島田幻史

フリー作家。 ■電子書籍を、12書店から¥220~で販売しています。 Amazonキン…

島田幻史

フリー作家。 ■電子書籍を、12書店から¥220~で販売しています。 Amazonキンドル、楽天ブックス、iBooks、紀伊國屋書店、BookLive、ebook、BOOK☆WALKER、ブックパス、ReaderStore、DMM com、7net、dブックなど。

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  • 闇袋

    人の心を見ることができる北川奈乃は、その能力のせいで思いもよらない騒動に巻き込まれていく。 ジャンル:サイコ・サスペンス 文庫版:396ページ

最近の記事

【長編小説】血族 #68

 彼女には電話の連絡先に警察しか思いつかなかったのだ。警察に連絡すればすべて解決すると思い込んでいたが、よくよく考えてみると、確かになにを話せばいいのかがわからない。  私たち妊娠させられて、いま拉致されてるんです! か?  ――どこに?  マザーハウスです。  ――マザーハウスってどこ?  ――住所は?  ・・・・。  確かに答えられないことが多すぎる。これではどれだけ時間があったって、説明できそうにない。  これは思っていた以上に深刻なんだと、真尾は改めて実感していた。も

    • 【映画】ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

      amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 1940年、第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれるなか、ヨーロッパの運命は、新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねられた。度重なる失策から " 政界一の嫌われ者 " であったチャーチルは、政敵たちに追いつめられながら、ヨーロッパのみならず世界にとって究極の選択

      • 【長編小説】血族 #67

         食堂にも調理室にも誰もいなかった。  電気も消えている。  真尾がシャンデリアの電気を点けると、アリアが驚いて真尾を見る。 「電気を消したままコソコソしてると、余計に怪しいわよ」と真尾。「飲み物でも飲みに来た、みたいにしないと・・・・」  アリアは深く肯いてからすぐに電話機の前へ行って確認してみたが、残念ながらその電話機も部屋にあった内線電話と同じで、ダイヤルはついていなかった。 「残念・・・・」八人掛けの大きなテーブルに坐りながらアリアが悔しがっていた。「ま、それほど期待

        • 【映画】ザリガニの鳴くところ

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっか

        【長編小説】血族 #68

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        • 闇袋
          66本

        記事

          【長編小説】血族 #66

          6 「よーく考えてみたんだけど――」小野アリアは、自分のベッドの上で、足を抱えるようにして坐っていた。「このままじゃ、私たちって、ほんとに発見されないかもよ」 「かも、じゃないわ。発見なんてされないわよ」 「だよねー。私たちがいなくなったことがわかっても、どこへ行ったかなんて、絶対わかんないよねー」 「そうなの。友だちとかが騒いで警察に届けてくれても、じっさい失踪ぐらいでは警察もたいして動けないでしょ」 「じゃ、自力で解決する手段を考えないとダメなんだ」 「そういうこと」

          【長編小説】血族 #66

          【映画】NOPE/ノープ

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 亡き父から、牧場を受け継いだOJは、父の事故死をいまだに信じられずにいた。飛行機部品落下による衝突死とされているのだが、そんな " 最悪の奇跡 " が起こり得るのだろうか? 何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。妹のエメラルドはこの飛行物体を撮影して、 " バズり動画 " を世に放つことを思いつく。やがて起こる怪奇現象の連続。それらは真の " 最悪の奇跡 " の到来

          【映画】NOPE/ノープ

          【長編小説】血族 #65

           意外にも、高木先尾は離婚に反対した。別居してもいいし、なんなら親権も放棄する。だが、離婚は絶対認めない、とかたくなだった。  これまで他人の離婚を、 " 一番身近なパートナーさえもコントロールできない無能な男 " として卑下してきた男なのだ。自分の離婚を認めるわけがなかった。  その代り、決められた養育費は真尾が大学卒業するまで払うという条件だった。  母親は真尾とふたりで近くのマンションを借り、書店でパートをはじめた。生活費は父親からの養育費で充分足りていたので、それはあ

          【長編小説】血族 #65

          【映画】死体が消えた夜

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 大学教授のジンハンは、その日妻を毒殺した。年上の妻に不満を感じていた彼は、女子学生との不倫に走り相手は妊娠、妻と別れるためには殺す以外なかった。証拠の残らない新薬を使ったことで彼の狙い通り妻は病死と判断され、幸福な未来は手にしたも同然だった。しかし、死体安置所から妻の死体が消えたという不可解な電話で呼び出されたジンハンに、刑事の執拗な尋問が始まる。それはこれから始まる奇妙で恐るべき一夜の幕開けだ

          【映画】死体が消えた夜

          【長編小説】血族 #64

           それ以来、父親はますます真尾を遠ざけるようになった。  話しかけようとしても、仕事だと言って背中を向ける。真尾の視線に気づいた時には、軽くにらみ返してため息をつく。そしてすぐに書類に目をおとす。  母親も、父親とは口をきかなくなった。朝も、夜も、食事中でも口をきかない。  真尾が間違って箸を茶碗に当ててチンッと音を出すと、すぐに父親が目だけで睨んできた。それに気づいた母親がお椀をガンッと音をたてて置く。  そんな食事だった。  そのうち父親はほとんど外で食事をしてくるように

          【長編小説】血族 #64

          【映画】感染家族

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 平和な田舎を襲う、史上最恐のゾンビ大群! 命がけの家族の攻防、果たして彼らの運命は!? 田舎の寂れたガソリンスタンドで暮らすパク一家。定職もなくその日暮らしの彼らは、突然現れたゾンビ(チョン・ガラム)に噛まれた父親マンドク(パク・イナン)が若返ったのを見て、一攫千金の<ゾンビビジネス>に乗り出す。日和見主義の長男ジュンゴル(チョン・ジェヨン)と妊娠中の妻ナムジュ(オム・ジウォン)、口八丁の次男ミ

          【映画】感染家族

          【長編小説】血族 #63

           そして真尾が八歳の時、ついに家庭が崩壊した。それまで両親がそれぞれ少しずつ誤魔化してきたものが、真尾のことばによってついに表面化したのだ。 「私って、パパの子供じゃないの?」  真尾は母親にそう訊いた。まだ小学三年生だったにしても、それがなにを意味するのかはわかっていた。それをいままで口に出さなかっただけのことだ。  自分が父親の子供じゃないという思いは、もの心ついた時からずっとあった。父親が真尾の顔を手で抑えつけて、呪文のようにずっと唱え続けてきたからだ。  酒臭い息で―

          【長編小説】血族 #63

          【映画】ジョー・ブラックをよろしく

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 死神と令嬢の切ない恋・・・ブラッド・ピットが甘くせつなく贈る、不思議な世界のラブ・ストーリー。―――――――――――――――――――――――――――――――――― もう20年以上前の作品なんですね。 全然知りませんでした。 タイトルからも、 パッケージ写真からも まったく想像できない内容ですが 面白かったです。 なにも知らないで観るのがイイですね。 若かりし頃の ブラッド・ピットを観るだけ

          【映画】ジョー・ブラックをよろしく

          【長編小説】血族 #62

           ◇ 「こいつの目は、だれの目だぁ?」  高木先尾は、酒を飲むと決まって真尾の目をのぞき込んだ。  正確には上まぶたを押さえて、瞳を観察していた。  当然ながら、そんな時の父親は猛烈に酒臭い。瞳をよく見ようと顔を近づけるものだからなおさらだ。  真尾は息を止めつづけるのに必死だった。 「母親は茶色、俺も茶色。でも、コイツの瞳は、ちょっとグレーがかってないか? ああん?」 「そんなことないわ。真尾もきれいな茶色よ。まだ子供だから少し薄く見えるだけよ」と真尾の母親である真記は、

          【長編小説】血族 #62

          【映画】鳩の撃退法

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 一年前、閏年の二月二十九日。雪の降る夜。かつては直木賞も受賞したが今は富山の小さな街でドライバーとして働いている津田伸一は行きつけのコーヒーショップで偶然、幸地秀吉(風間俊介)と出会い、「今度会ったらピーターパンの本を貸そう」と約束をして別れる。しかし、その夜を境に幸地秀吉は愛する家族と共に突然、姿を消してしまう。それから一か月後、津田の元に三千万円を超える大金が転がりこむ。ところが喜びも束の間

          【映画】鳩の撃退法

          【長編小説】血族 #61

           驚いたことに、もうテレビが入っていた。まだ画面に五十二インチとシールが貼ったままの液晶テレビだ。  テレビ台にはちゃんとDVDビデオ機が入っていた。 「なにー、この差!」アリアは驚きの声をあげた。「スゴいじゃない! それも新品!」 「昨日、頼んだのよ。なにか足らないものはないかって聞かれたから、映画観たいって」 「なるほど。で、これ?」 「そう」 「それにしてもスゴいわね。――大っきいテレビ! お金持ちなのね、ここ」 「うーん。よく、わかんないけど・・・・」  アリアは部屋

          【長編小説】血族 #61

          【映画】騙し絵の牙

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 大手出版社「薫風社」に激震走る! かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、お荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)は、無理難題を押し付けられて廃刊のピンチに立たされる…。速水は、新人編集者・高野(松岡茉優)と共に、イケメン作家、大御所作家、人気モデルを軽妙なトークで口説きながら、ライバル誌、同僚、会

          【映画】騙し絵の牙