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映画感想vol.1

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劇場、DVD等で鑑賞した映画の感想をまとめたものになります。
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【2022年鑑賞映画ベスト10】

【2022年鑑賞映画ベスト10】

今年ももう終わるということで、今年観た映画のベスト10を挙げます。

選考対象は今年劇場公開された新作映画(リバイバル上映などは除く)。

選考基準は、面白かったり好きだったり、言葉にできない気持ちになったりと、とにかく心に強く残った順で選びました。

選考理由と共に10位から順に挙げています。

10位『NOPE』IMAXで鑑賞したこともあって、映像の迫力にやられたし、色々考察するのも楽しい。ジ

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【社会に居場所がなくたって】映画『システム・クラッシャー』感想

【社会に居場所がなくたって】映画『システム・クラッシャー』感想

ドイツを舞台に、社会に居場所がない少女の行く末を描いた映画『システム・クラッシャー』。

2019年に公開され、ベルリン国際映画祭の銀熊賞を始め30を超える受賞と20を超えるノミネートに輝くなど世界各地で話題となった作品だ。
日本では4月27日よりイメージフォーラムにて上映中となっている(全国順次公開予定)。

タイトルになっている『システム・クラッシャー』とは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こ

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【閉じ込められた屋敷の中で】映画『イヤーウィグ 氷の歯を持つ少女』感想

【閉じ込められた屋敷の中で】映画『イヤーウィグ 氷の歯を持つ少女』感想

『エコール』、『エヴォリューション』の"変態"もとい"鬼才"ルシール・アザリロビック監督が2021年に製作した『イヤーウィグ 氷の歯を持つ少女』。

AIHOで4月27日から独占配信されているという知らせを見て驚いた。
新作が製作されていたことも知らなかったが、前2作が日本で劇場公開されていたのに本作は劇場公開がスルーされていたという事実もショック。

アザリロビック監督作品といえば、多くの謎を残

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【琥珀に包まれたある村の記憶】映画『霧の淵』感想

【琥珀に包まれたある村の記憶】映画『霧の淵』感想

4月19日から公開している『霧の淵』は、奈良県南東部の集落で旅館を経営する家族の日常を描いた映画だ。

鑑賞後に知ったが、本作の舞台となっている川上村は2018年には人口減少率では全国でワーストになってしまった村とのことらしい。

そんな本作は、村の記憶をさまよう幻想譚であり静かな終わりを辿る物語となっている。

主人公イヒカを演じるのは奈良県出身で本作が映画初出演となる三宅朱莉、イヒカの母・咲を

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【"家族"それは呪いか幸福か】映画『アイアンクロー』感想

【"家族"それは呪いか幸福か】映画『アイアンクロー』感想

アメリカに実在したプロレスラー一家を題材にした映画『アイアンクロー』。

プロレスは詳しくないが映画の評判が良いこと、映画の感想で多く見られる「家父長制」というワードに興味を持って観ることにした。

観に行ったのは4月13日(土)の伏見ミリオン座。
公開2週目の土曜日だったがお客さんの入りは6割程度。年齢層も性別もさまざで幅広いお客さんが来場していたという印象。

本作を一言で表すなら「父親の夢を

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【悪夢の島で最悪なヴァカンスが始まる】映画『インフィニティ・プール』感想

【悪夢の島で最悪なヴァカンスが始まる】映画『インフィニティ・プール』感想

これぞまさに『The 悪趣味映画』清々しいまでの悪趣味映画だった!

監督は本作が長編3作目となるブランドン・クローネンバーグ。
これまでもセレブの掛かったウィルスをマニアに売りつける『アンチヴァイラル』や、人の意識を乗っ取って暗殺をさせる『ポゼッサー』などアブノーマルなテクノロジーを題材にした映画を撮っている監督だ。

父親は『スキャナーズ』、『クラッシュ』など数々の傑作で知られるデヴィッド・ク

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【そこはまるで理想郷のようで】映画『ロッタちゃん』シリーズを観る

【そこはまるで理想郷のようで】映画『ロッタちゃん』シリーズを観る

「ロッタちゃん」を知っていますか?

「ロッタちゃん」とはスウェーデンの国民的作家アストリッド・リンドグレーンが1958年に発表した名作児童文学シリーズの1つ。
スウェーデンの片田舎に家族と住む5歳児のロッタちゃんを主人公にした児童書である。

「ロッタちゃん」の名前を聞いたことがない人でも『長くつ下のピッピ』と聞いたらピンと来る人もいるかもしれない。こちらもリンドグレーンの作品だ。

自分は児童

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【必見の問題作、あなたはどう観る?】映画『オッペンハイマー』感想

【必見の問題作、あなたはどう観る?】映画『オッペンハイマー』感想

3月29日、問題作『オッペンハイマー』がついに公開された。

原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材にした歴史映画だ。

監督は『TENET テネット』、『インターステラー』等の作品で日本でも多くのファンを持つクリストファー・ノーラン監督。

本作を「問題作」と書いたのには理由がある。
アカデミー賞7部門受賞という快挙を遂げながらも「

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【復讐の果てにある世界】映画『ペナルティーループ』感想

【復讐の果てにある世界】映画『ペナルティーループ』感想

恋人を殺された青年は同じ時を繰り返しその度に犯人を殺す。

3月22日から公開されている映画『ペナルティループ』。
復讐とタイムリープを題材にしたSF映画だ。
監督は『人数の町』の荒木伸二。主演は『街の上』での若葉竜也、共演に伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン。

ここ最近「タイムループ」を題材にした映画を見かけることが多くなった。

2019年に公開された『ハッピー・デス・デイ』。2022年公開

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【圧巻!これぞ本当の異世界体験】映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想

【圧巻!これぞ本当の異世界体験】映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想

3月15日から公開予定の『デューン 砂の惑星 PART2』。
デューンと呼ばれる砂漠の惑星を舞台にしたSFアドベンチャーで、2021年に公開された『DUNE デューン 砂の惑星』の続編にあたる作品だ。

3月8日から3日間、全国のIMAX、Dolby Cinemaの劇場で先行上映をしていたので自分も観に行ってきました。鑑賞したのはミッドランドスクエアシネマの3月8日の19時30分からの回。客入りは

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【観たらあなたも虜になる!】映画『赤い糸 輪廻のひみつ』感想

【観たらあなたも虜になる!】映画『赤い糸 輪廻のひみつ』感想

昨年の12月22日から公開されている『赤い糸 輪廻のひみつ』。
現代の台湾を舞台に、死んでしまった主人公が再び人間に転生するために、縁結びの神様「月老(ユエラオ)」になって奮闘するファンタジーだ。

この作品、観た人の感想が熱い。
年末くらいからSNSで本作の感想が流れてきたのだが、「多くの人に観て欲しい」、「本当に面白い!」などみんなのハマり具合がとにかく熱い。

経験上こういう感想が熱い作品は

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【あなたは何を信じるか?】映画『落下の解剖学』感想

【あなたは何を信じるか?】映画『落下の解剖学』感想

人里離れた雪山の山荘で起きた事件
不自然な男性の落下死。疑われる妻、盲目の息子。果たして男性は事故死か、殺人か、自殺か?

2月23日から公開されている『落下の解剖学』。
フランスの山荘で起きた事件を巡るヒューマンサスペンスだ。
監督は『ソルフェリーノの戦い』、『愛欲のセラピー』のジュスティーヌ・トリエ。主演は『さようなら、トニー・エルドマン』のサンドラ・ヒュラー。

第76回カンヌ国際映画祭のコ

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【この世は不安と怖いモノだらけ】映画『ボーはおそれている』感想

【この世は不安と怖いモノだらけ】映画『ボーはおそれている』感想

まさに3時間の悪夢。『ボーはおそれている』は2月16日から公開されている映画だ。
監督は日本でも話題となった『ミッドサマー』、『ヘレディタリー 継承』のアリ・アスター監督。主演『ジョーカー』などで知られる名優ホアキン・フェニックス。

アクの強い両者がタッグを組んだということで公開前から話題になっていた作品だ。自分が鑑賞したのは公開初日のレイトショー。116席に対し客入りは7割程度、男女比は6:4

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【この神秘性は色褪せない】映画『ミツバチのささやき』感想

【この神秘性は色褪せない】映画『ミツバチのささやき』感想

土曜日に映画館で『ミツバチのささやき』を観た。
『ミツバチのささやき』は今から50年も前に公開されたスペインの映画だ。映画好きの間では「生涯の1本」として選んでる人もいるほど名作として名高い作品でもある。

監督はスペイン出身のビクトル・エリセ。
この監督、とても寡作な方で1969年の長編デビュー作から2023年までに長編は3本しか撮っていない。

その監督の31年ぶりの新作『瞳をとじて』が2月9

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