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自粛中が楽だった人達へ

 何故だろう、世の中が自粛に不満を募らせる一方で、私はとても生きやすかった。自分と同じく皆が足踏みしているようで、安心感を得ていたのだろうか。確かに、降って湧いたソーシャルディスタンスの概念で、外界と不必要に接触する必要がなくなり、コミュニケーション能力が著しく低い私にとって、精神的負担が減っていたのであろう。

 しかし、社会の停滞を恩恵として受け取っていたならば、社会が回り出した途端にツケを払わざるを得ないのだ。

 6月、自粛ムードが一気に緩み、子供たちの学校が本格化して以降、私の精神状態は明らかに悪くなった。日中はほぼ寝たきり、最低限の子供の食事を出し、学校の様子など軽く話してからまた横になる。夜になって子供が寝た後、ペットの世話をし、朝まで脳味噌にこびりついた言葉をゴミ出しのように片付ける。完全な昼夜逆転だ。

 せめてもと、夜中に子供たちの好きなキャラクターの絵を描き、次の日に子供のうちの誰かが色塗りをする。そんなことくらいしか育児に貢献していたない。それでも夫に言わせれば母親は必要だと言う。本当かいな。

 もう一度、自粛になればいいのになんて口が裂けても言えない。どれだけの人が、金銭的打撃を受けているか想像したら、寝てるだけで生きているのが申し訳ないくらいだ。

 何でこんな駄文を書き連ねたか。おなじ境遇の人がいたら、こんな女もいますよと言うサンプルを提示したかったのだ。

同士への変調ラブレターだ。愛してます。


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