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【バスケW杯】「勝ち」が「空気感」を醸成する

見事、パリ五輪出場を勝ち取った、日本男子代表「アカツキジャパン」。まだまだ余韻冷めやらずで、暇さえあればスマホで「W杯記事」を見まくっています。また動画もバンバン出てますし、旧ツイッターである「X」でもハイライトが見られますし、選手や所属チームなどが発信するインスタでも次々にアップされており、何度も読み返しては感動を追体験しています。

これって今春の「WBCロス」に似てるんですよね、なんだか。あのときも毎日のように更新される「WBC話」を貪るようにチェックしていたのを覚えています。バスケにおいてもこれからアジア大会やBリーグもスタートしていきますので、この熱気が一時のブームではなく、永続的なものになっていければいいですよね、それこそ井上先生がスラムダンク連載時に書かれていた「言葉」が現実になる時。先生はこの未来を想像されていたのでしょうか・・・?

さて、今回はいつものように日本代表チームの選手の言葉を振り返りながら、タイトルにもあるように『「勝ち」が「空気感」を醸成していく』ことについて考えてみたいと思います。


自ら退路を断って挑んだ、渡邊雄太選手

改めてみなさんにお礼を。本当に応援がすごく力になりました。あの応援がなければ結果は違ってたと思います。会場に来れなかった方々からもSNSなどを通して応援をずっと感じてました。本当にありがとうございました。

2023年9月3日 渡邊雄太選手のツイッター(現X)より

今大会を並々ならぬ覚悟で臨んだ渡邊雄太選手。その気迫がチーム全体に伝わったのか、結果として見事に有言実行。カーボベルデ戦終了後のインタビューでは河村選手と肩を組む姿が印象的でした。よかったー、渡邊選手がこれからも日本代表でいてくれてー、と胸をなでおろした方も多かったのではないでしょうか?(もちろん私もその一人です!笑)

渡邊選手といえば、ドイツ戦後に会場の空席について「X」へ怒りの投稿。次いでトムさんも烈火の如く激怒し、なんと大会運営側を動かす、というこれまでにない動きを見せました。こんなことって今まであまりなかったですよね?選手・監督が大会を動かす・・・個人が発信できる時代ならでは。このアクションが、次のフィンランド戦の奇跡の大逆転を後押ししたのかもしれません。

スマートでクールな若き司令塔、河村勇輝選手

すごく嬉しいです。自分たちの目標、アジア1位になることを目標に日々過ごして来たので。この報われた主観を全員が喜んでいいと思います。(渡邊)雄太さんのこの試合にかける思いというのは、僕たちでは計り知れないものがあったと思います。報われてすごく嬉しいです。

とにかく勝つためにチームに何が必要かを考えてプレーしていました。後半は反省だらけです。ポイントガードとして試合をコントロールできませんでした。W杯という舞台は終わってしまいますが、自分のチームに戻ってW杯の反省、経験を活かして成長してパリ五輪の舞台に立てるように頑張っていきたいです。

河村勇輝選手、カーボベルデ戦終了後のインタビューより(テレビ東京)

今大会で一躍世界デビューを果たした感のある河村選手。もちろん学生時代から超有名人であり、大学を中退してプロ入りという道を切り開いたパイオニア。プレーだけでなく、ビジュアルも含めて、文句の付け所のないスーパー優等生なわけですが、さらに全く驕らない人柄がまた素晴らしい。ほとんどすべてのインタビューで必ずいい面だけでなく、次への課題点(つまりは反省点)を述べ、次へ向けてさらに向上したいという意欲を感じさせてくれます。こうした実直さも含めて、先輩方からも可愛がられているんでしょうね。今後が楽しみです。

大会中、二度の「ゾーン」状態を魅せてくれた富永選手

(チームの雰囲気は?という質問に)めちゃくちゃ良かったと思います。僕は若手の方なんですけど、先輩にもすごく話しやすく、バスケットのこと以外のことでもそうですし、コミュニケーションはすごく良かったと思います。そういうのがやっぱりチームワークの強さであったり、日本がそうやって戦ってきた秘訣だと思います。

(先輩たちから学んだことは?という質問に)本当に助けてもらってばっかりでした。本当に自分たちは経験っていうのが全然なかったんですけど、本当に先輩たちがそうやってチームを引っ張っていてくれて、それについていくだけという形だった。先輩たちは頼もしかったし、これから自分たちも、ああいうふうになっていかないと、と思いました。

富永啓生選手 カーボベルデ戦後のインタビューより(日刊スポーツ)

フィンランド戦とカーボベルデ戦で、「ゾーン」状態というものを世界中に見せつけたのが若き天才シューター、富永選手。一発決まり始めたら、もう「無双」状態。落とす気がしない、とはまさに彼のための言葉。カーボベルデ戦ではシュート率75%!アメリカの大学に戻り、今後NBAからのオファーも期待できるのでは・・・?と将来が楽しみな富永選手ですが、コメントからは日本チームの雰囲気の良さが伝わってきます。日本バスケ協会のYouTubeでは試合前の練習シーンの動画もあり、いい意味で和気あいあいとトレーニングしている様子が見られました。先輩たちとも分け隔てなく、楽しそうにプレーする富永選手。河村選手同様、今後が楽しみです。

日本代表のキャプテン、富樫勇樹選手のリーダーシップ

「最年長は比江島選手で、僕の3つ上かな、いいのか悪いのか、全く敬語も使わないですし。(渡邊)雄太とかは僕の2つ下かな、ですけど、普通に勇樹とか呼ばれていますし、長くやっているのもあるので、若手からもイジられますし、全く気をつかうことはなかったです。
「雄太は負け組とか言っていますけど。(中略)でも、前回の五輪に出場した選手は4人だけで、今回3勝して、勝ち越して終われたのは本当に良かったです。」

富樫勇樹選手 日本テレビ「News zero」出演時のコメントより(日刊スポーツ)


本人もキャプテンのキャラではない、と最初は固辞したようですが、結果的には受諾し臨んだ今大会。結果的にはとても良かったのではないかと思います。このあたりもWBCの日本代表と重なるのですが、キャプテンは置かずに全員がキャプテン、という栗山監督の考えの下、実際にはダルビッシュ選手や大谷選手がイニシアチブを執るシーンが見られました。バスケチームも富樫選手がキャップでありながらも、彼のおおらかさ、大きさにより、渡邊雄太選手や馬場雄大選手がチームを引っ張る場面があり、それこそ若手もベテランも分け隔てなく、自由にのびのびした環境で試合に臨めたのではないかと思います。

「勝ち」が「空気感」を醸成する

ここまでベテランと若手、さらにはキャプテンの言葉を振り返ってきました。それぞれが「パリ五輪出場!」という大きな目標に向けて進む中で、立場や年齢は異なる中、互いに切磋琢磨し、互いを認め合うなかでチーム力が出来上がっていったのではないでしょうか。さらにはトムさんの熱血指導と「(自分たちを)信じなさい」という言葉。大会前の親善試合ではまだまだいまひとつ噛み合っていなかった部分も、修正を重ね、それこそ自分たちを信じたことが、フィンランド戦での奇跡の大逆転に繋がっていったのだと思います。

ここでチームの不思議さという点にも触れておきたいのですが、いくら自分たちが「いいチームだ」と名乗っても、やっぱり勝たないと、周りは認めてくれませんし、何より自分たちもどんどん下を向いてしまうと思うんです。ですから、どんな形であれ、まずは「一勝」する。これがチームが上向く秘訣に繋がっていくわけです(しかも日本代表の場合、まず「一勝」の相手が超大物。まさに大金星!ジャイアントキリング状態という)。「勝つ」ことで高揚感が生まれ、それが次への活力になり、どんどん雪だるま式に善循環していく・・・そんな「勝ちパターン」の好例を見たように思います。

仕事でも「勝ち」が「空気感」を作ることもある!


これは何もスポーツだけでなく、仕事でも職場の環境などがこうした空気になると、不思議と多忙を極めていても乗り切れちゃったりしますよね、なかなかハードな数字目標でもクリアできちゃったり。これだからチームって本当に不思議だし、面白いですよね。今春のWBCといい、今回のバスケといい、チームの奥深さを連続して目の当たりにできるとは・・・!まだまだ暫く「バスケ日本代表ロス」が続きそうです(笑)。



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