見出し画像

ラオス旅行記#1『冒険の始まり』

僕は今、ベトナムのノイバイ国際空港からラオスのルアンパバーンへ向かって天空を飛行している。飛行時間はたったの1時間。この機体は横一列に4人までの座席しか配置されていない超小型機で、これがラオス公式の国際線になる。

僕と3人の友人は5月から計画していたラオス旅行をついに開始した。日程は2019年9月1日から9月6日までの6日間。この6日間は拠点をすべてルアンパバーンに置き、僕たちは最終日のフライト時間までルアンパバーンに滞在することになる。

なぜラオスに行くことになったのか。

それは、僕たち4人が東南アジアで行ったことのない国がラオスとブルネイくらいしか残っていなかったからだ。また、東南アジアでラオスという国は特に謎めいている印象があり、その未開の地に到達できれば僕の探究心を精一杯くすぐってくれると思ったからでもある。メンバー全員が行ったことがない国で謎めいている秘境。それが僕らが抱くラオスの像だった。

状況をラオス航空(Lao Airline)に戻そう。

一般的な大きさの飛行機は通常、ボーディングブリッジと呼ばれる空港から飛び出た搭乗用の通路に連結されている。しかし、ラオスの飛行機はあまりにも小型でボーディングブリッジを連結するための高さが確保できない。そのため、僕らは地上から伸びる階段で直接この飛行機に乗り込んだ。車いすの人には優しくない設計だ。

離陸する瞬間はいつもより緊張した。ラオスという国がよくわからないので、その国の飛行機を信用して乗ることができない。現れた飛行機が小型だからか、ちゃんと飛ぶのか不安になる。シートベルトを固く締めて落ち着こうとしても、自然と肩に力が加わっているのがわかった。

小型飛行機は滑走路をのんびりと進んだかと思うと、トップスピードまで一気に加速する。機体の振動が体へと伝わって不規則な動きを生む。「もうだめかも」と思ったその時、「大丈夫か?」と疑いたくなるような頼りがいのなさで、機体がふらふらと浮かび上がった。どうやら離陸に成功したみたいだ。ほっとして体中の筋肉が緩んでいくことを感じる。ふと手の平を見ると手汗が滲んでいた。僕は少し心配しすぎたみたいだ。

機内には暇つぶしのための画面が正面に取り付けられていないので、目線は自然と窓の外へと移る。フライトの時間が夜だということで、窓からはベトナムの民家と道路の明かりを一望できる。この光のひとつひとつに人々のエネルギーがあり、それが星になって僕の目に入る。ふわふわと揺れながら飛ぶ僕らの小型飛行機は、現在は天の川の真上を通過している。

椅子の間の一本しかない通路をラオス人の美しい女性CAが通過する。手で押しているのは飲み物と小さな箱をのせた台車である。僕はラオビア(ラオスのビール)を注文した。ラオビアと一緒に置いてくれた小さな箱には、これまた小さなサンドウィッチが入っていた。ラオビアは苦みがなくて飲みやすいビールで、サンドウィッチはニンジンが大量に入っていた。どちらもおいしい。

小さなサンドウィッチを口いっぱいに頬張っていると、機内にどしんっと振動が響いた。どうやら僕らが乗っていた機体が着陸したようだ。機体が小さいがゆえに着陸の衝撃を吸収するのが難しいのだろうか。隣で動画を観ていた友人の首が折れ曲がりそうになるほど揺れていた。

ルアンパバーン国際空港の外に出ると、そこには光のない暗黒な世界が広がっていた。はたしてこれからの5日間はどんな冒険になるのだろうか。ラオス航空の機体は小さかったが、僕たちの期待は大きくなっていた。僕たちは空港で手配したワゴンに乗り込み、暗黒の世界へと舵を切る。


これからの可能性に賭けてくださいますと幸いです。