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禁炎外来

<すぐ読める約450字>

 どこかに「禁炎外来」っていうのがあったらしい。禁煙ではなく、禁炎。SNSでの炎上癖がある人が通うクリニック。
 「いいね」をもらうとドーパミンが出るって話がある。炎上癖のある人達はインプレッション数が増えるとドーパミンが出るようになってしまっていて、それを繰り返すことで次第に炎上に依存していくらしい。炎上癖ある人にまともな話が通じないのは、依存症のせいかもしれない。
 治療方法は、ひたすら患者のことを知っているか街頭でアンケートをとっている映像を見せるっていうものらしい。街行く人が口々に「知らないな。誰それ?」って困惑する様子を見せつけるんだ。炎上で知名度が上がることに快感を覚えた人たちは自尊心をいたく傷つけられるだろうね。でも、それで気づくんだ。炎上で得たインプレッションなんて実世界ではさほど意味がないって。実際それで更生した人もたくさんいるらしい。
 ただ、禁炎外来はもうないんだ。なんでかって? 宣伝に登場する「炎上して治療を受けた患者」の中に、サクラがいたのがバレて炎上してしまったんだってさ。



カバーイメージ:Background vector created by freepik

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