見出し画像

【随時更新】わたしの好きな和菓子

和菓子に求めるもの
(1)材料がシンプルであること
(2)独創的であること
(3)老舗 創業50年以上
(4)手に届く程度の値段であること

 殿堂入り
船橋屋(東京・亀戸)の「くず餅
小麦粉と水と乳酸菌だけでこんな美味しいものが作れるのかと驚かされる。個人的には、くず粉から作る「本来の」くず餅よりも、船橋屋のくず餅の方が好みだ。黒みつも美味しい。

粟玄(大阪・東住吉)の「和洋
和菓子洋菓子問わず、お菓子好きなら絶対試してほしい。粟おこしの技法を見事に昇華させた一品。でも本当のお菓子好きにはこの紹介文は通用しないと思う。わたしが言う前にオンラインで取り寄せて食べてしまっているだろうから 。
催事出店はしないようで、直接、大阪の住吉東(南海高野線で)の本店か、オンライン通販でしか入手できない。

直径15mm程度のゆがんだ球形

ちなみに、粟おこしの専門店だけに生姜入りの「岩おこし」、ゴマ入りの「粟おこし」もぜひお試しいただきたい。

●亀末廣(京都・烏丸御池)の「玄米落雁 一休寺」

玄米落雁で中央に一休寺納豆(大徳寺納豆)が埋め込まれている。5枚で550円と手頃なのもいい。ただここは催事出店はしない。ほしい方は直接京都の烏丸御池のお店までどうぞ。でも、足を運ぶ値打ちは十分にあると思う。


梅園菓子処(福岡・太宰府天満宮)の「宝満山」「よろつよ
卵、砂糖、水あめ、寒天だけの材料で「しっかりしていて軽い」としか表現できない風味は無双。
「よろつよ」は「宝満山」の干菓子仕立て。
宝満山はハードカバー、よろつよは文庫やソフトカバーの魅力がある。
「宝満山」にブランデーや梅酒をかけて食べるとリッチな味わいを賞味できる旨パッケージに書いてある。わたしはコアントロー(オレンジリキュール)をかける。ヒゲの殿下(三笠宮寛仁親王)も同じように食べていたらしい。

1枚 45*30*10mm
半棹で 105*40*25mm


宇治駿河屋(京都・宇治)の「宇治の里

「宇治駿河屋」は火曜・水曜が定休日のようで、宇治界隈に足繁く通うのでなければ、ネット通販での購入をおすすめしたい。
もともとお茶席用に創作された菓子ということで抹茶や煎茶でいただきたいが、個人的には紅茶やホットミルク(あるいはミルクティー)にも合うと思う。

「宇治の里」の説明(サイトの紹介文を編集)
□外側の白い打ち物種は和三盆をベースに白梅粉・非常に細かな味甚粉を用い、つなぎとして白金時豆で仕上げた中割餡を使用している。
□中には五種類の柔らかい餡羊羹(梅・ゆず・京味噌・抹茶・小豆)を散りばめている。

「宇治の里」はお薄に合う干菓子(打ち物種)と濃茶に合う生菓子(餡羊羹)を組み合わせているので、どのタイプのお抹茶にも合うようにできている。

美味しいのはもちろんだが、「宇治の里」については、お茶菓子としての便利さや汎用性も高く評価したい。これ一本用意しておけば大丈夫というのが心強い。

宇治の里。羊羹の部分を噛み当てたときの喜びを体験してほしい。
1本196mm*48mm*30mm

相乗効果が生まれるよう特性の違う菓子を組み合わせた、鉄筋コンクリートみたいな頼もしいお茶菓子。お試しあれ。
ーーー

菊壽堂義信(大阪・北浜)の「梅干し」(旧名:「甘香梅」)と「高麗餅」

「菊壽堂義信」は天保年間の創業だが(実際はもっと前らしい)、店構えからして「売らんかな」の市場原理主義に対抗してきた古き良き老舗だと知れる。上等な羊肉を売るのに羊頭も出さないようなファサードである。
機械生産はしておらず、手作りの商品は数が限られる。電話での予約購入をすすめる。



▲梅干し(甘香梅)

菊壽堂義信の「梅干し」/「甘香梅」


白小豆使用の白餡を赤色の羊羹で包んだ珍しい作り。
梅干しのヘタの部分は紫蘇で、表面に砂糖をまぶしてある。
ポリフォニックな味と食感で、全体的にしっかり「和菓子」になっている。一度食べたら忘れられない和菓子の一つと言える。
出来上がるまで4日かかるらしい。店頭販売できないのもそのためだろう。

店頭には梅干しが「干して」あった。

【おまけ】
「梅干し」の栞にある

文壇の小島政二郎先生より
「木綿の味」と賛辞頂きし

の「木綿の味」とは何か? 私見ながら、「木綿のように」落ち着いた、浮ついたところのない、日常生活に溶け込む美味しさという意味ではないか。
たとえば、つや消し塗装のピアノやいぶし銀のアクセサリーの静かな佇まいを思い起こさせる。

梅干や雪に薫りし後の味
甘香梅春夏秋冬茶前酒後

見た目こそインパクトがあるが、とても優しい、飽きのこない味わいである。
「茶前酒後」ーーくつろぎのひとときのお供に適している。煎茶でもいい。煎茶の方が合うかもしれないくらいだ。


▲高麗餅

菊壽堂義信の看板商品「高麗餅」

求肥餅を異なる味の餡で包んだ「高麗餠」は菊壽堂の看板商品で、先代の松本幸四郎(高麗屋)が名付けたらしい。
餡は5種類。こしあん、つぶあん、白あん、抹茶あん、ごま。

一言で言って、餡の味を楽しむ菓子である。
どれも美味しい。
若干数店頭販売しているようだが確実に手に入れたいなら先述の通り予約をおすすめする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?