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BOOKS─書籍紹介

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建築・都市・まちづくりにまつわる書籍の新刊・近刊を紹介していきます(本記事は雑誌連載コーナー「BOOKS」の転載記事となります).週2回更新予定.また,本アカウント以外の紹介記事… もっと読む
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2018年10月の記事一覧

時がつくる建築 リノベーションの西洋建築史【東京大学出版会】

加藤耕一 著 四六判/372頁/3,600円+税 建築の長い歴史からみれば,既存建築の再利用(リノべーション)はきわめて重要な建築的創造行為であった.西洋建築史にみられる数々の既存建物の再利用の事例や言説を読み解きながら,スクラップ&ビルドの新築主義から脱却し,より豊かな建築とのつきあいかたを示す. 新しい都市や建築の建設が主流であった20世紀の成長時代に対し,現代は人口減少や空き家増加などの問題を抱える縮小時代である. この変化とともに,既存ストックを活用するリノベ

営繕論 希望の建設・地獄の営繕【NTT出版】

四六判/256頁/2,600円+税 リノベーションはなぜ困難なのか? 「営繕」とは、もともと「営造」の「営」と「修繕」の「繕」からなる熟語で、千数百年に及ぶ歴史を持つ専門用語であったが、近代社会における建築の工業化において、その意味するところから「建設」が除かれ「修繕」に限定されたうえ、退屈で創造性が欠如したものとして捉えられるようになった。 しかし昨今、リノベーションという言葉に象徴されるように、新築するよりも、古いものを修復・修繕して再利用するという流れが生ま

町を住みこなす─超高齢社会の居場所づくり【岩波書店】

大月敏雄 著 新書判/272頁/860円+税 人口減少社会における居住は,個人にも,地域にも,社会にも今や大問題.「一家族一住宅一敷地」という考え方はもはや古い.住宅に求めるものは,長い人生のステージに合わせて,さまざまに変遷していくことに注目.町の多様性をいかに担保していけるか.居場所づくりのユニークな事例を多数紹介し,これからの住まいのあり方を考える. ニュータウンやベッドタウン,郊外住宅地,団地など戦後開発されてきた住宅地は,現在少子高齢化問題,人口減少問題,空

近現代建築史論 ゼムパーの被膜/様式からの考察【中央公論美術出版】

川向正人 著 A5判/296頁/4,800円+税 被覆こそ建築である。  20世紀から21世紀へ、建築はどう変化したか。ヴォリュームの建築が被覆の建築へと変化したと、川向は看破した。20世紀はすべてヴォリュームで計測する殺伐とした時代であった。すなわち、建築ですら体積で測られ、体積だけを基準に判断され、乱造され、たたき売られた。しかし、体積の建築は人間を幸せにしない。今、人々は被覆の豊かさを求め始めた。著者は、その転換のルーツが、19世紀ドイツの建築家、ゼムパーにあるこ

PUBLIC PRODUCE「公共空間をつくる7つの事例」【ユウブックス】

西田司・中村真広・石榑督和・山道拓人・千葉元生 編著 四六判/256頁/2,300円+税 公共か民間かでは括れない、新しい公共的空間が続々と生まれています。 本書は、パブリックな場づくりを成功させたプロデューサーに、既存の制度を乗り越え持続する仕組みと、展開力のある実践の手法を尋ねたインタビュー集です。 インタビューを元に、プロジェクトの変遷をダイアグラムにまとめ、”多義性のあるチームづくり”、”ごちゃまぜ”、”公益性”、”バイブル”など成功を導くためのキーワードを抽出

我々は人間なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書【BNN新社】

ビアトリス・コロミーナ マーク・ウィグリー 著 牧尾晴喜 訳 A5変型判/320頁/3,000円+税 本書は、先史時代(石器)から現代(ソーシャルメディア)に至るまでの、人間と人間が作り出した人工物(artifact)の関係性を照らし出すことで、現在の私たちが理解している「人間」と「デザイン」の意味に揺さぶりをかけます。 ダーウィンやプレストウィッチらによって発見された、生物学的・考古学的な「人間」。 その人間像や工業化に影響を受けた、実はポスト・ヒューマン思想への反応

評伝 ロバート・モーゼス 世界都市ニューヨークの創造主【鹿島出版会】

渡邉泰彦 著 四六判/302頁/2,600円+税 ジェイン・ジェイコブズの宿敵、ロバート・モーゼス。 ふたりに共通しているのは、両者とも都市に暮らす生活者のために、より快適な都市を創造しようとしている点だ。モーゼスもまた、都市の魅力を十分認識していて、都市の疲弊、郊外への人口流出を引き戻すために、都市のインフラをいっそう充実させることに注力したのである。 ジェイン・ジェイコブズのドキュメンタリー映画(2018年4月28日より上映開始)で,市民の意見を意に介さずスラムを

オンデザインの実験 人が集まる場の観察を続けて【TOTO出版】

西田司+オンデザイン 著 四六判/148頁/1,300円+税 トップダウンではなく担当スタッフと対等な立場で設計をすることで、一定の型やスタイルにとらわれないものづくりを行っている「オンデザインパートナーズ」。 その代表を務める建築家、西田司は、2016年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に出品するなど、40代で活躍する注目の若手建築家のひとりです。近年では、住宅設計だけではなく、公共施設やまちづくり、拠点運営など、仕事の領域が多岐にひろがっています。 本書は、西田司が

磯崎新と藤森照信の「にわ」建築談義【六耀社】

磯崎新 藤森照信 著 A5判/280頁/3,400円+税 現代建築界の巨匠磯崎新と藤森照信が語る「にわ」と建築の話し 日本庭園、イギリス庭園、イスラムの庭園はじめ、古代祭祀での神が降り立つ空間や磐座、さらにはコルビュジエの空間や近代における庭など、古今東西の「建築」の外にある外部空間について、現代建築界を背負う建築家 磯崎新 と 藤森照信 の二人が、熱く語り合った対談録。自身の「庭」も公開する。 磯崎新と藤森照信が建築を取り巻く「庭」について語る対談集. 建築と密接に

思考としてのランドスケープ 地上学への誘い 歩くこと,見つけること,育てること【LIXIL出版】

四六判/256頁/2,600円+税 地上は愉快でたくましい生存のスキルで満ちている! 自然と人、それぞれの仕組みと事情のままならなさを受け入れ両者を橋渡しする〈ランドスケープ的思考〉という新しい道具。その使い方と楽しみ方をここに伝えよう。 山間の農家で遭遇する巧みな工作(ファブリケーション)スキルをもつおじいさん「1 FAB-G」、 GPSで記録した「軌跡ログ」を手に地図師となった私「4 地形と移動」、 不寛容なベンチから見える都市と公園の関係「5 ベンチの攻撃」...

ニュータウンの社会史【青弓社】

四六判/ 256頁/1,600円+税 高度経済成長期、「理想」や「夢」と結び付いて人びとの「憧れ」とともに注目を集めたニュータウン。50年を経て、現在は少子・高齢化や施設の老朽化の波が押し寄せている。日本最大規模の多摩ニュータウンを中心にその軌跡をたどり、地域社会の変貌を描き出す。 高度成長期の人口増加に伴い日本の各地で開発されたニュータウン. 著者は居住者の高齢化や施設の老朽化など,現在のニュータウンが抱える課題は,将来の日本全体に訪れることであり,その過去と現在を

建築家のためのウェブ発信講義【学芸出版社】

四六判/224頁/2,100円+税 ゼロから仕事をつくるためのプロモーション、社会を巻き込む建築理論の構築、施主候補との信頼関係を築くコミュニケーション。建築家9名がウェブ上で打ち出す個性的な実践を手掛りに、読者各々の目的に合った情報発信の方法を丁寧に指南。建築メディアに精通する著者によるSNS時代ならではの新しい「建築家」行動戦略! TwitterにFacebookにinstagram,といったSNSが発達し,個人でも世界に声を届けられるようになった現代. そんな