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櫻坂46、このままだとマズい(パレット化戦略)

私は普段、大手ITで新規事業責任者をしています。
たまにこうして大ファンである欅坂46/櫻坂46について、マーケティングや事業戦略の観点から考えたことをまとめ、ブログにしています。

さて、本日は櫻坂46デビューカウントダウンLIVEでした。
(無観客のLIVEを各地の映画館へLIVE配信して分散して見るというもの)

ファンとして凄く感動したLIVEだったのですが、鑑賞する中で透けて見えてきた新生櫻坂46の戦略に「なるほどな」と納得しながらも、「これは解があって進んでいるのだろうか?」と不安になる点があったので、ブログにしてみました。

大まかな内容は以下のようになります。

1.既存ファンが年月と共に単一の人物像で括れなくなった
2.この現象に対して、新生櫻坂46はヒト・モノ・カネが既にあることを活かした「パレット化戦略」を進むように見える
3.「パレット化戦略」は戦略として安全で合理的だが、スマッシュヒットを出しにくい構造に陥るリスクがある
4.ビジネスで「パレット化戦略」をとった「DeNAパレット」に学ぶストックする仕組み

では、お楽しみください。

アイドル系のバックナンバーもよかったらご覧くださいね。

欅坂46を支持した「僕」は「大人」になった

はい、こちらは脱退後の平手友梨奈さんが出演したMrs.GREEN APPLEのMVになります。大人になりましたね、、、。

そうなんです。
当たり前ですが人間は年を取るので、14歳で欅坂46に入った平手友梨奈さんも、もうすぐ20歳になろうとしています。
ファンも同様に年を取り、欅坂46が特にフォーカスしていた中高生世代は大学生や社会人になりました。

私も今回、櫻坂46デビューカウントダウンLIVEをみるために東京の劇場へ行ったのですが、ファン層の幅広さにちょっとびっくりしました。
男女比は大まかに6:4といった具合で、年齢も高校生ぐらいの子もいれば、大学生も多く、社会人なり立てかな?という人も多い。
大学生風のファンたちを観察してみると、ファッションに気を遣うキレイ系のファンもいれば、地味な服装で秋葉原系のファンも多い。

つまり、もはや「僕」や「私」という単一のペルソナでファンを括れなくなったといってよいでしょう。

現在の境遇が違えば嗜好も変わるので、もはや単一のブランドイメージやメッセージではファンの大多数を唸らせることは難しい。。。

この状況で新生櫻坂46が取れるオプションは
・今いるファンは無かったことにして考える
・ファンの一部を断念して、最も熱量の高いファンに刺さる楽曲を作る
・ファンのペルソナを複数想定し、ペルソナ毎へ楽曲を作り分ける
の3つになるわけですが、今回のデビューカウントダウンライブを見る限りでは、明確に「ペルソナごとに楽曲を作り分けて、ファンを維持する」を取っているように見えます

実はこの戦略、ビジネスでも「パレット化戦略」という名前がついた事業戦略の一種です。

過去の蓄積を生かした強者の戦略(パレット化戦略)

はい、こちらは欅坂46の楽曲「アンビバレント」のMVです。
振付が超難しく、メンバーも練習には大変苦労したそうです。

こうした経験を通じて蓄積した
ヒト:高度な振り付けも短期間で習得できるスキルや表現力
モノ:ヒット曲を作ってきた制作チームと売れっ子のマネジメントチーム
カネ:既存ファンやこれまでの活動の余剰金による資金
を持ってデビュー(改名)できるのが新生櫻坂46最大の強みです。

ペルソナごとに楽曲を作り分けて、ファンを維持する」と簡単に書きましたが、これをするためには
・楽曲を量産しても絶えれるだけのスキルがメンバーにあり、
・そもそも楽曲を量産できるだけの制作ノウハウがあり、
・それを支えることができる資金力がある
ことが必要で、これから人気を出すぞ!というグループでは不可能です。

新生櫻坂46は文字通り「欅坂46時代の経験を糧に」することで、初めてこの戦略を取って成長していくことができます

櫻坂46ではセンターが森田ひかるさん、藤吉夏鈴さん、山崎天さんの3人いて、1stシングルの時点で、それぞれのカラーにあった曲が各2~3曲、合計7曲が準備されました。

各1曲の計3曲はそれぞれにMVも作成されており、プロモーションのCMも作成され放映されています。

さて、
以前にご紹介した欅坂46時代の方法論を踏襲するのであれば、これら7曲で反応を見て(ABテストして)、最も有望そうな勝ち筋へグループのカラーや楽曲のテイストを合わせていきますが、櫻坂46は絞ることをしません。

絞らないのではなく、絞れないと言った方が正確かもしれません。

ファンのペルソナが分散してしまった中、絵の具を置くパレットのように、様々なテイストの楽曲・メンバーを「櫻坂46」という枠組みに収めていくの(パレット化戦略)が最も合理的な戦略に見えます。

LIVEのなかでも「様々なカラーを」や「様々な歌詞の解釈を」といった内容のコメントが続きました。
私の勝手な推測ではありますが、1stシングルでの楽曲のバラバラ具合は今後も続くし、メンバーごとの色分けも進んでいくでしょう。だって、それが櫻坂46の事業戦略なのですから。

この安全で合理的な戦略ですが、致命的な課題を抱えています
それは、構造としてスマッシュヒットが出にくくなる点です。

パレット化戦略からスマッシュヒットは生まれない

はい、欅坂46がグループ結成初年度での紅白歌合戦出場を可能にしたスマッシュヒット「サイレントマジョリティー」のMVです。

こういった楽曲がパレット化戦略から生まれるでしょうか?
答えはNoです。

パレット化戦略の本質は、適度な大きさのマス(スモール・マス)をコンテンツ毎に個別獲得していくことにあります。
したがって、その構造や思想からしてマス化することはありません。

スモールマスを発見し、コンテンツを量産し、適切な品質でプロダクトを量産していくことで、総量としては大きな量になります。
ただ、破壊的な1つのヒットで総量が非連続に成長することは無いです。

つまり、極論を言えば新生櫻坂46が取ろうとしている(ように見える)戦略は、爆発的な成長を捨てる代わりに、堅実に積み上げていく成長を目指すものと言えるでしょう。

ちょっとファンとしては寂しいですし、何より「国の花」の名を冠するグループとして運営・企画の皆様方も、そこで留まるつまりは無いのだと思います。

では、この「スマッシュヒットが出にくい構造」に、どうやってマスを狙いに行く活動を合体させていくのでしょうか。
ビジネスに学んでみましょう。

DeNAパレットに学ぶ、スモールマスでマスを取る方法

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かつて、ビジネス界でパレット化戦略を取って盛大に爆死した企業がありました。DeNAです。

DeNA社では、インテリアコーディネートやファッションなど領域特化の記事サイト(キュレーションサイト)を量産し各サイトで記事を量産してユーザーを集め、それら記事サイトをDeNAパレットと呼称していました。
DeNAパレットを横断して見れば、様々な属性の人がいるので、
・パレット全体に広告を出すことで個人の属性にあった広告を出せる
・データを取って好きそうな記事(領域問わず)を紹介して現実世界での購買行動を起こさせる
などで収益化の予定でした。

このDeNAパレットは、オペレーションの不備から著作権侵害や薬事法違反の粗悪な記事が量産されてしまいとん挫し、DeNA自体まで爆死しかけるという悲劇を招きました。が、構想としては未だに正しいのだと思います。

すなわち、小さなマスを蓄積する仕組みが重要ということです。
・一回捕まえたユーザーをつなぎとめられるコンテンツを準備しておく
・ハマっていったユーザーが行動に移るまでの導線を設計しておく
という2点があれば、スモールマスを収集していったとしても大きなマス化ができるということです。これは、櫻坂46への示唆になると思います。

具体的には

①各メンバーやセンター達のカラーにあった楽曲を一定品質で量産する
②楽曲が好き⇒個別メンバーが好きへ変換できるコンテンツを用意する
③メンバー間の交流が見ることのできるコンテンツを用意する
④ファンクラブ&メッセージアプリでしか見られないコンテンツを用意する

の4つのステップを愚直に踏むことで、スモールマスを集積できる仕組みを作れるかもしれません。

ただ、そのためにはまず、①でハマっていくためのコンテンツを大量に準備する必要があり、メンバーにはとても負担がかかることだろうと思います。

ただ、きっと大丈夫では無いでしょうか。
今日のカウントダウンライブを見て、各メンバーが何かを決心しているように見えました。いばらの道であったとしても、きっと耐えられるはず。

ちなみに私は藤吉夏鈴ちゃんに度肝を抜かれました

色々と否定的なことも書いてしまいましたが、今日のカウントダウンライブは本当に感動しました。

特に藤吉夏鈴ちゃん、凄くなかったですか?
表現力に度肝を抜かれてしまって、全くファンではなかったのですが今日から推しになりました。本当にかわいいと思う。

ということで、ありがとうございました。
よかったら他の記事も読んでみてくださいね。

では。

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