しまこ

関西出身、関東在住。 マーケティング業界。 本と夫の話が多めです。 2023.08~…

しまこ

関西出身、関東在住。 マーケティング業界。 本と夫の話が多めです。 2023.08~ 妊活始めました。 しょうもないことも面白くないことも、気まぐれに書いていきたいです。

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最近の記事

夜散歩

夫と夜散歩した。あたりは完全に暗闇となった夜9時ごろ、まだしっかりと寒く、ダウンジャケットが欠かせない。 満月に近い月がいた。辺りの雲まで明るく照らし、月の表面の凸凹が見えるほど、立体的で白に近い明るい月だった。 まずは近所の神社にお詣りする。細長く続く参道の両端に灯された灯りは、月の従者のようにまあるく、適切な距離で私たちの歩く先を照らしてくれた。 木々のざわざわ、虫の音があちらこちらから聞こえてくる。夜起きている同志だ。よろしくな。 その後、川沿いを歩いた。静かな

    • 石垣島は最高だった

      去年の秋、夫と石垣島に行ってきた。 最寄りの駅から出ている羽田空港への直通バスに乗る直前で、スマホがリュクサックの中に入っていないことに気が付いた。 あれ、ない……。バス停近くのトイレから夫が戻ってくるのを待つ間、できうる限りカバンに手を突っ込んでガサゴソ探したが、どこにもない。あらゆるポケットにも入っていない。 あちゃー。完全に家に忘れたわ。ギリギリまで充電しようと思ってベッドのコンセントで充電しっぱなしだわ。 幸い、一人旅行ではないし、夫が飛行機とホテルを予約して

      • 中秋の名月

        中秋の名月を見た。のは、去年の9月30日のこと。 こんなに大きくて真ん丸の黄色いお月さまを見たのは生まれて初めてだった。 月というより、お月さま。 すべての星を隠してしまうくらいの存在感を放ち、空低く、煌々と輝き、どこまでもまっ黄色で荘厳なお月さま。 月が綺麗だから公園まで散歩しよう、と夫と夜散歩した。近所の公園の丘から見た満月をこの先忘れることはなさそう。 私たちと同じように、月を見に来た家族が丘に座っていた。お父さんとお母さんと小学生の息子が2人。お父さんとお母

        • 入道雲が恋しい

          雲が大きいから、幸せだと思った。 夫と住み始めてから、幸せ感知度がバグっている。ベースがほかほか幸せだから、底冷えしないというか、嫌なことがあってもそれは上辺だけの嫌で、底は温かいままという感じ。 去年の8月散歩をしていたら、住宅街に大きな大きな入道雲がにょきにょきっと現れた。ワニが空に向かって吠えているように見えた。 生きていることにありがたみを感じた。 この雲を見た日から半年が経った。それは私たちが妊活を始めた月日でもある。最近の私は、子供がほしいとほしいと思うあ

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        • 夫が登場する話
          31本
        • 好きな本まとめ
          14本

        記事

          私たちの世界遺産

          先日、同僚と帰宅しているとき、「自分の7つの世界遺産」というものを持っているのだと教えてくれた。たとえば、それは小さいときに祖父と通った銭湯だったり、恋人と行ったパリの小さなレストランだったりするそう。 他の人からするとなんでもないような場所でも、自分にとっては後世まで残っていてほしい特別な場所を、「自分の世界遺産」として認定しているそうだ。そしてそれは、7つ以上増えたら、入れ替え制となるらしい。 おもしろい。 帰宅してから夫にこの話をし、私たちの世界遺産はどこにしよう

          私たちの世界遺産

          映画を観て気づいた私の気持ち

          今年の猛暑真っただ中の季節に「君たちはどう生きるか」を観た。 なぜ今ごろそれについて文章を書いているかというと、そのとき思った気持ちを記しておきたい!と熱い気持ちがあったのに、私がシンプルに怠慢だからだ。 寝かしておけばおくほど、思いが募ることもなく記憶は薄まってゆくのだが、今日が筆を執る最も早い日なのだから、めげずに記しておきたい。 一人バスに乗って15分ほどのところにある映画館に観に行った。そこで私は観終わったとき、鼻水だらだらで涙腺崩壊することとなる。 ※ネタバ

          映画を観て気づいた私の気持ち

          2023年下半期の好きな本まとめ

          本年もよろしくお願いいたします!2024年は、風邪をひき、初詣でのおみくじで凶をひき、なんてこったパンナコッタの幕開けとなったが、あとはよくなるだけだ!と前向きな気持ちになったのでした。 さて、昨年下半期に読んだ本の中から(少し漫画も含む)、好きな本を簡単な感想とともにご紹介したい。 今年もたくさんの自分にとっての良書に巡り合えますように! 『乳と卵』 川上未映子豊胸手術をするために大阪から上京してきた姉の巻子とその娘緑子を迎えるわたしの、三人の三日間の物語。巻子は、豊

          2023年下半期の好きな本まとめ

          妄想上の法事

          私は何を隠そう、真面目な状況であればあるほど、笑いがこみ上げてくる困った性質がある。 先日、家族と見知った親戚合わせて10人ほどでお寺で法要を行ったときのこと。 一人ずつ父から順にお焼香をしていくのだが、全員お焼香の前と後で参列者にお辞儀をしていった。 身内しかいないのに仰々しくお辞儀をしてお焼香を順にしていくシチュエーションがなぜかおもしろくなり、口を頑張って閉じるものの、口の中ではにやにやが止まらなくなってしまった。 一度トリガーが発動したら、もうそこからは雪だる

          妄想上の法事

          結婚して名字が変わった話のその後

          結婚してすぐの頃に、こんな文章を書いた。 この頃は、名字が変わると自分自身の一部が欠損するような、今までの自分とは切り離された何者かになるような奇妙な不安を抱え、名字を変えざるを得ない状況に辟易としていた。 それから約2年経った今の心境を書いていきたい。 今年転職して毎日新しい名字で呼ばれる日々となり、旧姓よりも新姓で呼ばれることが圧倒的に増えた。 先日久しぶりに前職の先輩に会い、旧姓で呼ばれたとき、あー懐かしい!と思うほどに、今では結婚後の名字が体に、心に馴染んでい

          結婚して名字が変わった話のその後

          電車にまだノビシロハアル

          満員電車に揺られる日々は、なかなかきつい。PCを持ち歩いているから荷物は重いし、腕は痛いし、あー座りたい、と思う。 座席の前にも立つことができず、ドアの前に立って、毎度駅で電車から降りて出口を開ける、同じ電車賃を払っているのに最も下層扱いとなるポジションで、何にも捕まることができぬまま、体幹を鍛えざるを得ないときに、気づいたことがある。 こんなに人でパンパンなのに、荷物置き棚がら空きじゃない? そうなのだ、前も後ろも横もきつきつなのに、上はまだ活用できるスペースがあった

          電車にまだノビシロハアル

          ここに証跡を残す

          先日、学生時代の友達に赤ちゃんが生まれたので会いに行った。 彼女曰く、子どもができると夫のことをあまりかわいいとは思わなくなったらしい。あんなに夫のことが大好きだった友達がそう言うなんて、ちょっとびっくりした。 なんでも、子どもに比べて旦那さんの顔大きいなと思うそうな。 それは当たり前では!?と思う反面、いや待てよ、確かに赤ちゃんに比べたら夫の顔は大きいし、つるつるつやつや肌の赤ちゃんよりもニキビ跡や髭のぽつぽつはあるし、自分も子どもが生まれたら、夫と子どもを比べて、相

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          おティー

          お風呂上り、そうすることが日課のように、夫はキッチンにグラスに淹れたお茶をそっと置いてくれる。 バスルームで髪を乾かし終わると、「おティー、淹れたよ」の声が聞こえる。私たちはいつからか、お茶のことをおティーと呼んでいる。 風呂上がりの乾いた喉を冷たいお茶が通っていく。まるで、生きろ。と言われているように。夫にもお茶にもそんな意思はないと思うけど。それでも思うのだ、今日も夫は私を生かしてくれていると。 一緒に献立を考えて買い物をする日曜日の午後。同じものを食べて同じ栄養素

          おティー

          "Be"と"Do"

          私は週3日在宅勤務をしている。夫は週5日出社している。私が在宅勤務の日は、洗濯までしかしていないけれど、まれに私が出社、夫が在宅勤務の日には、夫は早めに起きて洗濯プラス掃除機までかけてくれる。 こうした、ありがとう!の積み重ねが、これまでの好きの気持ちをじわじわと確実に熟成させ、揺るぎのない強固な気持ちを醸成させていく。 子供でもなく、元々家族でもない、最初は知らない者どうしだった私たち。もちろん側に居てくれるだけで幸せという"Be"の気持ちだけでも生活は回ってゆく。でも

          ふたりでありひとり

          歯磨きをしていると、リビングの方から「おわいのけいちゃん~、おわいのけい!♪」という歌が聞こえてきた。そう、私は夫に「おわいのけいちゃん」と呼ばれている。私の名前から二転三転……七転くらいした超変化形だ。特に私を呼びたかったわけでもなく、ただ「おわいのけいちゃん」の歌を一人で口ずさんでいただけだったそうだ。 こんなかわいらしい夫との日々が毎日しんしんと積もってゆくので、エピソードに事欠かない。 大抵私は朝起きて一番、大きめかつ長尺のおならが出る。寝ている間に溜まっていたお

          ふたりでありひとり

          「小人閑居して不善をなす」を体現した話

          昔の知り合いをGoogle検索したり、SNS検索することほど無益なことはない。 高校のときに怖かったけど、自尊心が以上に強かった部活の部長をふと検索してみると、海外で音楽活動をしていた。 大学の友達でいつも堂々としていて自分の道を突き進んでいた友達は、会社を作って、講演をする人になっていた。 海外大好きで口紅の濃かった大学時代の友達は、インフルエンサーになっているようだ。 なんだかみんなすごいな~~と思った。何がすごいと思ったのかと問われると難しいが、フツーに会社員に

          「小人閑居して不善をなす」を体現した話

          髪は軽やかに、心はごちゃまぜに

          美容院に行ってきた。二か月に一度、私が軽やかになる日。かれこれ7年同じ美容院に通っている。それは、大学卒業後地元を離れてからの年月と同じだ。 その美容師さんは、私が新卒で入った会社を一年で辞めたことも、その後学校に一年通ったことも、その後就職したことも、夫との馴れ初めも、結婚したことも、また会社を辞めて海外に行ったことも、その後転職活動して今の会社に入ったことも、最近家を買ったことも、私のほぼすべてのストーリーを知っている。友人とも違うけど、知人よりは少し近い、なんでも話せ

          髪は軽やかに、心はごちゃまぜに