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日本の国家財政がヤバい!

「国の借金」が過去最大

1980年台から言われ続けている日本の国家財政危機が、遂に、来るところまで来てしまいました。日本経済新聞の記事によりますと「国の借金」が過去最大になった、とのこと。

「国の借金」1286兆円、23年12月末時点 過去最大 - 日本経済新聞


念のため、一次情報も確認しましたが、1,286兆円、というのは本当らしいです。
国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和5年12月末現在) : 財務省 https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202312.html

GDP比 9%の資産超過

ところが、わずか3年前の日本は、資産超過だということが判明しました。
IMFのデータによると、G7の政府の資産と負債、純資産(負債)の対GDP比は次の通りです。

図1: G7の公的部門の資産・負債・純資産の対GDP比 (2020年)
IMFデータを基に筆者作成

データ出典元は、IMFの以下のサイトです。
Public Sector Balance Sheet (PSBS) - PSBS Home - IMF Data

IMFの公的部門のバランスシート( Public Sector Balance Sheet )の作成方法については、2018年のIMFレポートのリンク先に詳細があるので、ご興味がある方は、ご覧ください。https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/fiscal-monitor/2018/October/pdf/fm1802.ashx

2020年に資産超過だったとしても、2023年迄に「国の借金」が大幅に増えたのだから、日本の財政は危機的状況に陥っている可能性も考えられますね。
2020年時点の「国の借金」は、既に1,212兆円もあり、2023年には更に約74兆円増えて(2020年比約6%)、1,286兆円になった、ということが分かります。

図2:日本の国債及び借入金並びに政府保証債務残高とGDP
財務省データ内閣府データを基に筆者作成

IMFが、2020年に日本がGDP比9%の資産超過(金額で約48兆円)といっているからといって、74兆円も借金が増えたのでは、債務超過に陥っているかもしれません。
IMFのデータから、日本の資産・負債・純資産の対GDP比の推移を図にしておきますので、ご参考まで。

図3:日本の公的部門の資産・負債・純資産の推移 (2013-2020年)
IMFデータを基に筆者作成

GDP600兆円と税収80兆円

2024年1月の経済財政諮問会議によると、ベースラインケースで
2024年度に名目GDP 615.3兆円
2033年度には 名目GDP 664.5兆円
になると推計されています。
なのに、なぜか、税収は80兆円に届かない状態が続く、と試算されています。

経済財政諮問会議の資料(ベースライン)から、名目GDP成長率と名目GDP、税収を抜き出し、税収弾性値を簡易的に計算したのが以下の図です。
また、エコノミストの永濱氏のレポートにあった "97~2021年度の平均的な税収弾性値2.74" を「税収弾性値(仮定)」として「税収試算」をした行を加えてみました。
財務省は、税収弾性値を 1.1 程度と言っているらしいのですが、名目GDPが成長しているのに対して、税収の伸び率が余りにも低いと感じるのは、僕だけでしょうか?
2024度年には所得減税(国民1人4万円でザックリ試算して5兆円程度の税収下押し要因)が、あるかもしれませんが、それにしても、88.5 - 5 = 83.5 兆円くらいの税収になりそうなものです。

図4:税収弾性値 2.74を利用した税収試算
経済財政諮問会議の資料を基に筆者作成

"開いた口が塞がらない" は 嘘

日本の財政危機を表す「ワニの口」が開いたままで塞がらない、というのを聞いたことがあります。一般会計歳出(黒線)が増え続けるも、一般会計税収(青線)が追い付かないので、ワニの口が。。。ということらしいです。

図5:ワニの口
財務省の資料より引用

しかしながら、エコノミストの会田卓司氏によって作成された、グローバルスタンダードな手法で作成された「ワニの口」を見るとどうでしょうか?

図6:会田卓司氏、森永康平氏の記事から引用

財務省の資料では、
会田氏によると、歳入に税外収入が含まれず
森永康平氏によると "一般会計の「歳出」には、国債関連費用として「債務償還費」と「利払費」が計上されています。しかし、他の先進国では、「債務償還費」はなく、「利払費」だけが計上されている"
ちなみに、令和5年度の国債償還費は16.7兆円です。

2024.02.11 13:50 追記 ここから

とあるエコノミストの方が
“明示されたルールの中で計上された費用ですから、さすがにかさ上げとは言えない”

“企業の会計基準であっても他国と全く同一ではない”
という点から、財務省の「ワニの口」を「妥当」と評価なさっていました。

ですが、僕には以下の記事で中里氏が書かれた内容(引用部分)の方が納得感があり、それに基づいて「グローバルスタンダードな手法で作成されたワニの口」の方を参照すべきと考えます。

国債費(国債の償還や利払いに要する経費として歳出に計上される費目)のうち債務償還費相当分は国債整理基金への繰り入れに充てられるものであり、現状ではその財源は国債発行によってまかなわれているが、財政赤字の額を算定する際にこの分を歳出に含めると、赤字が過大に計上されてしまうことになる。「お金を借りてそのお金を貯金する」という操作によって債務残高が増えることはなく(見かけ上の債務残高は増えるが、この場合は金融資産も増えていることに留意)、債務を増やす要因とはならないものを「赤字」として認識する必要はないにもかかわらず、それを含めて財政赤字の額を算定していることになるからだ(このような歪みが生じることがないよう、IMFの統計では適切な調整がなされている)。

以下、中里透氏の記事より引用

「建設国債の買いオペ」は実行可能か――国債の「60年償還ルール」について考える/中里透 - SYNODOS - https://synodos.jp/opinion/economy/28608/

2024.02.11 13:50 追記 ここまで

歳出額を過大に見せ、歳入額を過少に見せ、将来の歳入(税収)を過少に推計し、歳入に加えるべき税外収入(政府資産の売却、日銀からの国庫納付金など)から目を逸らせるかのような、専門的なテクニックを駆使する財務省は、とても "有能" と言えますね。

まとめ

政府は少子化対策の財源として、新たな国民負担を求めるようです。

少子化「支援金」負担に差 大企業は月851円、中小638円 - 日本経済新聞

歳入を過少、歳出を過大にした財政資料を公表し、財政危機を強調して、増税や国民負担を求める一方で、IMFのレポートにあったように、日本の公的部門の財政は資産超過だったとしたら。。。
「母さん助けて詐欺」など、振り込め詐欺は犯罪です。
「国民助けて…」があったら、それは…

日本が財政危機であると、過度に危機意識をあおり、増税や負担増を強いる組織があったとしたら、恐口シア、と思ってしまうのは、僕だけでしょうか。
そういう意味でいえば「日本の国家財政はヤバい!」(悪い意味で)

日本の公的部門は、資産超過になっている年が結構ある!
名目GDP成長に伴い、税収は結構増えてる!
「ワニの口」は結構閉じてきた!
デフレとは言えない状況を作りだしたら、人口減少しながらも経済成長して、財政が改善している日本の国家財政は良い意味で「ヤバい!」と、思いますが、いかがでしょうか?

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