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第二章 食べて生きるための進化とは?-011


考えるヒント

動物園の飼育員がテレビのインタビューに、
このようなコメントを述べました。

「動物園を訪れるみなさん。人間の食べる食べ物を動物に投げ入れないでください。動物が人間の食べ物を食べると、虫歯になってしまいます。動物が虫歯になると治療をすることができません。動物を大切にする気持ちは、みんな一緒です。もし動物に食べ物をあげたいと思うのであれば、動物園が提供する食べ物をあげてください。どうぞご協力をよろしくお願いします。」

テレビのインタビューにて

と。

(動物園で飼育されている動物の方が、
人間よりも健康的な食べ物を食べているということのようです)

次に、子どもの質問に専門家が答えるという番組を
カーラジオから聞いた時、ある驚きを生じたのです。

「今日はお口をテーマにします」というアナウンスが流れました。
 
子供が動物学者に質問をしました。
「他の動物には、虫歯や歯周病はあるのですか?」

 動物学者は「ありません」と即答しました。

次の質問は
「歯並びが悪かったり、噛み合わせの悪い動物っているのですか?」と。

すると動物学者は「いません」と答え、その理由を述べたのです。

「他の動物は、あごで直接捕食します。もしそのような困った現象を生じれば、食べることができなくなります。そのような動物は、人知れず自然淘汰の対象となってしまうのです。」

ラジオインタビューより

と。

(人間は進化することによって、不健康を作りだす動物となってしまったのでしょうか?)*2

*1 M. Konner and S. B. Eaton. Paleolitic nutrition: 25 years later. Nutrition in Clinical Practice (2010)25: 594-602.

*2 M. N. Cohen, and G. J. Armelagos. Paleopathology at the Origins of Agriculture. Academic Press(1984); R. H. Steckel. and J. C. Rose. The Backbone of History: Health and Nutrition in the Western Hemisphere. Cambridge: Cambridge University PressCohen(2002); M. N. Cohen, and G. M. M. Crane-Kramer. Ancient Health: Skeletal Indicators of Agricultural and Economic Intensification (Bioarchaeological interpretations of the Human Past: Local, Regional, and Global). University Press of Florida.(2012)

新型感染症がもたらした健康意識

2020年に到来した新型感染症は、
私たちの不健康問題の現状と不健康に対する意識について、
改めてスポットライトを浴びせるきっかけとなりました。

それまでの過食による肥満、肥満による生活習慣病によって、
自分達の免疫力を低下させ、挙げ句の果てにさまざまな生活習慣病とリンクさせても、対症療法の慢性病薬さえ飲んでおけば、それで良いと考えていました。

また、このための多剤服用も仕方のないことだと受け止めていました。

新型感染症の到来により、政府は医療機関への受診を
控えるように勧告しました。
多くの医療機関は感染症外来であること、
またさまざまな対症療法薬を服用すれば、
免疫力を低下させる事につながると解説を加えたのです。

このことによって感染症の罹患を恐れた人々は、
健康で元気でなければ生きる資格がないことに、
ようやく自覚したようです。

いみじくも世界同時のパンデミックは、世界中の人々に
何を食べたら良いのか?
どのような食生活をすべきか?
について真剣に考える、(良い)きっかけを作ったかのようです。*1

やがて、これらの慢性病薬の服薬や
喫煙を自主的にやめた人が増えたと、ニュースは報じました。

その半年後、報道はこの中のたった1割しか重症化しなかったと
情報を提供しました。
(まるでブラックジョークを聞いているかのようでした)

移動制限の中、健康をどうすれば維持ができるのか?
不健康を生じさないためにはどうすれば良いのか?
ということを、
食生活から自分の体の反応を通して気づけるようになったと、
人々は語っていました。

保存食はあくまで保存食として備蓄すればよいと改めて認識したと、
(細々と)付け加えていました。

私たちはネズミの研究から、(あらためて)自分の健康について学ばなければいけなかったわけではなかったようです。(失礼!)*2

しかし如何せん、トライアンドエラーの好きな人間は、さまざまな食品開発を心待ちにする創意工夫を楽しむ動物のようです。

*1 M. Pollan. In Defense of Food: An Eater’s Manifesto. Penguin Books.(2009)

*2 R. Paul, et al. The Borders of the Self: Contamination Sensitivity and Potency of the Mouth, Other Apertures and Body Parts. Journal of Research in Personality. Vol.29,1995, pp.318-40.


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