません。*2
しかも人類は、なぜか他の動物の進化の歴史にはない
直立二足歩行を始めました。

このことによって、頭は体の一番上へと移動しました。*3,4



優秀な聴覚と臭覚に使っていた脳の神経ネットワークを、
視覚に約80%も再編させたのです。

なぜなら、捕食者と獲物の両方の情報を視覚によって、
一気に掴むことができるようになったからです。
(神経ネットワークは、必要に応じて改変することのできる仕組みを持っているのです。これって重要です)

また直立二足歩行することによって、喉の大きさが奇跡的に広がり、
狩猟時代後期にはこれを利用して発語機能が始まりました。


*1Y. Coppens. Le Genou De Lucy: Histoire De L'Homme Et L'Histoire De Son Histoire. Odile Jacob (2000).「ルーシーの膝 人類進化シナリオ」 イヴ・コパン著、馬場悠男、奈良貴史訳、紀伊國屋書店、(2002年)

*2 R. E. Leakey and R. Lewin. Origins Reconsidered: In Search of What Makes Us Human. Anchor; Reprint edition (1993) .「ここまでわかった人類の起源と進化」ロジャー・ルーウイン著、保志宏訳、てらぺいあ、(2002年)

*3 Darwin,C.R. The descent of Man. London:John Murray,(1871)140-42.
「人間の進化と淘汰(ダーウイン著作集1・2)」長谷川真理子訳、文一総合出版、(1999-2000年)

*4 D. E. Lieberman. The Evolution of the Human Head. Belknap Press: An Imprint of Harvard University Press(2011).


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