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「パス度」と「言動」について

皆さんは、「パス度」という言葉を聞いた事がありますか?

恐らくトランスジェンダーの方々なら、ご存じの方も多いかと思います。
今回はこの「パス度」と「言動」について思う事があったので、
お話してみたいと思います。

※ここで述べている事は全て私個人が率直に感じた私見であり、
特定の個人や団体等を非難したり、攻撃・糾弾するといった意図は
全くございません。




「パス度」とは何か?

「パス度」とは、自分以外の人から客観的に見られた際に、
自分の性自認の通りに見てもらえるかどうかの尺度のようなものです。

文字通り、自分の性自認の通りに「パスできるか」という事です。

これは尺度的なものではありますが、具体的な数値や度数などは
特に決まりも無く、各個々人で判断しているものです。

で、このパス度というのは、例えば私の場合で
ものすごくざっくり例えると、

私が女性としてどの程度見てもらえるのか

という事になります。

これが低ければ低いほど、私の場合ですと、女性のようには見て貰えず、
逆に高ければ高いほど、シスジェンダー女性と区別できなくなります。

ちなみにシスジェンダーとは、身体性別と性自認、
つまり身体と心の性別が「一致している」人の事です。
※以下、シスジェンダー女性については、単に女性と表記します。

で、このパス度というのは何も外見だけにとどまらず、
言動や所作・ふるまいにも表れてきます。

例えば、外見的に見て女性と区別できなければ、外見においては

「パス度が高い」

という風に言えるかも知れませんが、ガニ股で肩で風を切って
歩いていたら、それは、所作・ふるまいにおいて、

「パス度が低い」

という事になるかもしれません。

そしてそれは言動にも言えるのですが、実はこの言動の面において、
とても「心が女性」という主張からは信じられない言動をするケースが
見受けられます。


非常に残念で悲しかった事

ネットで様々なトランスジェンダーに関する記事や投稿を見ていると、
時折見かけるものに、

本当にトランスジェンダーなの???

と目を疑いたくなる言動をしている投稿に遭遇する事があります。

これはMtFトランスジェンダー、つまりトランス女性を主張している人に
非常に多く、少なくとも私が知る限り、FtMトランスジェンダー、
つまりトランス男性の言動では見た記憶がありません。

それはどんな言動かというと、もうここでは書きたくもないし、
口にもしたくないような、眉をひそめたくなるような
卑猥で下品な言葉や、女性が恐怖心や不安感を抱く様な言葉を
ネット上で投稿している例が見受けられます。

これらはいわゆる

「言動のパス度」

これが著しく低いか、全く無い人の投稿なのでしょう。

こういったことは、恐らくトランスジェンダーの中でも
ごく一部の人の言動だとは思いますし、そう信じたいのですが、
そう言った言動や投稿を見る度に、怒りというよりも悲しくなります。

「心が女性」だと主張していながら、何故そんな卑猥で下品な事や
女性の恐怖心を掻き立てたり不安感を助長する様な事が投稿できるのか、
理解が全くできないのです。

しかもSRS(性別適合手術)もホルモン療法もしていない人だけではなく、
SRSやホルモン療法をすでに行っていて外見や所作・ふるまいが
限りなく女性である人であっても、こういう言動をする人が
見受けられることに、驚愕しました。

私は、男子からの苛烈ないじめとその際に女子にいつも助けて頂いた事、
そして、見知らぬ男性からの性暴力被害に遭った事が、
トランスジェンダーとして生きていく事になるきっかけだったことは、
すでに以前から何度かコラムで書かせて頂きました。

その為、男性恐怖や男性嫌悪を経験し、男性として生まれた
自分自身にさえも嫌悪感を持つ事も経験しました。

今でこそ、様々な経験や人とのかかわりから、
以前と比べれば男性恐怖や男性嫌悪はかなり和らいでおり、
今は普通に男性のお友達もいます。

また反対に、女性へ対する尊敬や敬意、憧れの想いは、
今でもずっと持ち続けています。

私が過去に女性と結婚していたのは、この女性に対する尊敬や
敬意の念、憧れを非常に強く持っているからというのが、
自身がトランスジェンダーでありながら結婚に至った理由の一つです。

そんな流れでトランスジェンダーとして生きており、
トランスジェンダーであることを公表している私から見ると、
卑猥な言葉やあまりに女性を恐怖させるような言葉を
投稿しているのは、ちょっとというか、

「かなりあり得ない」

その様に思う訳です。

「心は女性」と言いながら、非常に卑猥な発言を平然と
ネット上に書いたり、およそ、心が女性とは到底思えない様な事を
書いたりする人が居る事に、悲しみを覚えます。

人間というのは得てして良い所より悪い所に目が向きやすいものですから、
こういう言動や投稿を書く人たちがいると、そうでない人まで同列視され、
実際はひとりひとりみんなが違う生い立ちでトランスジェンダーとして
生きているのに、

「トランスジェンダーってこんな人たち」

みたいに一括りで見られてしまう恐れが高まることが
とても残念でなりません。


私の想い

さて、今回は私がネット上の投稿や記事を見ていて感じた事の中でも、
「パス度」と「言動」について書いてみましたが、
いかがだったでしょうか。

いくら外見や所作・ふるまいでパス度が高かったとしても、
言動や投稿などでパス度が低かったり、パス度が無ければその人の品位は
全て台無しになってしまうと思うのです。

自らそういう品位を貶める様な言動や投稿、つまり

  • 卑猥な言動や投稿

  • 乱暴な言動や投稿

  • 女性が恐怖したり不安を覚えるような言動や投稿

この様な言動や投稿をしない方が良いのではないかな?とも思いますし、
卑猥・乱暴な言動や投稿だけではなく、著しく品位を貶めるような
言動や投稿をする事によって、他のトランスジェンダーにも
影響が出る恐れがある事を知って頂けたらありがたいな、と思う訳です。

こういった、パス度が著しく低いか全く無い言動をする方々には、
そう言った言動や投稿が、他のトランスジェンダーの立場や存在そのもの、特にトランスジェンダーである事を公表している方々に対しては
尚更脅かす恐れがある事をご理解頂けたらなと思っています。

私自身も、トランスジェンダー女性が女性の皆さんをはじめ、
社会からの信頼を少しでもしっかり得られるよう、自らを戒め、
微力ながら努力していきたいと思います。

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