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自分のトリセツ「脚本の書き換え方」

前回の記事「過去の錯覚と脚本の書き換え」では、マリリン・モンローを例えに、人は過去の記憶に対する意味付けによって、現在の思考や行動のパターンが決定づけられているということに触れました。

「人生脚本」という言葉は、アメリカの精神科医エリック・バーンが、人の性格分析のフレームワークとして提唱した交流分析の中の言葉であり、人の潜在意識の中に植え付けられている生き方の基礎となっている筋書きのことを表しています。

3つの脚本

人生脚本には、「勝者の脚本」「敗者の脚本」「平凡な脚本」という3つのパターンがあるとされており、誰もがこの3つの脚本を持ち合わせているとされているのですが、それぞれの「過去の記憶」によって、どの脚本が色濃く出るかが決まってきます。

マリリン・モンローを例にすれば、多くの人が羨むような美貌を持ち、幾つもの映画に主演女優として出演していた点に関しては、「敗者」でも「平凡」でもない「勝者の脚本」が彼女を突き動かしていたはずです。

一方で、恋愛や結婚ということになると、「自分には愛される価値がない」「愛は失われてしまうもの」というような、「敗者の脚本」が彼女を支配してしまっていました。

マリリン・モンローの例は、非常に分かりやすいものになってはいますが、このような形で、どんな人の内側にも、「勝者」「敗者」「平凡」という3つの脚本が存在し、置かれた状況や立場により、採用する脚本が異なるというような特徴があるのが「人生脚本」なのです。

敗者の脚本について

人生脚本のなかで、最も人生に悪影響を与えてしまうものが、「敗者の脚本」ということになります。

ここでの「敗者」という言葉には、「自分が公言した目的を達成しない者」という意味があります。

「自分自身と約束を守れない者」とも言い換えられます。

自分自身との約束を破り、自分自身のことを認めることが出来ず、達成感のない一生を送ってしまうという脚本が描かれてしまっている人のことを「敗者」と呼ぶのです。

「敗者の脚本」を書き換えるためには、実際に自分の内側で何が起こっているか、どのような脚本が存在しているかを確認する「自覚」のプロセス、そしてその脚本が生み出された過程には、「加害者」も「被害者」もいないという事実を受け入れる、「受容」というプロセスが非常に重要になります。

敗者の脚本の書き換え

「自覚」と「受容」を経たのちに辿るプロセスは、「信頼」というものになります。

「自己信頼感」という言葉がありますが、自己信頼感とは、自分のことをどれだけ信頼しているかの指標になります。

ここで勘違いしてほしくないのが、自己信頼感が高いという状態は、「自信がある」ということでも、「自分の感覚に正しいという確信がある」ということでもありません。

本当の意味での自己信頼感が高いという状態は、「正しくても間違っていても、自分の感覚を大切にする」ということなのです。

正しさとか、真実か否かとか、価値があるかどうかとか、権威とか、大多数が支持しているとか、そういったことを基準にしている限り、自己信頼感は低いままになってしまいます。

そうではなく、これらの基準から離れ、自分の感覚を最優先にできている状態のことを、自己信頼感が高いと呼ぶのです。

「わたしは自分の感覚に自信がありません。」

「間違っていることだらけだと思います。」

「もちろん、自分の意見に自信なんてありません。」

「それでも、わたしは自分自身の感覚を最優先にします。」

「もしも自分が間違っていたら、それはとても貴重な気づきです。」

「自分の感覚を修正していきます。」

「そうすることで、自分の感覚をより信頼できるようになります。」

このようなことを繰り返していくことで、自分の内側にある、自分自身に対する「信頼」を育んでいきます。

自己信頼感が高まってくると、「純情(すなお)」に自分のやりたいことを思い描き、自分のやいたいことに挑戦し、自分自身を諦められないようになっていきます。

「継続は力なり」と言いますが、継続が意味するものは、「自分の公言した目的を達成する」ということであり、自分自身の「身口意」が一致する状態のことなのです。

「身口意」とは禅で用いられる言葉になりますが、簡単に言うと「やってること」「言っていること」「考えていること」のことであり、それが一致している状態が、人の在り方として、とても貴重であるとされています。

自分が持つ「過去の錯覚」を自覚し、その事実を受容していった先には、自らの感覚を信じるというプロセスがあり、そのプロセスを辿ることによって、自分の考えていること(意)を、純情(すなお)に、言葉(口)や行動(身)に表現することができるようになっていきます。

この状態までたどり着けば、「敗者の脚本」は8割がた「勝者の脚本」に書き換わったと言えるでしょう。

そこから先は、自らを「俯瞰」し「内観」する力を高めることで、より高い視座で、より達成感のある人生を歩めるようになっていきます。

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