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イノベーションを生むSystem Thinkerになるためのオススメのビジネス書

ジュニアのコンサルタントから、「イノベーションを産み出せる思考力を養うにはどんな本を読めばいいですか?」と聞かれたので、10冊を厳選。

ECRSのような業務改善のフレームワークをいくら使っても、ブレインストーミングを何度繰り返しても、世界をより良くするようなイノベーションが生まれる確率はゼロに近いどころか、単なる偶然でしかない。

見えない理を見出す(たとえて言うなら、映画マトリックスの主人公NEOには世界を構成しているコードが見えるようなもの)能力を養うために、ぜひ読んでほしい

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』アルバート・ラズロ・バラバシ著
ネットワーク理論をさまざまな事例に当てはめて解説している入門書。世界のあらゆるものが独立した存在ではなく、相互依存関係にあり、線形ではなくべき乗則で支配されていることが理解できる。

流れとかたち――万物のデザインを決める新たな物理法則』エイドリアン・ベジャン著
宇宙の散逸構造から粘菌の餌の配送ルートまで、ありとあらゆるシステムは熱力学第二法則に支配されているという「コンストラクタル法則」を提唱した一冊。イノベーションは「流れを良くする」ことだと理解できる。

ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラット著
言わずと知れた名著。生産管理の本だと捉えている人が多いが、企業というシステムの流れを良くすることが事業の本質であり、制約を見つけ対処していくことが事業成長のために唯一必要であることが分かる。マーケティングまで網羅していることを読み取って欲しい。

世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方』ドネラ・H・メドウズ著
独立した要素がネットワークでつながったシステムがどんな動態を見せるのか読み解くシステム思考の本。入門書ではないが、システム(閉鎖系)の各要素が因果関係でどんなつながりをもっているかそのメカニズムを理解でき、誰もが解決すべきと思う社会課題が堅牢な悪循環で維持されていることが分かる。

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー著
システマチックな因果関係(物理法則や法規制)だけでなく、そこに関わっている人間の認知バイアスがつながりを構成していることもある。一見不合理だけれども現実には勘違い・思い込み・慣習がシステムの一部を構成していることに気づけば、問題の多くは人間が引き起こしており、それ故人間の意識の変化だけで解決できることも理解できる。

社会変革のためのシステム思考実践ガイド――共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する』デイヴィッド ピーター ストロー 他2名著
社会課題の悪循環には、多くのステークホルダーが関わり、すべてのステークホルダーは「(局所的に)良い事」をしていることで起こっている。システム思考で読み解いた問題構造をステークホルダー全員が協働して解決するプロセスを指南している実践の書。

リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす』エリック・リース著
イノベーションや社会課題解決のソリューションといった前例のない取り組みを、不確実性が高い環境下でいかに実現させ事業にしていくかを具体的な手順まで示したスタートアップ必読の書。アイディアを生み出す部分は個人の閃き次第だが、その後にすべきことが何かを学べる。

ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』フレデリック・ラルー著
飛躍的な成長を遂げた企業の共通項を帰納的にあぶり出したところ、個人の価値観や能力を最大限に活かすチームが自律的に活動することが最も成果をあげる(しかも継続的に)を発見した本。人間の都合で恣意的に構成した階層組織のマネジメントから、有機的なネットワークの自己進化の方が遥かに効率がよくメンバーの満足度も高いという目からウロコの組織論。ネットワーク理論を知っているとこのパラダイムの有用性がさらに理解できる。

プロフェッショナル・サービス・ファーム』デービッド マイスター著
取り上げているのは法律事務所やコンサルティング・ファームなどのプロフェッショナル・サービスを提供するビジネスモデルだが、企業システムをどう設計すべきか丁寧にしかもロジカルに解説している。企業のゴールである収益性とステークホルダーへの価値提供を継続的に向上させるためのメカニズムがよく分かる。

スクラム ガイド』ケン・ショワバー、ジェフ・サザーランド著
アジャイル開発の一手法であるスクラムの提唱者が書いているガイド。チームがプロダクト(やサービス)を生み出す流れを継続的に向上させる仕組みが書かれている。根底にあるのは、トヨタ生産方式(リーン生産)やトヨタ製品開発(リーン製品開発)であり、ティール組織との共通点も多いことが分かる。


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