見出し画像

ネコと私の小冒険(5)

 テントは大きく開いている。大きな蕾のように駆け回るハチたち。
「ハチはハチ。数字のハチだ。8の倍数いってみな。テントは言ったら開くのさ」
 ネコ先輩は気の毒そうにあたりを見回す。ドォンドォンと大きな音がする。なにかが近づいてくる。森の木立の間から「ヒャッホー」
 私はびっくりした。なぜなら彼は私の世界でいうカーネル・サンダースさんにそっくりだったのだ。「ハチみつ はちみつだ!私のハチ蜜だ」
 ハチたちは赤くなって怒る。「ここにハチミツはない。あるのはぷうぷうさんのテントだ」
「ぷうぷうさんハチミツ持ってるんだろう?私はハチミツコレクター((ハチミツ四郎))だ」
 ネコ先輩は私にそっと耳打ちする。
「ハチミツ四郎は、むちゃくちゃたくさん食べる。つまり?そう、、、下手をするとぷうぷうのハチミツも全部食べられる」
「私たちもハチミツをもらいにきたのかい?」
 ネコ先輩は両手でオッケーサインを出す。「せいかーい!さあ!ゆくのだ!冒険初の戦いだ!インフレしないようにおさえて戦ってくれよ」
 「え?私が戦うの?」
 ハチミツ四郎はすでにハチたちをはえたたきのようなもので、ペシペシとマットに沈めている。私は一歩前に出た。
「あのおお。。。。」
 ハチミツ四郎は振り向いて、ピエロに似た満面の笑みで答える。
「なんでしょう?おぼっちゃま」
「私がおぼっちゃま?なんでですか?」
「お父上にはお世話になっておりますよ。同じ人間同士仲良くしましょう」
「私の父を知っているのですか?」
「もちろん。あの、、、、、大召喚士マルオー」
 確かに私の父の名前は丸夫だが、、、、まさか、父もこの冒険に絡んでくるなんて、、、、 
 ああ、これからどうなるんだ!!私は不安を抱きながら、ネコ先輩を探す。
 いない。どこいった。
 そのとき、テントの中から黄色いクマが姿を表す。
「どうもー。ぷうぷうですー。この世界で一番のハチミツ好きです」
 ぷうぷうの目はハチミツのようだった。
 「ハチミツをいただきにきたぞ。ぷうぷう」
「四郎さん。あきらめなさい!!ゆーどんとはゔどりーむ です」
 なんか奇妙な英語だ。。。
 それにしてもネコ先輩どこいった。
 そのとき、草むらの影からネコ先輩が飛び出てきた。
「じゃーん!幻のハチミツ マヌカマニーだ」
 その手にはビンが握られていた。値札がついたまま。「4000円」
 高すぎる。私は戦う意欲を失った。

 つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?