見出し画像

【racu】の開発は、「すすむ屋的 民主化運動」だと思ってもらえると嬉しい。という話。

まずはじめに、この話が重い話ではないことを説明しておく。タイトルがだいぶかっこいいものに仕上がっているので警戒された方も多いと思う。でも大丈夫。(笑)。そんな話ではない。(笑)。

単純に僕達が、なぜ【racu】を作ろうと思ったのかを記しておくことが未来の自分たちにとっても、これから【racu】を手に取っていただく沢山の皆様にとっても、良いことだと思ったからだ。


だってそうでしょ?


プロダクトやサービスには必ずストーリー(意味とか経緯ともいう)がある。機能面や容姿は、実物やSNSで分かるけど、ストーリーを伝えるにはスペースが足りない。TwitterやInstagramに投稿するには長すぎるし、商品パッケージに記載すると毎回すこし厚めのカタログをいれないといけなくなる。

オンラインストアやブログに記載すればいいとは思うけど、せっかくnoteのアカウントがあるのだからこちらにも書くことにした。

そして、勝手な僕の印象だがnoteは少し本音を書いてもいいような気がしている。オンラインストアは少しオフィシャルなような気がしている。

だから、ここに。自由に書いてみることにする。




始まりは、いつも通り。お客様の声。


まず初めにご説明しておくと、私たちは以前から茶具の開発を自社で行っている。

その理由は簡単。自分達が心の底からお勧めしたい茶具を見つけることができなかったからだ。正確に言うと自分たちがやりたいことを伝える為に最適な茶具がなかったからだ

左から、すすむ急須・すすむ急須2・すすむ土瓶

もちろん素晴らしい急須職人がたくさんいることも知っているし、その急須が魅力的なことも知っている。(※実際に沢山持っている。いいよね。)

だけど、個人的な主観をいれてその急須達を販売することになっては、すすむ屋が本当にやりたいことである。【最高の日本茶体験を日常化する。(日本茶民主化運動)】というプロジェクトに繋がらないような気がした。端的に言うと、毎日使うイメージができなかった。


まず、容量の問題。


本来のお茶の時間は、ゆっくり楽しむために出来ていて飲む量は少し。でもこれでは、忙しい現代人に毎日使ってもらうのは無理だろう。おおきなマグカップや湯呑みでもお茶が飲めるサイズにしなければいけない。


次に、デザインの問題。


茶具は伝統的なものだからこそ、繊細なイラストや彫刻が美しい。ただ、現代の住宅事情と照らし合わせるとどうだろう。もっとシンプルでいいのではないか。シンプルにすることで工数を減らし、本物を身近に感じてもらうことができないか。

これらの考えをデザイナーの大治将典氏に相談。多くのプロフェッショナルな職人に賛同をいただき、伝統美と機能美を兼ね備えた【すすむ屋茶具】誕生した。まさにすすむ屋茶店の哲学を反映した理想の急須として販売開始。控えめに言って売れた。そして現在も売れ続けている。

シンプルで美しい茶具。
すすむ屋茶具の話は、「すすむ屋茶店ができるまで」で少し話しています。


少しズレそうなので、本題に戻る。

このすすむ屋茶具を、毎年参加させていただいている【銀座手仕事直売所】に持って行って販売をさせていただいているのだが、出始めて数年たったころからこういったお客様の声をいただくようになった。

「このすすむ急須。とても使いやすくてよかった。でも割っちゃったからまた買いに来たの。」

1人ではない。数は多くはないものの複数のお客様が確かにそうおっしゃった。精一杯作ったプロダクトを褒めていただき、また、購入していただくものの、心の中にモヤモヤが残った。むしろ「すみません。これ使ってください。」と言って新しいものをお渡ししたかった。でも、職人が作ったものに同じものはないし、会社の運営や販売店様のことを考えると出来なかった。

松屋銀座での様子


そして次の年。同じ松屋。同じお客様。

お客様:「この急須やっぱりいいわよねー。」
僕  :「ありがとうございます。その後、使い心地はどうですか?」
お客様:「それがまた割っちゃったのよー。私、慌てるとすぐ割っちゃうのよー。もう一回購入したいけど、また割っちゃうから考えるわ。」


僕は、その時に、絶句してしまった。昨年のモヤモヤが蘇った。

松屋銀座のお客様にはいつも支えていただいている。




一部の人には届けていた。でも、もっと多くの人に届けたい。


そう。今回のお客様の声は、直接「こんな商品が欲しい」という声ではなかった。その声からハッとさせられ、始動したプロジェクトになった。


確かに、すすむ屋茶具はお茶の伝統文化を民主化することに成功したと思う。シンプルで美しい。機能美も兼ね備えている。多くの人が窮屈さを取り除き、本物を体感できるようになった。


でも、私たちがやりたいことはそれだけではない。もっと多くの人に美味しいお茶を飲んでもらうことだ。急須が割れてしまって、お茶が飲めなくなるようでは駄目だ。

美味しい日本茶は、人を幸せにする。


お客様の残念そうなあの顔がよみがえる。そう僕らは、そのお客様に寄り添えるプロダクトを作っていなかったのだ。最高の日本茶体験を。日常化させていないことに気づいた。していただく為の環境を作っていなかった。


深く反省し、自分たちのvisionを再確認し、もっと多くの人が使ってもらいやすいプロダクトを作らねばと思った。小さな子供からお年寄りまで。誰でも使いやすい割れない急須を。




想いを形に。


今回のプロダクトは、割れない急須。ということはすでに松屋さんを出る時には決めていた。割れなければ誰でも安心して使えるし、買い直しをしなくてよい。お客様の残念な顔が無くなると思ったからだ。

すぐに始動すれば、来年にはできる。そうすれば、あのお客様に割れない急須をお届けできると思い直ぐにコンセプトメイクを行った。
※実際には3年もかかってしまった…。(笑)。


  • お茶が美味しくはいる。日本茶のプロが使いたくなるが前提。

  • 容量は大きめ。毎日使うものだから。

  • 暮らしを豊かにする美しいデザイン。

  • クラフトマンシップ


はすすむ屋茶具と同様に。それに加え、


  • 21世紀の美しさって何だろう?22世紀の美しさって何だろう?

  • アイボ(犬ちゃん)に感じる愛ってなんだろう?今回の急須に感じてほしい。

  • 未来の住居って何だろう?

  • 未来のお金ってどんな価値があるんだろう?


という問いを立ててみた。

この問いに関しては、普段から生活していて常に感じたことであって根拠はない。感覚的に、これから世にでてくるプロダクトにはそれが求められているような気がした。

人は、これからもっと自然とかけ離れた生活をしていくことになるだろう。(案外、それに関しては悲観的ではない)だからこそ、つくられたプロダクトや商品にちょっとした安らぎを求めるのではないか?そう僕が思っていた。具体的にいえば、少しだけ丸いとか。柔らかいとか。


このうまく言語化さえできていない僕の頭の中を、プロダクトに落とし込んでくれる人を探した。未来の形だけど、どこか優しい。固い素材なのに柔らかい雰囲気を出しているプロダクト。そんなデザインしてくれる人を探しました。



世界を代表するプロダクトデザイナー。柴田文江さんへ依頼。


松屋のイベントは9月だから、今思えば、確かに直ぐに動いたんだろうと思う。記憶をたどれば10月の始めに、プロダクトデザイナーの柴田文江さんにSNSで直談判した。無礼を承知で。

日本茶をもっと楽に楽しんでほしいから「racu」

それでもSNSでお願いしたのは理由があって、まずはスピード。1秒でも早くスタートしたかった。※実際には3年もかかってしまったんだよ…。(笑)。そして本当はデザイナーがそういった僕を受け入れてくれるかどうか知りたかった。だってSNSですよ。それを受け入れてくれる人はopenmindを持ち合わせているはず。プロダクトが出来上がってもその考え方が、形になると思ったんです。その多様性を受け入れてくれるプロダクトになるかどうかが。(笑)。


心配をよそに、柴田文江さんは直ぐにご返信くださり、コンセプトや日本茶の事を理解してくれました。感謝しかありません。


プロジェクトが進行することが決まった時、文江さんのデザインの力を借りれれば、「これまでの、日本茶の堅苦しさを、一掃できる。多くの人に日本茶を届けることができる。日本茶民主化運動だ!」と思い。興奮したことは覚えています。(笑)。

本当にいい!から使ってみてほしい。




世界平和を。だからこそ、多くの人に日本茶を飲んでもらいたい。


僕たちが、新しいサービスやプロダクトを作るとき、やっぱりvisionやpurposeを確認してしまいます。今回は一人のお客様の急須が割れてしまって残念というあのお顔を拝見したことがきっかけとなりました。何かできないかというところからのスタートです。


日本茶は世界を平和にできるものだと思うから、飲める環境を整備し、日本茶の品質も、もっと追求したい。

僕らの目指す世界。

vision
日本茶を通じて、地球と世界の人々を優しさで満たす。

purpose
世界の人々に安らぎを与え、世界平和に貢献する。

コーポレートスローガン
be kindness(親切であれ)



アイボみたいにかわいくない?


まずは、このアイボのような愛くるしい【racu急須|warenai】が皆様の暮らしの中に溶け込んでいただけたら、嬉しいです。

そして、イラストにあるように、国や人種に関係なく、それぞれを尊重し、平和にお茶を飲むことができる世界を作りたいと思っています。

日本茶をすべての人に。

その為に、日本茶はもっと楽でいい。

racuの開発は、すすむ屋的 民主化運動(誰でも気軽にお茶が飲める世界を作る)の一つなのだ。

急須・湯呑み・キャニスター


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?