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おティー

お風呂上り、そうすることが日課のように、夫はキッチンにグラスに淹れたお茶をそっと置いてくれる。

バスルームで髪を乾かし終わると、「おティー、淹れたよ」の声が聞こえる。私たちはいつからか、お茶のことをおティーと呼んでいる。

風呂上がりの乾いた喉を冷たいお茶が通っていく。まるで、生きろ。と言われているように。夫にもお茶にもそんな意思はないと思うけど。それでも思うのだ、今日も夫は私を生かしてくれていると。

一緒に献立を考えて買い物をする日曜日の午後。同じものを食べて同じ栄養素を採って、結果的に同じようなものを排泄しているであろう私たち。

一緒に生きるってことは、同じものを食べるってことなんだ。

食べて、食べて、うんこして、ふろ上がりに冷たいおティーを飲んで、ゆっくりと今日も、私たちの今日が幕を閉じていく。



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