見出し画像

「イチゴは野菜か果物か?」科学が決めないこともある—— #冬休み子ども科学電話相談 12月25日ピックアップ

NHKラジオ番組『冬休み子ども科学電話相談』がやってきました。

このnoteでは、毎日ひとつの質問を取り上げ、ちょっとだけ深く掘り下げます。というわけで本日にピックアップはこちら。

(ツイート、今見たら2つ目の「地面」が「池面」になってる……)

小学3年生女子からの質問。学校で、地面にできるものは野菜、木にできるものはフルーツ(果物)と教えてもらったらしい。でも、果物のイメージがあるイチゴは地面にできるから野菜?、と疑問に思ったらしい。

実はあるようでないような果物と野菜の違い

この問題は結構根深いもので、いろいろな分類方法があります。

一般的には、野菜は草本植物(身も蓋のない言い方をすると「草」)、果物は樹木に実る果実です。

そこで、困ったときのお役所です。農林水産省では、野菜を次のように定義しています。

・田畑に栽培されること(栽培されていない山菜などは野菜と区別することが多い)
・副食物であること
・加工を前提としないこと(こんにゃくのような加工を前提とするものは野菜としていない。漬物のように原料形質がはっきり残っているものや家庭における簡易加工は加工に含まない)
・草本性であること

一方、果物を実らせる果樹は次のように定義しています。

概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています

その続きにびっくりすることが。

一般的にはくだものとは呼ばれていないと思われる栗や梅などを果樹としている一方で、くだものと呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています。

メロン、イチゴ、スイカは野菜!

いやむしろ、栗は果樹扱いのほうが驚き!?

ただ、1つ目のリンクには「いちご、メロン、すいかなどは野菜に分類されますが、果実的な利用をすることから果実的野菜として扱っています」とあり、かなりあやふやな決まりごとになっているようです。

*なお番組では「パイナップルは草、つまり野菜」と解説していましたが、農林水産省では果樹扱いとしています。

結局最後は「甘くてみずみずしくておいしいものが果物っていうのでいいんじゃないか」というガバガバな判定で終わりましたとさ。

歴史的背景があるものは科学的線引きが難しい

歴史的にオーバーラップするようなものって明確な線引きが難しいんですよね。国によっても違いようですし。

似たような事例は他にもあります。蝶と蛾の違いとか、発酵と腐敗の違いとか。むしろそういうところから、多様性とか視点の違いとかに気づくといいですね。

以下のページにテキストと聴き逃し配信があるので合わせてどうぞ。

おすすめ図書

* * *

noteユーザーでなくてもハートマーク(スキ)を押すことができます。応援よろしくお願いいたします。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

ここまで読んでいただきありがとうございました。サイエンスの話題をこれからも提供していきます。いただいたサポートは、よりよい記事を書くために欠かせないオヤツに使わせていただきます🍰