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セレモニーじゃない、Ceremonyである理由:”星空のCeremony”

The ALFEEの通算71枚目のシングル、”星空のCeremony"---なんとあの”メリーアン”(16枚目のシングル)でオリコン入りして以来連続56作のトップテン入りという何気にすごい記録をすでに打ち立てているのです!
久しぶりにグワングワンギュインギュイン(語彙力)のロックなサウンドに桜井さんの未だ進化し続けている素晴らしい美声が響く名曲です!

”星空のディスタンス”をちょっと意識して、と高見沢さんがインタビューやラジオで言っていたましたね!(*サブスクが解禁されましたのでどうぞこちらで〜↓)


さて、その”星空のディスタンス”はカタカナだったのに、こちらではセレモニーではなく英単語のCeremonyを使っているんだなぁ、と思いながら聴き始めたのですが歌詞の全貌が見えてきた時に、”あーこれならカタカナではなく英語だな” と納得しました。

天才・文才トシボン(尊敬の意を込めて)が意図したかそうでないかは不明ですが、英単語のceremonyの隠れた意味を加味しながら、どうして高見沢さんは英単語にしたのか!を考察します。

日本語のセレモニー

みなさんは”セレモニー”と聞いてどんな状況が思い浮かびましたか?
一般的には結婚式やお葬式などの冠婚葬祭、もしくはオープニングや記念式典などの皆さん正装でかしこまった 〜式 を思うのではないでしょうか。

”星空のセレモニー” とカタカナを使ったタイトルだとお祝いをしているような、嬉しい出来事、何かを讃える儀式、などの様子が自然と浮かびます。
星空の下で大切な約束をするのか、誓いの式があるのか、はたまた厳かに何かが終わるのか・・・セレモニーは初めから終わりまで正式な段取りに沿ってお祝いなりをするイメージです。

なのに歌詞はそうではない・・・・何のお祝いも式典も儀式もない・・・

一体何がセレモニーなのやら???? そんな疑問すら湧き上がります。

英語のCeremony

英語の ceremony ももちろん式典や儀式という意味です。
Graduation ceremony(卒業式)や Retirement ceremony(引退をお祝いする式)など、結婚式や葬式以外にも宗教や人生の節目やきちんとお祝いをする会などで使う言葉です。
そしてceremonyというと大体が司会者や進行役やリーダーのような人が取り仕切り、順序立てて会を進めることが前提となり、ただ集まって勝手気ままにワイワイとお祝いするpartyとは全く雰囲気が違います。

そしてそれとは違う二つ目の意味もあるんです。

それは”儀式のようにとりあえず順序立てて行動すること””形式に沿っているけれどあまり意味のない行動” や ”形だけは整えているけど重要ではないこと” など、

するべきだからやる・形式的に一応やる(けど本当は意味がないとわかってる)こと を指します。

あら!!そしたらちょっと歌詞の受け取り方が変わってきますね。


二人が星空の下で厳かに執り行っている”愛を確かめ合う儀式セレモニー”、ではなく今まで通りの形でやってはいるけれど高見沢さんは どうかな・・・ と思ってるあれやこれや、が浮き上がってきます。

歌詞を抜粋してどの辺が”形式的に今までのようにやってること”なのかを太字で表してみます。

カシオペアを探して 車で丘の上まで来た
最後の口づけ交わす 出逢った頃のように
〜冬の星座に誘われ 車から降りて手を繋ぐ
〜遠く離れていても 変わらないと誓った

”星空のCeremony” より抜粋(作詞:高見沢俊彦)

この抜き出した部分だけを見ると彼らが幸せだったころのデートがどんな形だったのかがわかります。会うたびに遠距離でも愛を確かめ合い、また離れる時には変わらぬ愛を誓ったのだろうと容易に想像できます。

なのに今回は、この星空の下では二人の心は揺らいでいる・もうこの順序だった”愛を確かめる儀式”が形だけで意味がないものになりつつあるのが感じられる、そんな悲しい部分の描写もはっきりと書かれてあります。

凍える冬の空は 黙り込む二人のようだよ
遠距離恋愛に疲れ 別れの影忍び寄る
描く未来図 塗りつぶしても 愛の行方に答えなどない
すれ違う言葉が心を 少しづつ引き離した
冷たい指先から 行き止まりの愛を感じた
このまま歩いて行けない 夜の果てで立ち尽くす
すれ違う時間が心を 遠くへと引き離した

星空のCeremony 流星が夜空を切り裂く
別れの言葉も言えず 唇を噛んだままで

”星空のCeremony” より所々をあっちこっちから抜粋

結局は別れの曲なのだろうか

確か高見沢さんは何処かのインタビューでこの恋人たちが別れたのかそうでないのかを断言せずにリスナーの解釈で、と言っていたと思うのですが、確かにどっちだろう・・・と悩む部分がありますね。

〜明日が怖くなるのは 愛が深すぎるから
〜明日が怖くなるのは 愛が残ってるから
〜明日が怖くなるのは まだ愛しているから

別れたくないんだなぁ〜と思わせる高見沢さん

つがいの鳥は別の空目指し 傷だらけの羽を広げた
それぞれの未来へ飛び立て 新たな夜明け求め

はーーー!これはもう確実に別れましたね!と思わせる高見沢さん

本来の”セレモニー”な意味を思わせる唯一の部分

満天の星空の下 零れた涙拾い集めて
二年分の想い出と共に 夜空の星に散りばめた

過去を吹っ切る儀式のような場面

♪つがいの鳥は〜の部分から続く、短いこの2行はこの曲中唯一”格式ばったセレモニー”感が漂う部分です。
ぱっと見の印象からは別れの儀式のように感じますが、高見沢さんが言った通りに 別れたかもしれない、そうじゃないかもしれない のならいくつかの解釈が出来ますね。
どちらにしろここだけは前述のCeremonyの意のような”意味はないけど形通りにやる”のではなく、一人にしろ二人ともにしろ何らかの決心を伴った行動に映ります。


桜井さんの伸びやかな高音が夜空の星までも真っ直ぐに届きそうなこの歌。
その真っ直ぐで力強い声が振るわせる満天の星は別れる・別れないギリギリの恋人たちを照らしながらも静かに見守っています。

かつては500マイルの距離を愛だけをエネルギーに突っ走った桜井さんが切なくも男前に歌い上げる”星空のCeremony"---まだ聞かれてない方はぜひ聴いてみてください!

アルフィーらしい長くてかっこいいイントロ、ハーモニー、転調、ギターソロ、揃い踏みの名曲です!

シマフィー

両A面のもう一つのシングル"Circle of Seasons"の考察はこちら〜

”星空のディスタンス”をベースに書いたショートフィクション

”星空のディスタンス”から学ぼう!

”星空のディスタンス”にやられたお兄ちゃんの本当の話




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