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6月8日は世界海洋デー 海洋環境に関する最新の動向まとめ

6月8日は世界海洋デーです。
去年は海洋生態系の保全・再生の必要性についてまとめましたが、今年は最近の海洋環境・海洋生物の保護に関するニュースまとめにしてみました。
大体2022~23年のニュースを選んでいます。
ほぼナショナルジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)からの引用で、無料会員登録しなければ読めないものもあるので、ニュースリンクの下に内容のざっくりまとめ解説を載せ、その下に筆者の感想を入れています。
明るいニュースと暗いニュース両方ありますが、お好きなものから読んでください。
ニュース内容をより詳しく知りたい方はリンクから元記事へ、もしくは各自でリサーチをお願いします。

〔38時間の議論の末…公海条約、20年越しの合意〕

まず、今年の3月にけっこう大きく取り上げられたこちらから⇩
「海にとって歴史的な瞬間」世界の海の30%を保護区にする公海条約、20年越しで合意 | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)
・公海とは誰のものでもなく、どの国の統治も及ばない広大な海域のこと。世界の海のおよそ3分の2を占めている。現在保護されている公海は全体の約1%。規制や監視が行き届いておらず、乱獲や開発、汚染、気候変動による酸性化などの問題が起きていた。
今回の条約では公海の約30%が保護区に指定される。どこの国にも属さない生き物の聖域を作るのが狙いだ。新たに保護区となる場所での漁獲量や海上交通、深海採掘などが制限される。
海洋保護に関して国際協定が結ばれたのは、40年前に締結された「国連海洋法条約」が最後。今回の条約の草案をめぐる協議は2004年から始まっていたが、資金や漁業権に関する各国の意見の違いから長年保留されてきた。今回、ニューヨーク国連本部で38時間の議論の末、20年越しの合意となった。
 
このニュースを見た時、単純にすごいなと思いました。
公海条約のような国際協定って、利害対立のせいで上手くいかないことが多い印象なので、話がまとまったことが奇跡に近い気が(笑)。
人間は共通の課題があれば敵同士でも団結できる習性があります。
みんなそれだけ危機感を持ち始めているということではないでしょうか。
手遅れでなければいいのですが…。
 

〔漁業資源や海の絶滅危惧種に関する最新動向〕

次は漁業資源や海の絶滅危惧種の最新動向についてピックアップしました⇩
海洋保護区を拡大したら周辺の海でマグロ漁獲が増えた、米ハワイ | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・北西ハワイ諸島を取り巻く海洋保護区を大幅に拡大したところ、保護区のすぐ外側の海域でマグロの漁獲量が増えたとする研究成果が10月20日付けの学術誌「Science」に発表された。
マグロの数を直接数えることはできないし、保護区の拡大以外にも様々な理由でマグロは増減するため話はそう単純ではないが、研究チームは、2010年初頭から2019年末までに集められたデータに基づき、保護区のすぐ外側で魚の数が増えていることを示してみせた。
この結果に懐疑的な専門家もいるが、保護区が制定されるずっと以前からマグロの数は減り続けており、持続可能な状況ではなかったため、マグロの数が回復し、漁が許可されている海域で漁獲量が増え、その内容について詳しくわかったことは喜ばしいことだと論文の著者はコメントしている。
 
ポルトガルのイワシ漁船に乗ってみた、崖っぷちから復活か | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・300年前のポルトガル沿岸ではイワシが大量にとれたが、気候変動による海水温の上昇と乱獲のためここ30年で10分の1に激減し、現在のポルトガルのイワシ産業は著しく衰退した。
ポルトガル政府は2019年、前年には1万4600トンだった年間漁獲割当を約1万トンに制限するという大胆な措置を実行。この措置は漁業界や缶詰産業から強い反発を呼んだが、イワシ個体数は2019年末には回復の兆候を見せ始める。
2020年、ポルトガル海洋気象研究所(IPMA)とスペイン海洋学研究所が実施したモニタリング調査から、イワシの量が約11万トン増加したという朗報がもたらされた。これは過去15年間で最も大幅な増加だった。しかし油断は禁物で、ポルトガルの漁業界はまだ、イワシの個体数が回復を続けているという科学界からの指標を待っている状態である。

絶滅危惧のガラパゴスペンギンに希望、子どもが増加中 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・赤道に近いガラパゴス諸島に生息するガラパゴスペンギンは、人間が持ち込んだネコなどの外来種や餌になる魚の乱獲、気候変動の影響で絶滅の危機にある。
1982年に発生した非常に強いエルニーニョ現象の影響で餌が不足し個体数が激減、推定で最大1万羽いたのが5000羽を下回るまでになり、長年この状態が続いている。
最近の調査でガラパゴスペンギンの個体数(推定1500~4700羽)のうち、およそ4分の1が幼鳥であることが判明。個体数の回復に希望が持てる状態になった。
「非常に良い予想をしていましたが、うれしいことに予想を上回り、過去12年間で最高の繁殖が見られました」と研究者はコメント。ただし、近年の幼鳥の増加をもって、このペンギンが本当に回復していると言うのはまだ早いと、注意も促す。

復活したザトウクジラに新たな危機、温暖化で繁殖場を失う恐れ | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・ザトウクジラは主に沿岸水域を泳いでいるため、早くから商業捕鯨の格好の標的にされ、乱獲により絶滅が危ぶまれたが、懸命の保護活動により大きく復活を遂げた。
だが5月10日付けで学術誌「Frontiers in Marine Science」に発表された最新の研究で、海面水温の上昇により多くのザトウクジラの繁殖場で最適な水温域を超えてしまう事が予想された。この影響でザトウクジラは繁殖場としてきた熱帯の海を捨てざるを得なくなり、個体数に影響する可能性がある。
ザトウクジラが繁殖場を選ぶ理由がまだ分かっていないため、海水温上昇の影響を正確に見積もるのは難しいが、すでに海の温暖化はザトウクジラの餌場に影響を与えており、また他のクジラと同様にザトウクジラも、船との衝突や漁業、海の中の騒音など、人間の活動がもたらす数々の危険にさらされている。
餌場の温暖化や他の人間活動からの影響も考えると、ザトウクジラの未来は決して安泰ではなさそうだが、緩和策を取り、温室効果ガスの排出を抑えていけば、その分だけ得るものもあるということを研究は示している。

ハワイのマグロ、ポルトガルのイワシ、ガラパゴスペンギン、ザトウクジラについてのお話ですが、どの種も規制の導入や保護活動によって個体数が回復してきているということです。
特にザトウクジラの個体数が回復しているのは生き物好きの間では有名ですよね✨
こうした話は希望が持てますし、自然界の回復力ってすごいなと感動を覚えます。
しかしどの種もまだ油断はできないと…
かなり回復したザトウクジラも今後の気候変動の影響で再び危機に陥ってしまうかもしれないそうで…悲しいですね。
規制や保護活動を続けて個体数が回復していったとしても、今後ますます激しくなる気候変動の影響を受けて再び減少してしまう可能性は非常に大きく、保護が手薄な生物の状況はさらに悲惨かもしれません。
「気候変動を最小限に!そのために温室効果ガスの削減を!カーボンニュートラルの実現を!」
ニュースを見ているとそう叫びたくなります(笑)

〔気候変動とその影響に関する最新研究・動向〕

次はそんな気候変動に関する最新動向です。あまり聞きたくない話ばかりですが、現実に向き合わないともっと大変なことになるのでまずは知ることから⇩
IPCCが最新報告書「気候変動の影響は想定以上に深刻」 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、気候変動の影響などについてまとめた、3675ページに及ぶ報告書「Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability(気候変動2022:影響、適応、脆弱性)」が、195カ国の政府によって受諾され、2月28日に公開された。
これまで、温室効果ガスの排出により世界の平均気温は1.1℃弱上昇しているが、この比較的わずかな温暖化でも、すでに永久凍土は融解し、泥炭地は乾燥し、昆虫の感染症や火災による森林破壊が始まっている。報告書は、熱波、干ばつ、洪水が「すでに植物や動物の許容範囲を超えており、樹木やサンゴなどの種の大量死を引き起こしている。これらの異常気象が同時多発的に起こっており、その影響が次々に波及して、人の手に負えなくなる恐れがある」と結論づけた。
2015年に採択されたパリ協定では気温上昇2℃を十分下回り、できるだけ1.5℃以内に抑えることを目標としていたが、その目標を掲げた国々の多くが、一時的に1.5℃を上回る「オーバーシュート」が起こると予測している。すでに深刻な影響が出ているなか、オーバーシュートを許容することは危険な賭けになりかねない。
この先人類は、温暖化した世界に適応していかなければならない。そのためには自然の生態系に依存する必要があり、自然システムの維持に焦点を当てた適応は、短期的な対策で環境を破壊してしまう「不適切な適応」を避ける意味でも重要だ、と報告書は指摘している。

海面上昇が加速、2050年までに25~30cm上昇、米NOAA報告 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・海面上昇は、熱膨張、氷河の融解、グリーンランドと南極大陸の氷床の消失という3つの要因に関連している。
1880年以降、平均海面水位は23センチ以上上昇している。そのうち約8センチは過去25年間に上昇していて、現在も毎年0.32センチずつ上昇中だ。
米海洋大気局(NOAA)などが2022年2月15日に発表した海面上昇に関する報告書によると、海面上昇は加速しており、2050年までに25〜30センチ上昇すると予測されている。これは、過去100年間に起こったのと同程度の海面上昇が、今後30年間で起こるということだ。NOAAのリック・スピンラッド長官は「歴史的」な調査結果だとした上で、予測される上昇は、たとえ二酸化炭素(CO2)排出量が大幅に削減されたとしても起こると警告している。
海面がこれほど急速に上昇すると、今後はちょっとした変化で破壊的な浸食や湿地の浸水、帯水層や農地の塩害、魚類や鳥類、植物の生息地の喪失など大きな影響が及ぶことになる。
各国が協力して温室効果ガスの排出をどれだけ抑えられるかが、海面上昇の速度と幅に大きな影響を与える可能性があると科学者は指摘している。

「海の大量絶滅」温暖化で再来の恐れ、防ぐための条件は | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・ペルム紀末の大量絶滅とは、約2億5200万年前のペルム紀の終わりに海洋生物の90%が絶滅した、地球史上最大の絶滅現象だ。その原因はおそらく、シベリア・トラップと呼ばれる地域の火山活動による、二酸化炭素の大量放出だったと言われている。
現在、この時と同じメカニズムが働き、海洋生物は絶滅の危機にさらされている。2022年4月28日付け「サイエンス」に発表された論文で、もし我々が現在と同じペースで温室効果ガスの排出を21世紀末時点で続けていれば、ペルム紀末レベルの大量絶滅が2300年までに起こると指摘された。これは最悪のシナリオであり、太陽光発電や風力発電の普及によって化石燃料の需要が徐々に減少していくと見込まれるため、このような未来は起こりそうにないとされる。
しかし地球の平均気温は、すでに産業革命以前に比べて約1℃上昇してしまっている。
気温が0.5℃上昇するごとに、絶滅する種の割合は数ポイントずつ増加するため、たとえ排出量が急速に抑えられたとしても、ある程度の種が失われることは避けられない。
だが気温上昇を2℃以内に抑えることができれば、種の損失は10%以下に抑えられる可能性が高いという。220万種の海洋生物がいることを考えると、その10%の種が失われるのは「絶対数としては大きいです。しかし、最悪のシナリオよりは1桁少ないのです」と研究者はコメントしている。

生物の大量死招く「海洋熱波」が増加、危惧すべきこれだけの理由 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・海洋熱波とは、海水温が異常に高い状態が5日以上続く現象を指すが、多くは数週間から数カ月にわたって持続する。気候変動によって引き起こされ、海水温が元に戻ってからも数年にわたって海洋生態系に影響を及ぼし続けるおそれがある。
近年、海洋熱波は頻度と強度を増しており、観測が始まった1981年以降の10年間に発生した大規模な海洋熱波は27回、その平均持続期間は32日、ピーク時の温度上昇幅は平均約4.7℃だったが、2010年代の発生回数は172回、平均持続期間は48日、ピーク時の温度上昇幅は平均約5.5℃だった。
海洋熱波は単独でも海洋生態系に壊滅的な影響を及ぼしうるが、地球の海は熱波以外にもさまざまな圧力に直面しており、それらによって熱波の影響が増幅され、影響がさらに深刻化するおそれがある専門家は指摘。
「世界の多くの海域で、漁業はおそらく持続不可能な水準にあり、海洋生態系には信じられないほどの圧力がかかっています。そこに海洋熱波などによる変化や、海洋生態系の生産性を下げるような変化が加われば、悲惨なことになります。私たちは、海洋生態系の崩壊によるとてつもない影響を受ける前に、そのことを認識しておくべきです」と話す。

IPCCの報告書で書かれたことは、私たちが実際に感じている変化ですよね。
大雨、洪水、異常な暑さ寒さ、雪が降るはずの地域で降らなかったり、降らないはずの地域で降ったり…日本にいる皆さんもこうした異常を体感しておられますよね。
そしてニュースで紹介した海面の上昇に海洋熱波。これらは海洋生態系と私たち人間の生活、双方に影響します。
海洋熱波は海の生態系を何年にもわたって滅茶苦茶にしてしまい、海に住む生き物はもちろん、人間が行う漁業にも大打撃を与えます。
海面の上昇は島や低地の水没、沿岸部の浸食、水や土の塩害をもたらし、その場所を必要としている動物にも人間にも大きな影響が出てきます。
個人的に衝撃だったのは、気候変動のシナリオが最悪の場合、ペルム紀末の大量絶滅と同規模の絶滅が起きるという研究結果です。
ペルム紀末の大量絶滅は、地球史上5回起きた大量絶滅の中で一番規模が大きいもので、それまで地球上にいたほとんどの生物が絶滅しており、生命にとってまさに未曽有の大災害でした。それと同レベルのことが最悪のシナリオで予想されたのです。
幸いそうなる可能性は低いだろうとのことですが、それでも現生生物の10~20%以上が気候変動で絶滅するおそれがあると…
今までの大量絶滅は巨大隕石の衝突や火山の大噴火など、自然現象が要因でしたが、今回は人間の活動がそのトリガーになってしまうかもしれないのです。
そして先日のニュースで出ていましたが、一時的に気温上昇が1.5℃を超えるオーバーシュートが起こる可能性は高まっています。
5年以内に上昇幅「1.5度」超える可能性は66% 世界気象機関 - CNN.co.jp
IPCCの報告書で重要だと感じたのは
「この先、人類は温暖化した世界に適応していかなければならない。そして、そのためには自然の生態系に依存する必要がある」
という文言です。
気候変動自体はもはや避けられません。ならば私たちは、気候の変化に適応していかなければいけません。しかし、適応するために自然の生態系を破壊してしまうと、一時的には適応できても長期的には適応出来なくなってしまうのです。
「いかに自然界のエコシステムと調和するか」が人類に求められていると感じます。

〔人間の活動が自然界に及ぼす影響の事例〕

少し長くなってしまいましたが、次は人間の活動が自然界に及ぼしている影響についてです⇩
北極の海氷が劇的に薄く平らに、2007年から、研究で判明 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・2023年3月15日付けで学術誌「ネイチャー」に掲載された論文で、北極の海氷が劇的に薄く平らになっている事が判明。この変化は2007年頃に生じた。夏に北極の海氷域が記録的に縮小したために海水温が上昇し、その結果、さらに海氷が急激に減少するというフィードバック現象が起きた事が要因。
現在では、薄くなった氷盤がぶつかりあっても互いの圧力で簡単に砕けてしまい、以前のように氷脈を形成して厚くなることはなくなった。
薄く平らになった海氷は、地球温暖化で増加している北極低気圧の打撃を受けやすく、さらに北極海の海水温の上昇も続いていて、すでに薄くなっている海氷はさらに解けやすくなっている。
薄く平らな形状で速く流れる新たな海氷の構造は、北極の生態系に甚大な影響を及ぼすおそれがあり、ホッキョクグマや海氷に依存するズキンアザラシ、イッカクのような哺乳類だけでなく、北極の氷上で狩りをして食料を得る先住民たちの生活も脅かす。
また海氷の底部周辺には端脚類のような多くの生命体が生息していて、氷脈の底面部分が失われると、海洋食物網の底辺にいるこうした生物やその他の微生物の生息域が縮小し、海洋システム全体に影響が及ぶ可能性がある。

魚は淡水より海水でマイクロプラスチックを多く飲む、東大 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・魚はマイクロプラスチックを淡水より海水で多く取り込んでしまうことが、東京大学の研究グループにより分かった。
淡水と海水の両方に適応できるタイプのメダカで実験し、粒子の大きさによっては餌と誤認するのではなく、水と一緒に否応なく体内に取り込んでいることも判明。海水とともに粒子を飲んでしまうのは海水魚に共通すると考えられる。
「淡水と海水で粒子の取り込みが違うことや、実験で使ったような、バクテリアより小さい粒子だと、気づかず飲んでいることが分かった。汚染の魚類への影響を理解するための重要な手掛かりとなる」と研究者は話す。
なお、湖沼などの淡水は閉じた水域のため、マイクロプラスチックの濃度がそもそも高く、成果は淡水での問題を軽視できるとみるべきものではないという。

「人工島で国土倍増」のバーレーン 海洋生物の行方は? | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・バーレーン政府がペルシャ湾内に2つの人工島を建設した影響で、海底の状態が変化して魚の群れが浅瀬からいなくなり、漁獲量が大幅に減少。地元の漁師が充分な収入を得られなくなっている。
人工島の建設で使用される土砂は、水深が浅い沿岸部の、魚をはじめとする海洋生物に餌や隠れ家を提供している藻場の土砂を浚渫して採集されることが多く、生き物の生息域を破壊する。
サンゴ礁やマングローブも埋め立て事業における浚渫が原因で損傷、消失しており、「こうした変化は、生物多様性と生産性に重大な損失をもたらす」「野生生物が多数生息する海域を避けて、環境面の負担が少ない海域で実施すればよかった。そうすれば、被害の多くは回避できたのに。残念です」と専門家は話す。
沿岸の魚が減ったため、バーレーンの漁師たちはやむなく遠くの海まで出漁するようになり、近隣諸国との間で激しい争いが生じている。違法な漁具を使用したり、禁漁令を無視したりするなど、リスクの高い手段に走る漁師もおり、漁業にも影響が出ている。

北極の海氷が劇的に薄くなっている、魚がマイクロプラスチックを飲み込んでしまう、人工島の建設で生態系が破壊され魚が激減、と、これも嫌なニュースばかりですね…
まあしかし、北極の海氷は温室効果ガス削減しかないですが、マイクロプラスチックと人工島に関しては対策が比較的取りやすいと思います。人工島は開発計画を見直せば今後同様の事例はなくなりますからね(笑)
すでに破壊されてしまった分については少々難しいでしょうが、海底環境の物理的な修復だけでも多少効果はある気がします。
マイクロプラスチックに関しては、これ以上増やさない取り組みや、水から取り除く研究が行われています。

〔環境問題の解決や海洋生物保護のための様々な取り組み〕

次はそんな、環境問題解決や海洋生物の保護に関する取り組みをご紹介します⇩
藻類が世の中を変えるかもしれない5つの方法 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・藻類は厄介なものであると同時に、人類や地球環境にとって重要な存在だ。
人間の活動と気候変動によって、世界中の海や湖などで藻類の大増殖が起きており、水域への日光や酸素の供給が妨げられ、生態系全体が破壊されたり、極端な例では、藻類から生じる危険な毒素が原因で、人や動物が病気になったり死んだりすることすらある。
しかし藻類は、土地も、淡水も、肥料も必要としない作物であり、世界の人口が80億人を超える中、栄養格差を埋める可能性を秘めている。
また、水からマイクロプラスチックを取り除き浄化する、効率の良い飛行機のバイオ燃料になる、家畜の飼料に混ぜることでウシが吐き出す有害なメタンの量を80%以上減らすことができるなど、環境問題の解決にも役立つ。

画期的なプラスチック規制法を導入、米カリフォルニア州 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・アメリカはプラスチックごみの排出量が世界で最も多い。2016年は推計約4200万トンのプラごみが排出されたにもかかわらず、米国が毎年リサイクルしているプラごみの割合は9%未満である。
カリフォルニア州で2022年6月30日に制定された広範囲にわたるプラごみ抑制策を定めた法律は、そんな米国での増え続けるプラごみへの取り組みを国家レベルで大転換させ得るものとして歓迎された。
カリフォルニア州は米国で最も人口が多く、1つの国として比較するとドイツに次ぐ世界5位の経済規模を誇り、例えば自動車メーカーは、連邦政府よりも厳しい同州の排出ガス規制に従うことに合意しているなど、他の州ではありえないほど大きな影響力を市場に及ぼすためだ。
今回の新法はプラスチックの生産量を抑制する米国初の法律であり、2032年までにカリフォルニア州での使い捨てプラスチック包装材を25%減らすことが最大の目標だ。
新法ではリサイクルのコストの負担者を自治体や納税者から生産者へ移している。これは拡大生産者責任(EPR)と呼ばれる考え方で、欧州連合(EU)ではEPRが1990年代から導入されており、西ヨーロッパ諸国では40%前後という高いリサイクル率を達成している。

ウソまみれの“エコ”、あなたを欺く「グリーンウォッシュ」とは | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・「グリーンウォッシュ」とは、誤解を生むような表現を使って、環境意識の高い消費者を引き付けようとする企業などの行動だ。
実体を伴っていないのに、「持続可能性」「生分解性」「環境配慮」などをうたっている企業は実際にあり、消費者は「地球に優しい」といったうたい文句をすべて平等に信じてよいわけではない。
騙されないためにはまずグリーンウォッシュについて知ることが大切だ。
環境意識の高まりに乗じて収益を上げようと考える企業が増える中、米国やEUではグリーンウォッシュを取り締まる規制法案も提出されている。

絶滅危惧のウミガメを救え、保護団体が「べっ甲判別」アプリ開発 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
・ウミガメの保護団体SEEタートルズは、スミソニアンOCIOデータ・サイエンス・ラボとともに、べっ甲柄の品物の写真があればそれが本物のウミガメ由来のものかどうかを識別できるアプリ「SEEシェル」を開発した。
べっ甲に使われるウミガメの一種タイマイは、国際自然保護連合(IUCN)が近絶滅種に指定しており、国際商取引は禁止されている。
しかし、べっ甲の違法取引は少なくとも40カ国で続けられており、その多くが中米と東南アジアに集中していて、旅行者が土産店でべっ甲のアクセサリーを買うことが、違法取引の大半を占めている。
べっ甲は樹脂で忠実に再現できるため、タイマイ由来の品と再現品を見分けるのが難しいが、このアプリは94%の精度で識別可能だ。
これは野生生物の違法取引対策のためにコンピュータービジョンを使用した初めてのモバイルアプリで(アプリはアップルのApp StoreとGoogle Playでダウンロードできる)、単に見分けるだけでなく、画像からGPS座標が非公開のデータベースに集約され、SEEタートルズが違法取引のホットスポットを特定する助けにもなる。
 
藻類が食糧危機、マイクロプラスチック除去、温室効果ガス削減に役立つ可能性を秘めいている、というのは大変興味深いですよね。実現すれば世界が変わるかもしれません(笑)
これは研究開発者の皆様に頑張って頂かないといけませんが、ひとつの希望ですね。
米国カリフォルニア州のプラスチック規制。これもいいと思います。
アメリカは使い捨て大国なうえ、EUに比べると環境問題関連の法規制が遅れています(日本も人のこと言えませんけどね…)が、産業界への影響力の大きいカリフォルニア州で実行力のある法律ができれば米国全土に広まることが期待でき、廃棄されるプラスチックが大幅に減るかもしれません。
ちなみに日本でも去年から同様の法律が施行されています⇩
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ (env.go.jp)
「グリーンウォッシュ」については残念な話ですが、まあ性善説は通用しませんので(^^;)
「なんとなく」のイメージや「取り組んでいます」のひと言で信用せず、中身をチェックして「どう環境に配慮されているのか?」をしっかり理解してから利用・購入することが大切なようです(なんか保険選びみたいですね笑)。
服に関しては「同じものを長く着る」ことのほうがエコに繋がるようなので、なるべく着回したり古着を購入したりするのが良いみたいです。毎年新しい服を買ってしまう筆者は耳が痛いですが、なるべく心がけます(笑)
なお日本では、根拠が明白でないのに「環境配慮」等を喧伝するのは景品表示法違反にあたる可能性があるようです。疑問に思ったら関係機関へ相談するのも一つの手でしょうかね。
べっ甲がウミガメ由来のものかどうか判別できるアプリも面白いし役に立ちますね。
ウミガメ由来のべっ甲は、観光地で知らずにうっかり購入してしまう可能性が高く、故意でなくても税関で没収されてしまうと思うので、中米や東南アジアへ旅行に行かれる方はべっ甲判別アプリ「SEEシェル」をDLしておくと良いかもです。
あと先日、横浜市が省エネ家電の購入費用の一部を還元する政策を発表していました。
横浜市 省エネ家電に買い替えで費用の20%還元へ|NHK 首都圏のニュース
物価高対策も兼ねてのようですが(エアコンを買い替えられず熱中症になる人が急増するのも問題ですからね)、お得になるなら買い替えるという人もいるでしょうし、消費者に省エネ家電への移行を促すのは、温室効果ガス削減の観点からみても良いやり方だと思います。
こうした補助ももっと積極的にやっていって欲しいですね。
 

〔状況は厳しいが、希望は持てる〕

ニュースをまとめてみて改めて思ったのが
「環境問題の解決は依然厳しい状況ではあるけど、まったく望みがないわけではないな」という事です。
気温の上昇による気候変動の影響は深刻ですが、世界中で様々な取り組みが行われていて、国際間でも揉めつつも協力が進んできています。
世界中の人がそれぞれ、自分たちで出来ることを探して頑張っていて、結果が出てきているものもある。
以前紹介したオゾン層回復の例もありますし、各専門家も一刻も早い対策が必要と口をそろえます。
小さなことで良いから自分に出来ることを探してやる、という行動が必要ではないでしょうか。
『行動するなら今が最後のチャンスだよ、希望が残っているうちに』
地球からそう言われている気がします。
以上、最近の動向まとめと感想でした。
静野沙奈巳

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