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東京から地方へ移動するときにあらかじめ知っておきたいこと--お金と生活の話

先日、オンラインイベントに参加したときに「地方格差を感じる」という意見があり、自分のことを少し思い出していました。

私自身の半生をひもとくと、1970-80台をほぼ千葉で過ごし(生まれは大阪)、大学卒業と同時に東京へ転居。
ほどなく独り暮らしを始め、1999年に転居とともに結婚。
2000年に夫の転職を機に北九州市に転居して2014年の春まで過ごし、夫の退職・フリー転身を機に東京に戻ってきて7年目、といったところです。

この中で一番大きかったのは東京から北九州市へ転居したことではないかと思います。

親戚も知り合いもいない地方都市に事前情報ゼロで行ってしまったので、無知だった私は驚きの連続でした。

もう20年前の話ではありますが、これから東京→地方への移住計画を検討されている方も多いと思います。参考になるかはわかりませんが、情報をシェアさせていただきたいと思います。

転居して半年後。それは突然やってきた。思わずひっくり返りそうになった(笑)

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一番の驚きは、「高額すぎる国民健康保険料」でした。

結婚直前の数年間は、人生イチ稼いでいた時期でした。
派遣で現在のR銀行に所属し、残業一日5時間とか平気でしていたのと(今では完全アウトな働き方ですね)水土日は高校の非常勤、学習塾・家庭教師でアルバイトして働いていたので当時の手取り年収は今4倍近くあったのかな、と思います。

それが引っ越し後、一瞬にして無職になるわけです。

ここで、私は一つの大きなミスを犯してしまいます。

引っ越し後も派遣でいたいけど、長期でガツガツ仕事をしたくないから扶養から外れて社会保険に入るようなことはしたくない。
気が向いたときに短期・単発の仕事を入れたい。

つまり、引っ越し時に何の手続きもしないで行ったわけです。

仕事を辞めた時点で、自動的にそれまで入っていた社会保険から国民年金・国民健康保険に切り替わります。このことを頭の片隅に入れておかないと大変なことになるのです。

九州に引っ越してからは短期・単発の仕事に就いていて、単価も東京とはくらべものにならないくらい安かったので、半年で収入は10万ほどでした。
そんな収入の中、引っ越しから半年後くらいにひと月7万円位の国民健康保険料とひと月4万近くの地方税がくるわけです(当時のMax額に限りなく近いものでした)。
これにはひっくり返るくらい驚きました。

それにしても額が多すぎるのでは?
ここまで高くなるもの?と計算してみるのですがどうも自分の電卓とは違う数字が出てしまう。

そこで、地方税の算出方法を聞くために市役所に電話してみました。

判明したのは、前年度の収入に沿った金額を請求するからこの金額になるということでした。
また、地方税に関してはそれまでに住んでいた板橋区・小平市に在住していた時の年収を北九州の算出方法に則って算出するためこのような額になる、とのことでした。

職員の方に現状を説明して、どう考えても払いきれるような額ではなかったので速攻で第3号(夫の扶養)に入ったのはいうまでもありません。

地方に就業が決まらない中で引っ越しするときは、前職退職後すぐに第3号に入る手続きをすることをオススメします。

また、もし手続きを忘れてしまったとしても、税金を支払う前に転居先の市役所に現状を説明してみましょう。
そうすれば、しかるべき次善策をアドバイスしてくださいます。
まずは、慌てずに相談をしましょう。

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九州には「九州料金」というものが存在する

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私が九州に引っ越してすぐのとき、いろいろな派遣元でよく言われた言葉です。

「眞島さん、九州には九州料金というものがありますが、そのあたりご了承いただければと思います」

え?九州料金?なにそれ?

と思っていたのですが、すぐに理解できました。

東京での時給の半額とまではいかないまでもそれに近い時給のところが多く、時給1000円を割り込むところばかりでした。

九州では派遣≒正社員の穴埋めというより、派遣≒アルバイトの感覚です。
他の地方で働いたことがないので、この感覚とは違う地域のところもあれば、似たような感覚の地域もあると思います。

もっとも、1990年代の派遣の時給は今と比べても300円以上高い、ということも合わせてお知らせしておきます。

時給300円です。
すごくないですか?

もう少し詳しく当時の派遣状況をお話しいたします。

データエントリーやファイリングというのは、横文字にしたらとってもスキル高そうな仕事ですが、要は入力と資料整理のお仕事。

こういう特殊技術のない職種であっても、派遣の中では一番時給が高いであろうP社で、1600円。
私はP社にしかエントリーしていなかったのですが、他のどんなに安い派遣会社でも時給1500円はいただいていたようです。
ただし、全く同じ仕事でも、派遣元の営業担当の力量で時給が変わってしまうということを加えておきます。

同じ仕事でも東京を離れ、近隣県でのお仕事となると時給は1400円台となるので、東京に住んでいれば都内での仕事を探すますし、近隣の千葉、埼玉、神奈川に住んでいる人もできるだけ時給の高い都内での仕事を探す人が多かった時代です(派遣社員は交通費の支給がないため、時給と交通費とのにらめっこで近隣県のほうがお得になると感じた人は地元での就業を目指す方もいました)。

派遣でのお仕事は派遣先にもよりますが、大体9時~17時、昼休憩1時間なので、実働7時間。
残業がなければ社会保険に加入している場合、手取りで月20万強といったところ。
独り暮らしをする人でも贅沢さえしなければ努力しなくても生活が成り立つレベルといったところです。

当時はもう一つ、ポイントがあります。

さきほど、「社会保険に加入している場合、手取りで月20万強」という書き方をしました。

実は、90年代前半までの派遣は、社会保険に強制加入ではなく、任意加入でした。
任意加入の場合は国民年金・国民健康保険を自分で払うこととなり、毎年確定申告は各自手続きすることとなります。

私が派遣生活を始めたころはトリプルワークをしており、副業での年収が20万超えをしていたため、確定申告が必要な状況でした。

そのため、社会保険には加入せず、国民年金・国民健康保険という組み合わせを選択していました。
社会保険に入っていなかった場合の派遣社員の手取り額は少し増えて月25万ほどになります。

90年代後半になり、派遣社員は社会保険が任意加入から強制加入と変わったため、現在は国民年金・国民健康保険との選択はできません。

話をもとに戻します。
東京での月収が手取り20万強だとすると、九州での派遣社員の月収は10万ちょっと。
独り暮らしをするには厳しい額に一見みえるかもしれませんが、生活費は都内に比べかなり安いので意外とやっていけると思います。

「職場まで車通勤」が普通にある

職場への通勤は、都内では「公共の交通機関」一択となりますが、地方になると様子が違います。

公共の交通機関以上に、マイカー通勤をされる方の割合が多いです。

また、これは北九州特有の文化だと思いますが、電車よりもバスのほうが充実しています。
幹線道路を走るバスは、東京でいうと山手線並みにあります。
そして、場所により「バス専用レーン」なるものも存在します。
今は一般道となりましたが、引っ越してすぐの頃、「バス専用道路」というものも存在していました。
それくらい、バス文化の街です。

私の場合は、職場によってバス通勤をしたり、車通勤をしたりして、電車通勤は三番手でした。

ちなみに、東京にすんでいた頃はバイクの免許しか持っていなかったため(更新しなかったため現在失効中)、車の免許は北九州に引っ越して1ヶ月くらい経った時に1ヶ月ほどかけて取りました。
車がないとどこにいくにも不便を感じたからです。

車はマストアイテムです。

ただし、東京に住むときは車の必要性を感じないので引っ越し直前に売りました。

東京に戻ってから7年。
一度もハンドル握ったことありません。
もはや運転免許証は、本人確認書類の提示専用になっています。

地方の特性があるので事前にリサーチしておくと楽

リサーチは重要だと思います。
特に、子育て中の家庭においては、「買い物、学校、病院」との距離感を把握しておく必要があります。

私が北九州に引っ越しした頃は、メールは少しずつやりとりするようになっていたものの、まだ家庭内にインターネットというものがあまり普及していない時代でした。

私の場合は事前の調査なく、住むところでさえ夫の就職先の方に手配していただいたのでなにも知らずに身一つで行ったような感じでした。
幸い、北九州市は人口が多く、買い物という面でいえば小倉の中心地は市場あり、デパートあり、スーパーあり。
学校も歩いて5分。
一番便利だったのは病院。
特に総合病院の多さには驚きでした。

ここで注意しておきたいのは、学校。
公立の学校には学区というものがあるのでチェックしたほうがいいと思います。
学区外となってしまうと、距離的には歩いて10分もかからずに行けるはずなのにその学校には行けず、歩いて30分以上かかるとなりの学校に行く、なんてケースもあるので注意してください。

その他軽いカルチャーショック

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北九州は、東京と違う習慣がたくさんあったのでおまけで掲載します。

●公共の交通機関は整列乗車をしない

これは驚きでした。
電車はともかく、バスはかなり行き先が多いので、特に行き先別に整列するという習慣はありません。
目的のバスがきたらバスの停車位置に行って順次乗るというスタイルです。
このことに気づくまで2か月かかりました。

●エスカレーターはどっちにも寄らない

エスカレーターに乗るとき、急いでいる人のために関東では右側をあけ、関西では左側をあけるという習慣があります。
では、九州ではどうかというと、特にどちら側をあける、という習慣はありません。
右側を開けたければ右側をあけ、左側を開けたければ左側をあけるといった感じでしょうか。

●電車到着の知らせが発車ベルの音

関東のほうで昔なっていた発車ベル(今は音楽になっている駅がほとんどですが)の音が九州の一部の駅では電車到着時に鳴る駅がありました。
なかには、パチンコでフィーバーしたかのような電飾攻撃をしてくる駅もありました(想像しにくい表現でごめんなさい・笑)

「あ~発車する!」と思って全力で走っていたら電車が入ってきて、周りの人たちに「あの人どうしたの?」的な顔で見られたことがあり、気まずい思いをしました。

●光熱費と米以外は東京より安い

光熱費は意外と東京のほうが安いです。
人口密度が高いからでしょうか。
特に、電気代は東京のほうがお得だと思います。

家賃は都内の半分から3分の1くらい。
中心地から徒歩圏内だったので交通の便もいいのに家賃が安いので、「買い物・学校・病院」に加え、公園や図書館も近く、コンパクトにまとまっていてとても住みやすいです。

地方都市はどこも同じような感じだと思います。

●とにかく魚の量が豊富

とにかく、引っ越してすぐのころ、魚の種類の多さに驚きました。
今までキンメダイのような赤いタイしかみたことないの私の目の前に、黒いタイがいたりするのです。
フグが普通にパックで売られていたり(聞いてみたら、唐揚げにしたりお味噌汁に入れたりするのだそうです)、長細い殻にしかみえない貝(マテ貝)とか。

東京に住んでいると、会社帰りにスーパーで魚でも買おうかな、と思ったときに並んでいる魚が鮭ばかり、ということありませんか?
生鮭、塩鮭、西京漬けの鮭、、、などなど魚=鮭、ときどきマグロみたいな感じに慣れていたので豊富な魚介類に圧倒されました。

商店街に行くとアンコウを売っていたりもするのでそれを見ているだけでも楽しいです。

まとめ

地方へ転居するとき注意しておきたいところと、習慣の違いについて書きました。
今回は特に北九州市に転居したことを中心に書いたのですが、他の地に移転された方も、転居先の地でまた違う文化や習慣に触れていることと思います。

今後ますます「のんびりと田舎暮らし」や「二拠点生活」を検討される方が増えてくるのではないかと思います。
今はネットで細かいところまでいろいろと調べることができるので、事前のリサーチをしっかりして、快適な引っ越し生活を送ってください。













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